ストリップ童話『ちんぽ三兄弟』

 

□第37章 場内「妖怪ウオッチ」ブームの巻

 

 

 只今、ちんぽ三兄弟たちは劇場内での「妖怪ウオッチ」ブームの真っ最中。

 劇場は妖怪スポットに間違いない。

先日の妖怪アマビエの登場で彼らの「妖怪ウオッチ」魂に火が付いた。最近では狐の演目をやる、強い色香を放つ踊り子さんのことを妖怪「九尾の狐」ではないかと目を付けている。

 踊り子だけでなく、場内を見渡すと観客席にも妖怪がうじゃうじゃいることに気づく。

 

 まずは河童。茨城からやってきている「カッパさん」と呼ばれている常連客がいる。彼の頭はお皿のように禿げている。人懐こい顔で、キュウリをあげると喜ぶ。

 この手の妖怪は今後増えるかもしれないな。お皿禿げ予備軍はたくさんいるからね。

 

 次は、天狗。赤い顔をして、踊り子さんがオープンショーで近づいてくると、鼻を長くしてニオイを嗅ぐようにひくひくさせる。

 

 ゲゲゲの鬼太郎で有名な、こなきじじい。小柄な常連の老人。毎日のように劇場に通う。

 いつも、かぶり席に座り、石のように硬くなっている。早朝からラストまでかぶり席をじっと動かない。オープン時には、にたぁーっと子供のような笑顔で笑うので、踊り子さんから可愛がられる。

 

 ひょっこり現れるのが、坊主頭の「ぬらりひょん」。こちらも常連の老人だ。長年のストリップ歴をもっており不思議な貫禄があり「劇場の総大将」と呼ばれることもある。

 

 ボサボサ頭の「おとろし」。怖いを意味する「おどろおどろしい」が名前の由来。

 ボサボサと生えた長い髪の間から鋭い眼光と牙が見える。気持ち悪いので踊り子は目を合わせないようにしている。それでも彼はチップを出して踊り子の気を引こうとする。

 

 場内で喧嘩があると現れるのが「赤舌」。客同士で争いになると、口を大きく開けて舌を出し、間に入って仲介役に入る。争っていた客も、その顔を見るとひるんで喧嘩を止めてしまう。

 

 やけに男前な「桂男」。京都からやってきているらしい。

 イケメンな目つきで踊り子を誘う。ついついはまってしまう踊り子も多い。それを見て、

「こんなにイケメンなのに何故ストリップなんか来るんだ!おまえなんか普通にモテるだろう!?」と他の客のやきもちを一身に浴びる。

 

 とにかく体の大きな「ダイダラボッチ」。ジブリ映画「もののけ姫」に登場して一躍有名になった、シシ神の夜の姿でもある。

 彼の前に出るとみんながひれ伏す。前に座られるとステージが見えなくなるが、誰も文句は言わない。いや、言えない。

 

 面白いのが「あずきあらい(小豆洗い)」。シャキシャキシャキという小豆を磨いているような音をたててポラを買いに行く。踊り子の前に立つと、おもむろに「クリを剥いてくれますか?」と言う。やたらとクリトリスを撮りたがる。

 

 かわいいのは妖怪「ざしきわらし」。彼のことは話したいことがたくさんあるので別の稿「ストリップわらし」で話します。

 

 まだまだいる。

 男の妖怪ばかり紹介したが、女の妖怪もいる。

最近は入場した途端、場内に長い黒髪の女性が座っているのに驚く。彼女たちを真後ろから見たら、まるで妖怪だ。振り向いたら、目と鼻がない口裂け女かもしれない。貞子のように迫ってくるかもしれない。

 あぁ~っ!? 場内は妖怪でいっぱいだ。

 

                                    おしまい