「猫の恩返し」がやってくる  

~キャッチコピー「猫になっても、いいんじゃないッ?」~

 

 

 映画『猫の恩返し』の主人公、吉岡ハルは母親と二人暮らしの、平凡な女子高生。あ、忘れてはいけない。家族としてもう一匹、猫のユキちゃんも一緒に住んでいました。

ハルは猫と喋れるという不思議な力を持っていました。だから、ユキちゃんと何でも話せます。ユキちゃんは色白で、とても可愛い顔をしていました。おさかなクッキーが大好き。

 ユキちゃんは森のストリップ劇場に興味を持っていました。自分の美貌なら雇ってもらえると思って、ハルに相談したのです。そこで、二人は仲間である猫の事務所の相棒、貴公子バロンとでぶ猫ムタを連れて森のストリップ劇場に行くことにしました。あ、また忘れた。猫の事務所にはカラスのトトもいて勝手に飛んで連いてきました。

 

映画『猫の恩返し』の面々は、森のストリップ劇場にやってきました。

一同はストリップを観劇しながら、ここには猫キャラがいないことに気づきました。ユキちゃんは自分がデビューできるかどうかと思って真剣に見ていました。

「ここには、どうして猫キャラがいないのかしら? 人間のペットとしては犬と猫がダントツよね。人気のある猫キャラを置かないのは何故かしら? 私、雇ってもらえるかしら?」 ユキちゃんは心配でならない様子。

  ハルは近くにいたカメさんに尋ねてみた。カメさんは丁寧に答えた。

「どうも昔はここにも猫キャラもいたようです。ところが猫は往々にして自由気ままです。遅刻はするわ、公演をすっぽかして穴を開けるわ、大変だったようです。」

 それを聞いて、学校の遅刻常習犯であるハルは小さくなった。(笑)

 ユキちゃんは「私はちゃんとやります。是非ここで働きたいと思います。」と言う。

 カメさんは「ボクが劇場経営者の人に話をつないであげるよ。」と優しく応対してくれました。劇場経営者は、ユキちゃんの美貌と誠実な人柄に一目惚れし、是非ともここで働いてほしいと言いました。運よくユキちゃんはストリップ・デビューすることが決まりました。

 劇場経営者は、ユキちゃんなら人気が大ブレイクするだろうと予感していました。ユキちゃんで成功したら次々と猫キャラをデビューさせて「101匹猫ちゃん構想」を立ち上げようと計画していたほどです。

 

 ところが、一行が帰った後、事件が起こりました。

 ユキちゃんの恋人猫ムーンが、ストリップ・デビューに猛反対したのです。そして、「ユキちゃんを自分の伴侶にしたい」と激しくプロポーズしました。これにはユキちゃんが驚きました。愛するムーンがそこまで言ってくれるならとあっさりストリップ・デビューを止めてしまいました。

 今度は、ハルをはじめ周りの者が驚きました。せっかく劇場側に頼んだのにどうしよう?

 ハルは、猫の事務所からバロンとムタを同行して、森のストリップ劇場に謝りに行きました。劇場経営者は意外にあっさりしていて「やっぱり猫は自由気ままだな・・・」とポツリと言いました。

 この言葉に猫を代表としてハルは憤慨しました。

「そんなことはありません。私が代わりにデビューします。」ときっぱり言いました。そして「猫になっても、いいんじゃないッ?」と叫びました。すると、ハルの身体が変化していきました。猫耳と尻尾が生え、次には猫髭が生えてきました。バロンとムタがびっくりしています。

「私は今まで人に振り回されて生きてきた。学校の時間に振り回され、ついていけなくて遅刻ばかりしていた。でも、これからは違う。私は猫になると決めた。自分で決めた自分の時間を生きていくの。」と明言した。

 劇場関係者はハルの気迫に押された。また、猫のハルも可愛い♡と思いデビューさせることにした。というか、劇場関係者の方も既に「101匹猫ちゃん構想」を考えていたので後に引けなかったのである。

 

 ハルのデビューは無事に行われた。

 それどころか、彼女のデビューの裏で「101匹猫ちゃん構想」が次々と着手されていた。

 第一弾の目玉としては、猫キャラと言ったら何といってもサンリオのキティちゃんなので、彼女をターゲットにしてサンリオと交渉に入っていった。キティちゃんはサンリオのメインキャラなので交渉は難航。そのため同時並行的に、猫キャラの募集をかけた。すると次々と逸材が発掘された。渋谷のナナにゃんこと星乃にゃんこ、西川口の猫じゅんこTwitterで話題になっている甘え猫ホイップ、冬季限定出演の雪猫ちゃん、とどんどん候補が上がってきた。彼女たちは強い個性があり自分をもっていた。ところが猫は一緒に一般的に自由気ままな面から、自分を持っていない猫もたくさんいた。そういう猫を集めて48名のチームを作ることにした。チーム名は「ねこのぬけがら48」。チームを作ることによって「101匹猫ちゃん構想」は一気に実現に向かっていく。

 これにより、森のストリップ劇場は「猫の国」になりそうな気配だった。この傾向をカメさんとうさぎちゃんは憂慮した。これから先の話は長くなりそうなので別の稿とするね。

 

 そうそう、忘れていました。余談になりますが、森のストリップ劇場に同行したメンバーの中に、カラスのトトがいます。

「なんで、ストリップ劇場にカラスは登場していないんだぁー!!! 映画の中で一番活躍しているのはオレ様だぞー★」と叫んでいました。はい

 

おしまい