ストリップ童話『ちんぽ三兄弟』

 

□第44章 コロナ明け、いよいよ遠征開始!の巻

 

 

 6月中に入り、いよいよ、ちんぽ三兄弟も遠征を開始するようになる。

 すでに、6月に入り遠征してきたスト仲間からいろいろと話が聞こえてくる。

「小倉まで飛行機で遠征してきたんだ。飛行機は換気がいいのでコロナ対応はバッチリなので心配がない!

ただ、問題は小倉A級のコロナ対応。北九州市でクラスターが発生したため、劇場側が途中の外出を禁止していたんだ。クラスターが繁華街で発生したためらしい。そのことを知らないで入場したもんだから、外で食事ができず往生したよ!」と嘆いていた。なるほど地方によって特殊事情がある。

「おれは、東京駅から関西に向かうため夜行バスを利用したんだ。新幹線の半額と安いからと、いつもJRの夜行バスを使っているんだ。今回も安い四列シートを予約したんだけど、四列シートの夜行バスは一日一便しかなくなっていた。しかも、密にならないよう二席でひとつと座席数を制限している。この点は快適だった。発車時間も遅く、乗っている時間も長いけど、運賃が格別に安いので我慢して利用することにした。

 そこで、いつものように早めに行って待合室でゆっくりしようと思ったんだ。平日の夜に行ったら客がいない。いつも五人ほどいる切符売り場が二人で対応している。問題は待合室が閉鎖していること。照明も消えている。「えぇー、待合室がないのー」と係員に聞いたら、「すみません。東京アラートの関係で閉鎖しているんです。お困りですよね。ほんと早く待合室が利用できるようになってほしいです。」と同情される始末。仕方なく東京駅の構内で二時間も時間つぶしすることになる。

 夜行バスの乗客が極端に少ない。10人くらいかな。コロナ対策として、乗車時に検温チェック、マスク着用、手の消毒を義務づけている。なんか当日はよく眠れなかったよ。」

 一方、新幹線で移動した人からは「新幹線は平常ダイヤで運行している。だから本数は十分。しかも、平日は一車両に三人くらいしか乗ってなかった。マスク着用が前提だが外して寛げたよ。」「ちなみに、車内販売は、東京と大阪間は実施されているが、大阪と博多間はやっていない。JR系列の違いなんだね。」

 今の時期の移動方法は夜行バスより新幹線の方が絶対に便利だな。

 

「今は宿泊料金がめっちゃ安い。宿泊客が少ないため、高いホテルも安くしているし、安いところはもっと安くしている。外人向けに作られた二段ベッドの簡易宿泊施設なんか1000円を切っていると聞く。そういえば、いつも使っていたDVD試写室の宝島では宿泊料金の半額セールとカレーライスの食べ放題のサービスをやっていたもんな。これには驚いたよ。ホテル業界は東京オリンピックで需要増を見込んだのが完全に裏目に出ているな。まさに宿泊料金の価格破壊が起こっている感じだ。そのため経営的にかなり苦しくなり、統廃合が起こっている。」

 

 この二か月間のコロナ自粛期間中に街の中が様変わりしてきた。

 いつも食事に使っていた飲食店がなくなっているところもある。悲しい現実である。

  ともあれ、ようやく街に人が戻りつつある。

 しかし、観光などを始め県を跨いだ旅行は自粛ムードから解放されていない。

 ストリップも常連客が遠征を始めないと活気が出ない。

 今の経済は、人の移動があって初めて景気ずくようになっている。以前のように戻るにはもうしばらく時間がかかりそうだ。

 

 ちんぽ三兄弟が西日本の劇場をご挨拶回りに遠征してきた。

 大阪東洋ショー劇場は、コロナ対策で場内の雰囲気が変わっていた。座席は客同士のソーシャルディスタンスから一個置きにしている。だから座席数は通常の半分50席となる。50人満席を前提にすると経営的には四人香盤になるのかな。一日四回公演で、いつも通り13時開演で、いつもより早めの22時に終演する。コロナ対策はかなり神経質に対応している感じ。入場時には検温、手のアルコール消毒。ポラ撮影でも手の消毒、距離を開けての行列など徹底している。ステージ一回毎に丁寧に清掃している。観客の中で一人でも感染者を出したら閉鎖されるという強い危機感だね。一番大きな変化は、扉を開けながら公演していること。もちろん換気を配慮してのこと。そのためラウンジの照明は暗くしてある。ステージからラウンジの明るさが漏れるとステージが台無しだからね。それにしても、暗いラウンジで食事を採ると気分も暗くなる。

 大阪晃生ショー劇場は、かぶりの一列目は端の四席のみ。二列目以降は一席置きにしている。ポラの行列も間隔を空けている。検温や消毒は同じ。四人香盤。

 京都DX東寺は、全席を一個置きにしている。検温や消毒は同じ。四人香盤。

 広島大一劇場は、かぶり一列目が座れない。二列目から一個置き。ステージ一回毎に換気で扉を開けると路上が見える。無断で人が出入りしないか心配になる。

 岐阜まさご座も四人香盤になった。

 

 出演メンバーが通常より少ないのがやはり残念。いろいろ観てくるとストレスを感ずる。

しかしながら、ストリップファンは誰しも、コロナでストリップがダメにならなくて本当に良かったと心底思っている。

 馴染みの踊り子さんが笑顔で迎えてくれることが心より嬉しい。「元気で会いに来てくれて本当にありがとうね」

 ちんぽ三兄弟は、遠征を含め、今はコロナ明けの挨拶回りをする毎日である。

 

                                   

2020年6月12日