今回は大阪東洋ショー劇場のH25年お正月特別公演における立花さやレポートをメモリアルしました。

 

 

 

本公演で二周年を迎えた立花さやさんにとって、今回の周年作品「ブラック・スワン」が初披露となった。

2010年のアメリカ映画「ブラック・スワン」をモチーフにした壮大なスぺクトラ作品に仕上がっている。

 

私は、この映画を観たこともなかったので、全くの前情報や先入観無くこの作品を眺め、その感想を手書きで手紙にしたため、さやさんに渡した。

ステージの内容は次の通り。

最初に、チャイコフスキーの名曲「白鳥の湖」にのって、華麗な白い衣装をまとったバレリーナが登場。座りながら、手振りで踊る。さすがに立ち上がって舞うのは大変と考えたのだろうが、手振りだけでも十分に魅了された。かなり練習したんだろうな。一曲目の最後に立ち上がり、バレエ特有の爪先立ちになる。立ち上がることにより白い衣装の華やかさが引き立つ。純白で、華麗で、荘厳で。。。

一転して、二曲目から、黒い衣装に身を纏って現れる。ホワイト・スワンからブラック・スワンへ変身。

そして、最後にブラック・スワンの衣装を軽装にしてから、ベッドへ。

胸元から一羽の白い羽根を取り出し、じっと見つめつつ想いを込めて、客席に投げ捨てる。印象的なシーンとして残る。そしてセクシーなベッド・ショーが展開される。

 

白と黒のコントラストが強く脳裏に残った。白と黒とは白鳥と黒鳥であるが、私は白い天使と黒い天使を暗示しているのかと感じた。私的な題名は『黒い堕天使』。白い天使がこの世の汚れた世界にまみれ黒い天使に堕ちていく姿がイメージされた。

白と黒は、天国と地獄、天使と悪魔、正常と狂乱、清楚・純真と淫靡・官能などのコントラストを表す。

きれいなままに生きていきたいと思っても、現実の世の中はどろどろした汚れた世界。悲しいかな、汚れに染まりながら生きていくしかない。

どんなに清楚に振る舞っても、心の奥底にはエロスの灯がともる。一方、どんなにセクシーさに振る舞っても、どこかでピュアでプラトニックなものに憧れる。清楚と淫靡のはざ間に揺れ動く。まさに清楚と淫靡とはコインの裏表なのかもしれない。

さやさんはこの難しいテーマをステージで表現しようとしているのかと思えた。

 

こうした感想を手書きで走り書きして渡した。ポラ時に「感想を書いてみたので読んでみて!」と渡したときに、「今回のはブラック・スワンなの」と返ってきた。

私は、あっ! その瞬間、ブラック・スワンという映画があったことを思い出した。「2周年作は映画のブラックスワンをテーマにしています。難しくてなかなか表現できないのですが・・・ヒロインのニナの夢と私を重ねてほしいです。」というポラ・コメント。

次のポラの時、さやさんから「感想ありがとう。だいたい合っていたわよ」と言ってもらえたが、私は映画の内容を確認したうえでもう一度感想を書き直そうと考えていた。

インターネットで映画「ブラック・スワン」を検索。ダーレン・アロノフスキー監督による2010年のアメリカのサイコスリラー映画。スター・ウォーズに出演していたナタリー・ポートマンがアカデミー主演女優賞を獲得。

映画のあらすじを読んで、凄い作品だ!と思い知った。さやさんが感動して、是非ともステージで演じてみたいと思った気持ちがよく分かった。それにしても難しいテーマに挑戦したものだ!と改めて感じ入った。この演目を演じ切ったときに、さやさんはまた一回り大きな踊り子に飛躍することだろう。

 

 

平成25年1月                            大阪東洋にて   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【参考】映画『ブラック・スワン』

ブラック・スワン』(原題: Black Swan)は、ダーレン・アロノフスキー監督による2010年アメリカサイコスリラー映画である。日本ではR15+指定作品として公開された。

概要

バレエ『白鳥の湖』の主演に抜擢され、潔白なホワイト・スワンと官能的なブラック・スワンの二つを演じることになったバレリーナが、プレッシャーなどによって徐々に精神を壊してゆくサスペンス映画である。主演のバレリーナをナタリー・ポートマン、その振付師をヴァンサン・カッセル、ライバルのバレリーナをミラ・キュニスが演じる。

批評面、興行面共に成功を収め、第83回アカデミー賞では作品賞を含む5部門で候補に挙がった。主演のナタリー・ポートマンは約10kgの減量で身体作りをした。また、幼少期の経験を活かし、1年に渡る過酷なバレエの特訓を行い[3]アカデミー主演女優賞を始めとする多くの賞を受賞した。しかし、ポートマンのダンス・シーンは後にボディダブル絡みの論争を巻き起こすこととなった。

ナタリーが演じるニナの練習着のデザインは、ドイツ在住の日本人ダンサー兼デザイナーの竹島由美子が担当した[4]

ストーリー

ニナ(ナタリー・ポートマン)は、ニューヨークのある一流バレエ団(バレエ・カンパニー)に所属し、バレリーナとして人生の全てをバレエに捧げる日々を送っている。一緒に住む母親のエリカ(バーバラ・ハーシー)は元バレリーナで、今では絵画を描く日々を送っているが、自分が果たせなかったバレリーナとしてのをニナに託すステージママとなっており、彼女に対して過剰なほどの愛情を注いでいる。

