リラックマがやってくる  

 

 

 森のストリップ劇場にリラックマたちがやってきた。カオルさんを先頭に、リラックマ、キイロイトリ、コリラックマの面々です。

 そうなった経緯を少し話しましょうね。リラックマが相変わらず部屋の中でゴロゴロしていました。それを見かねたカオルさんが「いつも家の中でゴロゴロばかりしていないで、たまには外に出たらどう?」と話しかけました。

 リラックマは「最近、カオルさん、ストリップにはまっているんだって!ボクも行きたいなー」と言い出しました。リラックマは最近、同じサンエックス・キャラクターの後輩すみっコぐらしが森のストリップ劇場に行った話題を耳にしていました。後輩に後れを取ったことが気にかかっていたのでした。(ちなみに、リラックマは2003年デビュー、すみっコぐらしは2012年デビューです。他にも、1998年デビューのたれぱんだが有名。)

それを聞いたキイロイトリもコリラックマも「ボクも行きたいな」と声を合わせます。

カオルさんは「しかたない。連れていくか。」ということになりました。

 

 森のストリップ劇場の踊り子も客も、リラックマたちのことを興味津々で見ていました。

 最初に声を掛けたのは、山のクマちゃんでした。リラックマとコリラックマを同じクマの仲間と思ったからでした。

 山のクマちゃんはリラックマの背中にあるファスナーが気になりました。しかし、リラックマはそのファスナーに触らせようとはしません。そして、世話好きな山のくまちゃんをしっしっと遠ざけようとしました。リラックマはただただ一人でゴロゴロしていたいのです。

 また、山のクマちゃんはコリラックマに対しても興味をもち近づきました。最初はちっちゃいので幼い子供のクマと思って親し気に近づいたのですが、どうも感じが違います。コリラックマは全く話をせず、山のくまちゃんを警戒しています。コリラックマには胸に赤いボタンがついており、少しほつれています。それを見た山のくまちゃんも最初のうち怪訝な顔をしましたが、生来お世話好きな山のくまちゃんのこと、ほつれたボタンを縫ってあげようとしました。しかし、コリラックマは嫌がり逃げてしまいました。リラックマが「そいつはクマじゃないよ。どこから来たのかも分からないんだ。いつの間にかボクらと一緒にいるんだ。」とフォローにならないフォローをしていました。というか、本物のクマかどうか怪しいリラックマが言うのも変か。(笑)

 うさぎちゃんがかわいいコリラックマにいちごをあげたら、コリラックマは機嫌が良くなりました。彼の好物はイチゴ、リンゴ、サクランボ。実はイチゴの甘さを見分けられるほどのイチゴ通らしい。

 

 さて、そろそろ森のストリップ公演が始まります。ところが開始時間がもう過ぎているのになかなか始まりません。観客がざわつきました。

 そこでリラックマの一言。「あくせくしたってはじまりませんぜ

 

 リラックマにとってストリップ劇場はとても居心地がいいようです。リラックマはバラード曲が流れるとかぶり席でもどこでも寝てしまいます。

 一方、コリラックマは音楽が鳴り出すと、身体を振って元気に踊り出します。する必要のないヘッドフォンまで付けてノリノリになっていることが多い。(笑)

 もう一匹のキイロイトリは、場内をさかんに歩き回っています。本人は「トベルモン」と言ってますがひたすら駆けずり回っている。何をやっているのかというと、お客が落とした小銭を探しては、見つけた小銭をガラス瓶にせっせと貯めていました。500円玉を見つけたときには嬉しそうな顔をしていました。最近は、劇場で早朝入場者のみに配るポラ撮影券をせっせと拾い集めていました。お客によってはポラ撮影しない人も多いのでよく捨てられていたのです。キイロイトリは屑箱も含めけっこうの数を拾い集めていました。それをリラックマやコリラックマにあげたりしました。時にカオルさんやカオルさんの仲間のスト女にあげると「これはほんのお礼よ」と言って500円玉をもらいました。そのときのキイロイトリは涙ぐむほど喜んでいました。

 メガネをかけた常連さんの一人がキイロイトリにラブコールを送ってきました。キイロイトリは彼のラブコールにしっかり応えました。彼はキイロイトリから撮影券をもらい、キイロイトリを連れて踊り子さんのところにポラを撮りに行きます。踊り子さんは皆「この鳥、かわいいねー」と可愛がってくれます。その常連さんもキイロイトリも大喜び。他人の捨てたふんどし、いや撮影券で一石二鳥(?)の楽しみを享受していました。

 

 リラックマもコリラックマもキイロイトリも劇場が気に入ったようです。「できるなら ここでず~っとダラダラしていたいなぁ~」と言いながら、毎日劇場に通っています。リラックマはしまいには外出用の寝袋をもってきてゴロゴロしています。劇場に泊まりたいようです。

  リラックマは劇場の常連客とも和んでいます。先に帰るときは残った客に「まあ ごゆるりと」と挨拶しました。

 

                                    おしまい