ストリップ童話『ちんぽ三兄弟』

 

□第38章 妖怪「ストリップわらし」の巻

                       ~六花ましろさん(道劇所属)に捧げる~

 

 

 仲良しの踊り子マッシ―がステージで新作を披露した。なんと黄色いちゃんちゃんこを羽織って妖怪「座敷童子(ざしきわらし)」を演じていた。

 ただ今「妖怪ブーム」のちんぽ三兄弟たちは大喜び。

 

 すぐに妖怪「座敷童子(ざしきわらし)」のことを調べる。

「岩手県を中心に,東北地方でいわれる妖怪の一種。赤顔の5~6歳ぐらいの幼児の姿をし,村々の旧家の奥座敷にいるとされる。子供たちが遊んでいるなかに突然現れたりするが,その姿は子供たちには見えてもおとなには見えないという伝承がある。座敷わらしが家に幸いをもたらすとか火事の前ぶれをするという伝承も多く,本来は子供を家の守護霊とする信仰が,姿を変えたものではないかといわれている。」byブリタニカ国際大百科事典

 

 ちん吉がポラを買う。

「そういえば、ちん吉くんは秋田出身よね。座敷童子は岩手の妖怪で、東北のいろんな地方に伝承されているけど、秋田にはいないらしいわね。」とマッシ―が話しかける。マッシ―は本作品を演じるにあたり座敷童子のことを詳しく調べているようだ。

 それに対して、ちん吉くんは秋田出身らしく説明する。

「うん、秋田には三吉鬼(さんきちおに)という妖怪がいてね、彼が座敷童子みたいな下等な妖怪は秋田に入れないとしていたらしいんだ。

 この三吉鬼は大酒呑みで、山から人里に下りてきてふらりと酒屋に現れる。酒を飲むと代金を払わずに出て行くが、夜中に代金の10倍ほどの値打ちのある薪を置いて行くという。しかし、このように薪を置いて行くのは代金を請求せずに黙っていたときのみであり、代金を無理に請求すると仇をなされてしまうといわれる。

 この三吉鬼はすごい働き者で人々にもてはやされていたらしい。1人では到底動かせない荷物があるなど、大きな仕事があるときには、酒樽を供えて三吉鬼に願をかけると、一夜のうちにその仕事が終わっていたこともあるという。そのために大名まで三吉鬼に仕事を頼んでいたというんだ。」

 ちん吉のお父さんは大工で三吉鬼のように大酒呑みで、しかも働き者だったらしい。もう死んでしまった父親のことを懐かしむように話した。ちん吉という名前は、お父さんが三吉鬼から一字をとって付けたらしい。

「岩手と秋田の土地柄を考えると面白い。岩手は山ばかり多くて貧しいところ。だからこそ努力家がたくさん輩出している。文学界では宮沢賢治や石川啄木は有名。政治界では原敬や鈴木善幸という総理大臣も出ている。その点、秋田は平野が多く、米や酒に恵まれている。秋田美人も多い。豊かなため、のんびりした性格なんだな。だから、岩手のような努力家は少なく、総理大臣は出ていない。

 座敷童子は元々、間引いた子供が幽霊として現れたもの。岩手はそれだけ貧しくて子供を育てられなかったんだ。少しでも金持ちになりたいという願望が座敷童子という幽霊を作ったんだとぼくは考えている。」

 ちん吉くんは博識なんだね。みんなが感心する。

「でもね、秋田にも座敷童子はいるんだ。なぜなら、ボクがそうなんだ。」とちん吉は言う。

「わっ!秋田の座敷童子は実は秋田から離れていたんだ。新しい歴史発見!」マッシ―は大はしゃぎ。

「ぽくは座敷童子というより、今や‘ストリップわらし’かな。ぼくがいる劇場は繁栄するよ。もっとぼくのことを大切に扱ってもらわないとね。」とウインクしました。

 ちんぽ三兄弟は今まで以上に弟分のちん吉のことをかわいがってあげました。

 

                                    おしまい