「もののけ姫」がやってくる
森のストリップ劇場に、中世の過去から、映画『もののけ姫』の主役二人、北の地エミシ(蝦夷)からやってきた正義感溢れる逞しい青年(いい男)アシタカと、犬神モロに育てられた‘もののけ姫’である野生美に満ちた少女サンがタイムスリップしてきた。
今の時代の日本に強い「たたり」を感じていた。特に今年(H30年)に入って大変な事態が次々と起こっている。梅雨というだけで西日本に豪雨をみまい、夏というだけで‘命に関わる’炎暑であったり、考えられないほど頻発する台風に襲われ、かつ北海道で震度7の大地震が起こり、そのたびにたくさんの死者を出している。人間の力ではどうすることもできない天災、この自然の猛威こそまさしく「たたり」だった。
人間は傲慢になり過ぎ、自然への「畏れ」を忘れていた。科学技術の発展で、宇宙に反射板を打上げて天候を自由に変えたり、台風の進路だって意のまま変えられると思っているのだろう。思い上がりも甚だしい。そんなことは出来ない。人間はこれまでの被災の経験を活かして、できるだけ被害を小さくするための防災の知恵を出すことぐらいしかできないのだ。そのことをアシタカとサンは知らせに来たのだった。
アシタカとサンは、森のストリップ劇場を訪れ、感激した。
森のストリップ劇場では、森の動物たち、そして時に人間も含み、みんなでストリップを楽しんでいた。
サンは「自然のまま、裸であることが素晴らしい。」と共感した。そして「私も一緒にストリップをやりたい!」といきなり舞台に上がって裸体になった。形のいい胸、引き締まった腹部、艶めかしいお尻のライン、そしてカモシカのような脚線美。まさにビーナスの輝き。自然(=神様)が作りたもうたものでこれだけ美しいものはないだろう。
アシタカはサンのビーナスのような裸体を眺めて「そなたは、美しい」と言葉を漏らす。
その言葉はサンを素直に喜ばせた。
アシタカはまさに曇りなき眼で見ていた。ストリップには人間を正直にする力がある。何も隠さず、全てを曝け出すからである。
人間には男と女がいる。それぞれ違うからこそ当然に対立も生ずる。しかし、ストリップをすることで心が正直になり、会話が生じ、調和⇒愛が生まれる。
アシタカとサンと一緒にタイムスリップしてきた動物たち、大カモシカのヤックル、猿に似た猩々(しょうじょう)、猪たちもストリップを喜んだ。
ヤックルは利口そうな顔で、アシタカとサンの戯れを眺めていた。すると、同じカモシカであるルドルフちゃんが赤乳をさらに真っ赤に染めてヤックルに近づいていった。鹿のバンビちゃんもヤックルのことが気になるご様子。ヤックルはアシタカに負けないだけのいい男なのである。
根暗の猩々たちにはストリップが意外に合っているようだ。「ここには木がたくさんある。自然がいっぱい。もっともっと木を植えたい。」と呟く。
猪たちは「さすがに、森のストリップ劇場には猪が出演していないなぁ~。猪も猪突猛進でカッコいいんだけどなぁ。僕らもステージに上がって踊ろう!」とはしゃぐ。しかし猪は踊れないので、子豚のレースならぬ猪のかけっこが始まった。かけっこと云えば、カメさんも黙っていられない。みんなでステージの上で暴れまわる。
そうそう、白い半透明の体を持っている変なものが一緒にタイムスリップしてきた。コダマ(木霊)だ。彼らは一種の精霊で、豊かな森林に住む。彼らも森のストリップ劇場が気に入ったらしく、二つの目と口らしい三つの穴を持つ顔をくるくる回転させて喜んでいる様子。
最後に、シシ神が現れた。コダマたちはシシ神の先導役になっていて、コダマが現われれば次にシシ神も現れるようになっているようだ。シシ神は身体がカモシカで、顔は人の面。森一番の神様だ。言葉は喋らない。しかし彼の表情を見ていると、彼の気持ちは誰にも伝わった。「森のストリップ劇場を、森と人間が共に生きる理想郷にしよう!」と言っているようだった。
アシタカは、過去に帰って、タタラ場(昔の製鉄所)を率いる女将エボシ御前とタタラ踏みのまとめ役トキさんに、森のストリップ劇場の話をしてあげようと言った。
実際にストリップを体験したサンが頷き、「私がみんなにストリップの魅力を伝えるわ。タタラ場の男衆もストリップを観たら増々頑張って仕事をすることでしょうね。」と張り切った。
きっと中世からストリップの歴史は始まるかもしれないね。(笑)
おしまい