ストリップ童話『ちんぽ三兄弟』

 

□第53章 つるっばげ妖怪大集合の巻

                                         

 

  漫画好きの人でトキワ荘のことを知らない人はいないだろう。

トキワ荘(トキワそう)は、東京都豊島区南長崎三丁目に、1952年(昭和27年)から1982年(昭和57年)にかけて存在した木造2階建アパート。手塚治虫、藤子不二雄、石ノ森章太郎、赤塚不二夫ら著名な漫画家が居住していたことで知られ、漫画の「聖地」と呼ばれる。

 このたび、豊島区によって復元施設「豊島区立トキワ荘マンガミュージアム」が同区の南長崎花咲公園内に建設され、2020年7月7日(火)に開館の運びとなった。

 これに先立ち、今や亡くなった漫画家たちの亡霊がこのトキワ荘に集まってきた。

 最初に、お化けとして有名なキャラクター、つるっぱげに毛が三本の「オバケのQ太郎」が現れた。言うまでもなく、藤子不二雄の初期の代表作である。『週刊少年サンデー』1964年6号 - 1966年51号に掲載。ごく普通の家庭に住み着いた、1匹の間の抜けたオバケが引き起こす騒動を面白おかしく描いた藤子流生活ギャグ漫画の原点である。後にアニメ化され、「パーマン」そして今や世界的人気の「ドラえもん」と続くわけだ。これらのキャラクターは、まさしく私の多感な少年時代を色濃く飾ってくれた。私は人生の大切なことはすべて漫画から教えてもらったと云っても過言ではない。

 タイトル「オバケのQ太郎」について、藤子Fと藤子Ⓐは当時作ったアニメスタジオ「スタジオ・ゼロ」へ小田急線で通勤中に小田急→オバQ→「オバケのQ太郎」というタイトルを思いついたとインタビューで語っている。

 この漫画は大当たりし、当時オバQブームと呼ばれる社会現象を巻き起こした。

当初は、藤子FがQ太郎、藤子Ⓐが正太、北見けんいちが背景、石ノ森章太郎とつのだじろうがその他の人物を描いていた。オバケのQ太郎の漫画の中で石ノ森や赤塚の作品のキャラクター(『おそ松くん』の六つ子やチビ太など)が度々登場していたのはこのためである。

こうした経緯もあり、「オバケのQ太郎」が最初にトキワ荘再建に現れたのもよく分かる。

 

「オバケのQ太郎」は、せっかくなので他にもお化けキャラを集めようかと思ったが、全員そろいそうにないと思い、つるっぱげキャラを集めることに切り替えた。

そこで、次に現れたのが、赤塚不二夫作品からチビ太(『おそ松くん』に登場)。身長60センチの小柄な男児で、坊主頭のてっぺんに髪の毛が1本生えている。「ケケッ」と笑いながら、よくおでんを食べている。よく六つ子にいじめられているが、感動の名作の主人公になることが多く、ある意味「おそ松くん」の影の主役とも言われている。

手塚治虫作品からは、「三つ目が通る」の主人公・写楽保介が現れた。彼も立派につるっばげである。彼は三つ目族の子孫で不思議な力を持っている中学2年生。いつも額に大きなバンソウコウを貼っている、まるで幼い子どものように純真な少年。ところが、ひとたびバンソウコウがはがれると、その下から第三の目があらわれて、たちまち、恐ろしい超能力を発揮する悪魔のような三つ目人になり、古代史にまつわる難事件に立ち向かっていく。

 

つるっぱげが集まり、みんなは意気投合した。みんなで遊びに行こうという話になった。さて、どこに行くか?

つるっぱげは、やはり男性ホルモンが強いからであり、彼らは性的に旺盛である。

たまたま、オバケのQ太郎がストリッパーのじゅんこを連れてきていた。二人は大の仲良し。そこで、集まったみんなをストリップ劇場に連れて行くことにしました。

ストリップと聞いて、トキワ荘仲間ではない長谷川町子作品「サザエさん」から磯野波平が現れ、同行することになる。ハゲ頭に一本だけある髪の毛が波平のトレードマークである。ちなみに彼は機嫌が悪かった。「くだらないことをやりおって!」と叫んでいる。事情を聴くと、世田谷区桜新町に設置されたサザエさん一家の銅像で、波平さんの髪の毛が抜かれる事件が起きたとのこと。私には大事な髪の毛を悪戯され怒る気持ちがよく分かる。

 

ストリップ劇場への入場時、ちょっとトラブル発生。

背の低いチビ太と写楽保介は、入場時に子供と間違えられて入場を断られそうになった。それでチビ太が怒って「てやんでぇバーローちくしょーっ!」とべらんめぇ口調になると、受付嬢は慌てて入れてくれた。これで一瞬、機嫌を損ねたチビ太だったが、中に入ると常連のレレレのおじさん(『天才バカボン』に登場)がいて、「おでかけですか、レレレのレー?」と声をかけられて機嫌を直した。彼は集合写真が大好きである。二人は禿げ頭仲間でもあり気が合う。

 

劇場に入ったら、禿げ頭客がたくさん。ストリップは男性ホルモンの盛んなお年寄りばかりですなー笑

その中に、つるっぱげ妖怪が二人いた。

一人は、身体の大きな海坊主。もうひとりは、瓢箪鯰(ひょうたんなまず)のように掴まえ所が無い老人ぬらりひょん。二人はもともと海の仲間らしい。海坊主は亡霊のように現れては船を沈める。ぬらりひょんは、タコかクラゲが化けたものらしく、頭大の玉状のもので、船を寄せて浮かんでいるところを取ろうとすると、ヌラリと外れて底に沈み、ヒョンと浮いてくる。これを何度も繰り返して人をからかうという。岡山県の民間伝承では海坊主の一種と言われている。(秋田県の民間伝承では百鬼夜行の一員とされる)

二人ともいつのころからか陸に上がり、今や劇場の常連になっている。ぬらりひょんはその老人としての威厳からか「妖怪の総大将」とされている。

彼らは、ストリッパーのじゅんこに挨拶し、そして禿げ頭仲間たちを大歓迎した。

踊り子たちは、彼らが客席に並ぶと、照明効果がいいのか、ステージでハッスルする。

 

                                    おしまい