『サワティ王子の朝食』  

 

 8月31日、今日は野菜の日。

 サワティ王子が朝食をとりに松屋に入った。

 彼はいつも、朝食は朝昼兼用にしている。ストリップ劇場の開演はだいたい12時なので、劇場開場から開演までの時間にとる。劇場の開場はだいたい10時半からなので、11時までの松屋朝食サービスタイムに間に合うのが嬉しい。

「さて、今日の朝定食は何にしようかな?」

 注文発券用の券売機の前でふと悩む。

 サワティ王子は、小さい頃から朝は目玉焼きを食べる習慣が付いていた。というのは、彼の実家は小売店をやっていて、近くの養鶏場から大量の卵パックを仕入れていた。だから毎朝とれたての卵を食べることができたわけだが、もちろん新鮮なことと、もうひとつ理由があった。養鶏場では毎朝数えきれないほどの卵が産まれるが、その中には卵にヒビが入っていて商売にできないものがたくさん発生した。ヒビ割れタマゴと呼んでいた。それをワンパック10個にして買っていた。もともと捨てるしかないのだからタダ同然。安いのだから毎朝2~3個を食べていた。食べ残したら、痛みものだから保存ができず、その日のうちに捨てるしかないからね。

サワティ王子は券売機の前で「昨日も一昨日もダブルの目玉焼き定食を食べたなぁ~」と思い返す。「よし、今日は鮭定食にしようか!」ダブルの目玉焼き定食も鮭定食も同じ値段450円だからね。

 

「はい、お待たせしました!」と言って、女性の店員さんが配膳してくれる。

 目の前に鮭定食がお目見え。すると、鮭が「らぶ!サーモン!」と私にウインクしてきた。これには驚いた。

鮭のきりみちゃんが「あなたに美味しく食べられて嬉しい!」と言っている。

 私は思わず、きりみちゃんの小股のあたりを箸でつんつんした。いい感じで身がほぐれてきた。「このサーモンピンクの色付きがたまらないなぁ~。しかも濡れぐあいがとっても美味しそう♡」

 私ときりみちゃんのこの戯れを、横で見ていたものがいた。私はハッと思い、その視線の先を確かめた。すると、隣にいた客がダブルの目玉焼き定食を注文していた。その視線とは大きな二つの目玉焼きであった。まさしく大きな眼のようにじろりと睨んでいた。隣の客は半熟状態の目玉焼きを頼んでいたので、目玉焼きの視線は生々しかった。

目玉焼きが「いいんだ~いいんだ~。ボクはきりみちゃんにはかなわないよ。きりみちゃんの方がかわいいもんね。」とぐでぐでといじけている。

サワティ王子は思わず「あっ、今日は野菜の日で、きりみちゃんの誕生日なんだ。だから鮭定食にしたけど、明日からは目玉焼き定食に戻すよ。」と言い訳をした。

目玉焼きが「卵は ゆでるもよし 焼くもよし 生のままでもよし。いろんな調理法があるよー。それにセットでハムくんかウインナーくんも付いてくるよん。」とぐでぐてと説明してくる。

「わかった!わかった!明日は必ず卵にするからさー」とサワティ王子は言う。

 ぐでたまはようやく引き下がった。

 サワティ王子は「それにしてもぐでたまは、2013年組のライバル意識が強いなぁ~。きりみちゃんは2013年のサンリオの投票企画『食べキャラ総選挙〜食うか食われるか真剣勝負!〜』にてエントリーした20キャラクターのうち1位に輝き、2014年2月にメジャーデビューしたから。ぐでたまは、そのときの口惜しさが未だに尾を引いているんだなぁ~。」と内心思った。

「えっ!? なんか言った」 ぐでたまがボクをにらんできた。

「いやいや、なにもなにも・・・」ボクは言葉を濁す。

 

 翌朝、サワティ王子は、またまた、きりみちゃんに食指が動いた。

「やっぱりボクはストリップファンだから、タマより、サーモンピンクの方が好きなんだよな~♡」

 注文した後で「やっぱり、ぐでたまに悪いよなぁ~」と思い返し、女性の店員さんに「すみません、目玉焼きだけ追加注文お願いします。」と声を掛けた。

 今朝は、いつもの450円定食に追加注文70円で、計520円のリッチな朝食になった。

「目玉焼きと鮭だなんて、今日は贅沢だなぁ~」と思いながら、美味しい朝食を食べたサワティ王子だった。

 

                                    おしまい