今回は、「ストリップと作家」というテーマで書いてみました。
先ほど、ストリップへの女性パワー台頭という話をした。
渋谷道劇では初日に続いて、二日目の朝からも若くてかわいい女の子二人組が入場していた。もしかしたら、踊り子になりたくて見学に来た娘かなと思ったが、そうでもなく普通の観客みたい。ひととおり、一ステージを観てから帰って行った。
そんな女性客の様子を横目で見ながら、スト仲間と話したら、興味深い話をしてくれた。女性が観劇に来るのは渋谷など一部の劇場の現象ではなく全国的なものだ。それは、直木賞作家が女性週刊誌などにストリップ・レポを掲載して話題になっていることが強く影響している。相田樹音さんとの対談も有名になったよ。女性の作家だが名前までは覚えていないな。・・・
私は早速、携帯しているノートパソコンで検索してみた。彼女の名前は桜木紫乃(しの)さん。2013年の第149回直木賞を小説「ホテルローヤル」で受賞している。当時48歳なので今は50歳くらいか。北海道の釧路出身。私は仕事で釧路に何度も出張したので親近感を覚えた。ストリップ・ファンで札幌道頓堀劇場に通っていたという。
こういう有名人がストリップの魅力をアピールしてくれるのは誠に有難いこと。もっともっと著名人がストリップを盛り上げてくれないかな・・・たとえば、奥さんが元踊り子という萩本欽一さんやビートたけしさんあたりが宣伝してくれたら効果が大きいだろうになぁー。
先日も、ある踊り子さんから私のストリップ・レポートやエッセイを褒められて「本にしたら話題になりますよー」と言ってもらえた。なんらかの形で世に問いたいと密かに考えているが、家族や仕事を考えたら、今はまだその時期ではない。ストリップの神様が書け!書け!と言ってくれるので、今はひたすら書き続けようと思っている。
私は劇場内のロビーなどでパソコンを打ったり、ステージ中もメモをとったりしているので、かなり目立つらしい。ステージ中にメモをとるのは気が散るので止めてほしい!と踊り子さんや劇場の方から注意されることもあり私なりに結構苦心している。私のレポートを楽しみにしてくれる、かつメモをとっても怒らない方のみ対象にするようにしている。
先日、あるスト仲間が、私のことを「平成の永井荷風だね!」と評してくれた。
「ふらんす物語」で有名な永井荷風が風流人であることは知っていたが、ストリップ好きであることを初めて聞いた。1879.12.3~1959.4.30(満79歳没)明治12年生まれで大正・昭和にかけて戦前戦後を駆け抜けた人なんだね。ストリップに関しては、1949年(70歳)から翌年にかけて、浅草ロック座などで「渡り鳥いつ帰る」「春情鳩の街」「裸体」などの荷風作の劇が上演され、荷風自身特別出演として舞台に立ち、楽屋では踊り子たちと談笑する姿が新聞に載るなど話題を集めたようだ。
永井荷風は「ストリップを観ると執筆意欲が湧く」とストリップ通いしていたらしい。この点は私と共通している。私もエッセイや童話・ポエムを始め、これまでいろんなテーマで書き綴ってきたが、そのテーマのひとつとしてストリップが登場し、今やストリップだけを書く対象にしている。書くからこそのストリップ通いであり、書くことを趣味にしていなかったら、いくらヌード好きとはいえ、ストリップ通いも途中で飽きてしまったかもしれない。いずれにせよ、ストリップと書くという二つの趣味が融合し、年がら年中のストリップ人生となってしまった。
まさに、平成の永井荷風になるのが私の夢である。
平成27年7月 渋谷道劇にて