ストリップ童話『ちんぽ三兄弟』

 

□第78章 東京オリンピック開催とコロナの猛威 の巻

                          

                                    

 2021年、夏場を迎えた。ストリップ太郎としては、今年の夏も昨年同様、猛暑とコロナ禍の二重苦と考えただけで、うんざりした。昨年のことを思いだすと、コロナ二年目となる今年の夏はストリップ通いを少し控えようと思っている。

 それには理由がある。

 ひとつは、高齢となり猛暑が身体にきついという体力的な問題。思い返せば、昨年の夏は例年通り、せっせと毎日毎日、遠征を始めストリップ通いに励んだが、汗をかきかき、マスクをしての炎天下の行動にへろへろになった。

 また経済的な問題もある。

 

 そして、なんといってもコロナの問題。

 コロナについては、これまで述べたように、ストリップ劇場からコロナのクラスターは発生していない。周りでコロナにかかったという話も聞こえてこない。ターゲットは専ら飲食店で、劇場は規制の対象から外されている。自主規制はしているものの、営業は続けている。また私自身も、昨年から、これだけ頻繁にストリップ通いしているわけだが、コロナにかかるような気は全くしなかった。だから焦ってワクチン接種しなくても大丈夫かなと高をくくっていた。

 ところが、気にかかることが起こった。ストリップ太郎は毎日のように、スト仲間20人ほどとLINE交信している。ストリップの情報交換しているわけだ。彼の方がまめに発信しているわけだが、相手からもだいたい返信があった。ところが、今年の夏場頃から、返信してこなくなったスト仲間が二人いた。返信が遅れることはよくあることだが、いくらストリップ太郎の方から送信しても一向に返信が来ないので心配になっていた。

 その一人Iくんは、夏前に一度、ある友人が劇場で会ったらしい。そのときの彼は30kgも痩せて元気がなかったという。彼はもともと100kgほどの太目なのだが、やはり30kgも急激に痩せたというのは大問題だ。その話を聞いたスト仲間はみんな、彼は癌ではないかと心配していた。もう連絡が取れなくなった。その後の安否が気になる。しかも医療崩壊を起こしているので癌もコロナも同じ状況にある。

 もう一人Yくんは、これまで東洋の踊り子さんの周年イベント幹事をしていた。そのため、関係者たちは今年もYくんに幹事をお願いしようと考えていたのに、連絡が取れなくなり困っていた。今年の夏にYくんがコロナにかかったことは確認がとれた。ところが東京では医療崩壊が起こり病床がなく自宅療養せざるをえない状況だった。彼は昨年脳梗塞になったばかりなので、コロナで重症化した恐れがある。仲間内から、どうも亡くなったようだとの情報が入っている。

 二人とも、仲間内でよく呑みに行く仲良しだった。ストリップ太郎は遠征先でもよく呑んだ。二人とも年齢が近く、またお互いストリップを趣味にしているので話ははずんだ。そんな身近な友達が亡くなったという話を聞くにショックが隠せない。

 一気にコロナが他人事ではなくなり、怖くなり、慌てて、コロナのワクチン接種を夏場に申し込んだ有様だった。しかしながら既に予約が多く、ようやく二度目のワクチン接種が終わったのは秋場になった。

 

 今年の夏は東京オリンピック&パラリンピックが予定通り開催された。コロナ対応で、ほとんどが無観客になったのは致し方なく、それよりもよく開催できたものだと思う。

 これと時期を同じくして、コロナの猛威が日本全土を襲った。2021年6月下旬頃から始まったコロナ第5波は、全国では8月20日に過去最多となる25851人の新規感染者数を記録した。東京都は連日2000人を超える数字が続いた。大阪も一時は東京を上回るほど酷い状況であった。特に、東京では病床が足りなくなり、自宅療養せざるをえない医療崩壊が起こった。一時、東京都内だけで4万人を超える自宅療養・宿泊療養者がいたようだ。その中に、先ほど話したようにストリップ太郎の友人も犠牲になっている。

 こうした爆発的なコロナの猛威に対して、東京都では7月12日から緊急事態宣言が出た。これは通算で第四回目となる。8月2日から埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府も追加で宣言の対象になった。ようやくコロナも下火になって9月末に解除となる。その間、飲食店や交通機関など相変わらずのコロナ規制が続いた。

 

 劇場としてはコロナ対策を徹底したうえで、時間短縮はあるものの、営業は続けている。どうにかストリップの火は消えずに済んだ。

ストリップ劇場としてはクライスターが発生していないものの、水面下ではコロナになった踊り子や客がけっこういるようだ。劇場外で感染したらどうしようもない。

ストリップ観劇は可能ではあるものの、飲食店や交通機関などがコロナ規制しているため、ストリップ観劇するにもかなりの足かせになった。

 

 こうした中、ストリップ太郎は、今年の夏場はできるだけ自宅にいて、オリンピック観戦、そして最近始めたばかりのブログにせっせと励んだ。

 ストリップ通いはかなり頻度を落とした。

 

 コロナの猛威は、9月に入り減少に転じた。それ以降、減少の速度は落ちることなく順調に新規感染者数は減少してきた。

 ストリップ太郎もコロナのワクチン接種が済んだわけだが、全国的にワクチン接種率が大きく進んだ結果と考えられる。9月末時点で全国民の7割に及ぶ。

 

                                     つづく