. 「ズートピア」がやってくる
森のストリップ劇場に、映画『ズートピア』の主人公であるウサギ警察官ジュディ・ホップスと、キツネ警察官ニック・ワイルドがやってきました。
映画の中では、ズートピア初のウサギ警察官になった、いつも夢を信じる新米警察官ジュディに対して、夢を忘れたキツネ詐欺師ニックが弱みを握られて協力せざるを得なくなり、二人で難事件を解決していくことになる。ニックのことを‘夢を忘れた’と書きましたが、彼は幼少の頃にジュニアレンジャースカウトの団員になろうとしたが、「キツネは信用に値しない」として誓いの儀式で口輪をはめられるいじめを受け、心に傷を負う。そうしたトラウマから彼は夢や希望は既に捨て去っており、ズートピアに夢を持って上京してくる者達を冷ややかな目で見ていた。そのため会った当初からジュディをバカにして「ニンジン」や「ウサギ」などと呼んでいた。しかし、ニックは途中から大きく変わっていく。行方不明事件を追う中で、彼が詐欺師として得てきた知識や経験をジュディに見初められ、警察官になることを勧められ、最終的にキツネ初の警察官となった。
ジュディも、幼い頃に近所のキツネのギデオンにいじめられたこともあって、上京時に両親からもらったキツネよけスプレーも持ち歩いていたわけで、やはりキツネに対する偏見を持っていた。そのことが、後にニックとの葛藤を引き起こすことにつながる。ちなみに大人になったギデオンは、昔いじめたことを謝ってジュディと仲直りする。
最終的にはジュディはニックの人柄に惚れていく。
ズートピアというのは、「人間が存在したことのない、動物たちだけが暮らす別世界」で、即ち進化を遂げた動物が自ら高度な文明を築いてきた世界が舞台となっており、そこでは肉食動物と草食動物(捕食者と被捕食者)が共存する巨大都市である。
森のストリップ劇場も、基本的には動物たちがストリップを楽しむ世界。しかし、人間を排除するわけではなく、お客として歓迎しており、動物と人間が共生できる世界でもあった。その点、ズートピアより一歩進んだ世界であった。
ジュディとニックは、ズートピアを代表して、そうした進んだ考え方を学ぼうと森のストリップ劇場を見学に来ていました。
彼ら二人が一番驚いたのが、カメさんの存在でした。
ズートピアでは、肉食動物と草食動物が共存していると話しましたが、ズートピアという街を特徴付ける設定として「市内は気候や暮らす動物のために12のエリアに分けられて」いました。その中でも作中に登場するのは5つの主なエリア。砂漠の動物たちが暮らすエリアのサハラ・スクエア、寒冷地域の動物たちが暮らすエリアのツンドラ・タウン、熱帯雨林をモデルとしたエリアのレインフォレスト地区、小動物が暮らす地域であるリトル・ローデンシア、そして様々な種類の動物が暮らすサバンナがモデルとなるサバンナ・セントラルで、ここがズートピアの中心都市エリアで、ダウンタウンを含んでいた。
ズートピアの世界では、カメのような爬虫類(*)はいないのである。だから、うさぎちゃんとカメさんが親しげにストリップを楽しんでいる姿が異様に見えたのでした。
ジュディは同じウサギの仲間として、うさぎちゃんに親しげに声をかけた。
ジュディは、キツネであるニックのことを紹介した。そして、自分は幼少の頃に近所のキツネ(ギデオン)にいじめられていたこと、初めてズートピアに旅立つジュディに対して父親が「都会は怖いんだぞ!中でもキツネは最悪だ!」という忠告をして、キツネよけスプレーを持たせたことを話した。続けて、大人になったギデオンは昔いじめたことを謝ってきて仲直りしたこと、父親の忠告には「キツネ全部がイジワルじゃないわ。性格の悪いウサギだっているわよ」と言い返したことなどを話した。つまり、キツネのことを偏見で見てはいけないことを付け加えたのだった。
同じように、うさぎちゃんもカメさんのことを紹介した。そして、カメさんに誘われてストリップの世界に入ったこと、カメさんのことを尊敬していること、親はカメさんとの付き合いを認めないけど、私はカメさんと結婚したいことまで言及した。
ジュディとうさぎちゃんは意気投合した。
‘外見で物事を判断してはいけない。本当のことは心で見ないと分からない。’
おしまい