ニナの所属するバレエ団は次の公演『白鳥の湖』の上演準備に入り、バレエ団のフランス人監督トマ(ヴァンサン・カッセル)はこの演目のプリマ主役)を選ぼうとしていた。『白鳥の湖』の主役「スワン・クィーン」は、純真で無垢な「ホワイト・スワン」と、官能的で邪悪な「ブラック・スワン」の二役を一人で踊るため、相反する事柄を一人で表現する実力が必要である。トマスは年をとったプリマバレリーナのベス(ウィノナ・ライダー)をスワン・クィーン役には用いず、新人のリリー(ミラ・キュニス)やヴェロニカ(クセニア・ソロ)、そしてニナを候補者に挙げ、ニナにプリマとなるチャンスが巡ってくる。

しかし、ニナの生真面目で几帳面な気性はホワイト・スワン役には向いていたが、ブラック・スワンを表現しきれず、トマはヴェロニカを主役に選ぼうとする。ニナは再考を懇願しに監督のところへ行くと、トマに突然キスをされ、ニナは思わず彼のを噛んでしまう。ニナに意外な面があることに気付いたトマスは考えを翻し、ニナを主役に抜擢する。バレエ団は次の公演のためにレセプションを開き、トマスはバレエ団のプリマバレリーナだったベスの引退を発表し、さらにその場でニナを新しいスターとして招待客に紹介した。

ニナは華々しいデビューを飾るが、ロビーでトマを待っていたところにベスが現れ、トマを性的に誘惑してプリマバレリーナの座を得たのだろうと詰られ、ショックを受ける。その後、トマのアパートに招待された彼女は、ブラック・スワンを演じるために性的な喜びを追求することが必要だと忠告を受ける。

次の日から過酷な練習が始まるが、ニナは性的に魅了するような情熱に欠けているとトマに責められ、やがて精神的に疲れ幻覚妄想に悩まされるようになり、代役として控えているリリーが、自分がせっかく射止めた主役の座を奪おうとしているようにも思えてならなくなってくる。

ある夜、ニナは母親のエリカと諍いを起こし、リリーに誘われクラブへと飲みに出かけ、酔った勢いで麻薬を使い、男性と性行為に興じる。二人はニナのアパートに帰ったが、また母親と言い争ってしまう。ニナはリリーと二人だけで自分の部屋に閉じこもり、リリーと性行為にふけり、やがて寝込んでしまう。翌朝ニナが目を覚ますと彼女は一人で、一緒に居るはずのリリーはどこにも居なかった。練習場に駆けつけてみると、その練習はリリーがスワン・クィーン役を踊る形で始まっていた。ニナはリリーに対して、なぜ起こしてくれなかったのかと怒りをぶちまけるが、リリーは昨晩はクラブで出会った男性と一夜を過ごしたと言う。アパートの出来事はニナの妄想であった。

幻覚や妄想は日増しに酷くなり、『白鳥の湖』の開演を翌日に控えた前夜、監督トマと舞台裏でセックスをしているリリーが徐々にニナ自身に変身していくという幻覚症状に襲われ、帰宅後も母親が描いた数多くのが自分のことを嘲笑っているよう見えてしまう。さらに、自分の身体までもが鳥のように変化し、遂にニナは気を失って倒れてしまう。

いよいよ公演が始まる日の夕方、ニナが目覚めると、母が体調を崩し舞台に出られないと劇場に連絡したと告げられる。ニナは母を乱暴に振り切り、劇場へ向かう。劇場ではリリーがスワン・クィーンを踊る準備を進めていたが、ニナはそんな経緯は無視し、代役は不要だとトマスに告げ、ホワイト・スワンとして踊る準備をととのえた。

第一幕は順調に滑り出したかに見えたが、やがてニナは幻覚を見始め、仕舞いには王子役のバレエダンサーがニナを受け損なって、彼女を落としてしまう。すっかり憔悴して楽屋に戻ると、そこにはブラック・スワンの化粧をしているリリーの姿があった。そして眼前でリリーがニナ自身の姿へと変容する幻覚を見ながら、彼女と揉みあいになり、割れたガラス一片でリリーを刺殺してしまう。ニナはリリーの死体を隠し、第三幕を踊るため、ブラック・スワンとして舞台に登場した。

ニナはまるで身も心もブラック・スワンとなったかのように、情熱的にそして官能的に踊り、観客は総立ちで拍手をしてニナを褒め称えた。舞台を下りると、ニナはトマと抱き合いキスを交わす。しかし、ニナが楽屋で待っていると、そこにニナの踊りに感動したリリーが激励の言葉をかけに現れた。この時、ニナはリリーと争ったことは現実ではなく幻覚だったこと、鏡の破片で刺したのもリリーではなく、自分自身だったということに気付く。

第四幕(最後幕)舞台が始まり、ニナはフィナーレを完璧に踊りこなした。最後のホワイト・スワンが崖から跳び下りて自らの命を絶つ場面を演じながら、ニナは観客の中に母がいて感動してすすり泣いていることに気付いた。観客はまた総立ちになり劇場全体に割れんばかりの拍手が響き渡った。観客席が感動に包まれ、トマもニナを褒め称えて抱き上げるが、ニナの腹部からは大量の血が滲み出していた。完璧なバレエを舞いきったニナは、恍惚とした表情で宙を見上げるが、その視界は徐々に白んでいくのだった。

ウィキペディア(フリー百科事典)より掲載