ストリップ童話『ちんぽ三兄弟』

 

□第74章 これまでのコロナ禍の状況を駆け足で報告 の巻

                          

                                         

 昨年の8月以降、他に書きたいネタがあったため、ずっとコロナの話を横に置いてきた。だんだん慣れっこになってきたせいもあるだろう。

しかしながら、コロナ禍は一向に収まっていない。そのため、ストリップ客は激減して、劇場は経営的にかなり深刻な状況にある。苦肉の策として営業時間短縮や出演人数削減をすることにより、働く場や時間を狭められた踊り子の生活も苦しくなっている。ストリップ業界始まって以来の危機的な状況にある。

昨年の夏頃に、A級小倉が閉館を発表。それに合わせ、広島や道後など、閉館の噂が聞こえはじめ、西日本からストリップの崩壊が始まりつつあった。

ストリップ界はコロナの影響で瀕死の状況であることは疑いのない事実。中には前売り券を発売して現金収入を得ようと必死になっている劇場もあり、事情は窺える。

そんな中、2021年4月14日、シアター上野で警察のガサ入れがあった。現在この上野ショックが全国に広まっている。

上野ショックについて話をする前に、どうしてもコロナ禍の状況をもう一度整理する必要性に迫られ、ここで駆け足で、最近のストリップの状況を追うことにする。

 

 

昨年の夏以降は、どこの劇場でも以前の状況にようやく戻ってきた。かぶり席にも座れるようになる(相変わらず、かぶり席を開放していないのは私の知っている限り広島第一のみだ)。しかし相変わらずのコロナ禍であることに変わりはなく、入場時の検温、場内でのマスク着用徹底、かぶり席での会話禁止、劇場スタッフによるまめな室内換気と座席等の消毒は行われている。

営業時間短縮も次第に緩和してきた。

 政府は一回目の緊急事態宣言以降の経済活性化を狙い「Go to トラベル」を行う。これが奏功し、ストリップの遠征も活発化してきて客足が伸びてきた。客同士で「こんなに安く遠征ができた」と自慢し合っていたものだ。ただ、このキャンペーンは私のように夜行バスと漫画喫茶という格安のプランには該当されない。私から言わせると金持ち優遇のキャンペーンだ。というか、いくら安くなったとは言え、夜行バスの便利さや劇場に近い漫画喫茶の利便性を考えれば、劇場から遠いホテルを利用する気にはなれない。

 ともあれ、ストリップの客足も戻りかけていた。しかしながら、コロナの猛威は収まらない。昨年2020年の年末にかけて感染者が急激に増えてきた。東京都で1000人超が続き、これはやばいなあ~と思った。

 案の定、正月明けに東京、神奈川、千葉、埼玉の4都県知事がそろって政府に緊急事態宣言の要請をした報道を見て、私はすぐさま遠征していた大阪から東京に舞い戻った。予定していた広島遠征も一旦取りやめた。前回の緊急事態宣言のときに、交通機関の夜行バスが急遽運休になり遠征先から東京に戻るのが大変だった経験による。また前回のように緊急事態宣言により全てのストリップ劇場が一時閉館する可能性もある。こうして年始のストリップ・スケジュールが大幅に狂わされた。ただ、第二回の緊急事態宣言の措置は前回ほど厳しくなかった。私は様子を窺い一旦落ち着いたところで広島遠征を再開した。

 なお、二回目の緊急事態宣言は全国的なものではなく、地域を限定して実施された。

 このころ、コロナのやり玉は飲食店に集中した。

 これまでの経緯を振り返ると、ストリップ劇場では一度もコロナのクラスターを発生させていない。もちろんコロナ対策を徹底した前提ではあるが。こうすることで「ストリップは安全だ」という理解が広まったことが大きい。おかげで、ストリップ劇場の休業要請には及ばなかった。こうして年末年始のストリップ興行はなんとか実施できた。

 ストリップ・ファンとして弊害が大きかったのは、飲食の制限だった。場内の食事は相変わらずダメ(水分補給から飲料のみOK)だが、問題なのはのんびり終演を迎えて劇場を出ると食べるところがなくなること。テイクアウトのみとなる。しかも、いつも利用していた飲食店が次々と閉店している現実に空恐ろしくなる。

 二回目の緊急事態宣言は、コロナ禍が下火になり始め漸く解除された。

 

 このころから、海外で発生したコロナの変異体が日本でも広まり出した。同時に、海外で普及してきたワクチン接種が漸く始まった。変異体にも効果があるらしいので、期待は大きい。接種の普及が広まったイスラエルなどはマスクを付けない生活が始まっていると報道されている。日本ではオリンピックを間近に控え、最後の切り札になっている。

 ところが日本のワクチン対応は極めて遅い。そうしている間に、どんどんコロナの発症者数、なにより病床の使用率が悪化し、大阪では病床の確保ができず完全に医療崩壊を起こしてきた。

 こうした中、大阪や東京の知事が第三回の緊急事態宣言を国に要請した。こうして、2021年4月22日(木)に、東京都、大阪府、兵庫県、京都府が緊急事態宣言の対象と決まった。実施は4月25日(日)~5月11日(火)までの期間。まるまるGW期間中に、なんとかコロナ感染を抑制しようと必死になっている。

 ストリップ業界としては、正月興行に続き、GW興行が目玉なため、どうなることやと気をもむ。おそらく前回お正月の興行と同じになるだろうと予想される。営業時間が短縮することになっても閉館しなければヨシとしたい。

 ただ今、大阪に遠征中のストリップ太郎としては戦々恐々な気分である。