今回は、渋谷道劇の美月春さんの新作「NEVER LAND」について「ティンカー・ベルとウェンディ」という題名で観劇レポートします。

 

 

 

 

さて、今回は新作「NEVER LAND」を披露。

私なりに内容を紹介する。

 最初に、たくさんの葉の付いた緑のガウンを羽織って颯爽と登場。緑色っぽい髪(鬘)に、赤い羽根を一本側頭部に立てる。これでピーターパンだと分かる。右足に黄緑の紐をクロス状に巻き付け、黄土色のシューズを履いて軽快に舞う。

 次に、背中に四枚の透明な羽根を付けて登場。一目でティンカー・ベルと分かる。濃緑色のコルセットっぽい衣装を身に着け、黄緑のフワフワしたスカート。楽しそうに踊る。

 最後に、白いラグジュアリードレスでしとやかに登場。胸元に大きな花びら。黒髪に白いリボンを大きく垂らす。とても清楚な出で立ち。おそらくウェンディ。裸足のままベッドへ。

 

 美月ファンタジーを、演劇で培った表現力で演じている。すてきな作品に仕上がっている。

 これまでも、たくさんの踊り子さんのピーターパンを見てきた。特に、踊り子さんはティンカー・ベルが大好き。踊り子さんとディズニーの話をよくするが、ディズニー好きの方はみなさん、ティンカー・ベルを一度は演じてみたいと言う。もう辞めてしまったが、ロックの矢島愛美さんとMAYAさんのティカーペルが強く印象に残っている。

最初スペルをティンカーベルと思っていたけど、正式なスペルはティンカー・ベル(Tinker Bell)。辞書を見ると、イギリススコットランドの作家ジェームス・マシュー・バリーの戯曲『ケンシントン公園のピーター・パン』、小説『ピーター・パンとウェンディ』などに登場する妖精、とある。ディズニー映画では「髪の毛はブロンドで、おだんごにしていて、緑色のミニワンピースを着用している。背中には妖精の羽が生えており、真珠のついたヒール靴を履いている。」 原作通りの衣装に凝る踊り子さんも多い。

 

一方、ウェンディを演じているのを今回初めて観た。これまで、ティンカー・ベル人気に押されてウェンディは脇に置かれている感じ。春さんの作品は、ティンカー・ベルとウェンディを対等に演じている。

ウェンディの話を少しさせてもらう。

ウェンディはピーターに連れられて「ないない島」に心弾ませて行ったけれど、そこに待っていたものは苦難の連続。ワンパク少年達のおもりをさせられ、愛するピーターパンには母親代わりをさせられ、ちっとも面白くない。ところが、ウェンディはそうした不満を遠慮がちにしか言わなかった。ウェンディはピーターパンの友達ぶろうとしたけれど、実際は母親そのものだった。ピーターのごまかしを次第に本当のことと信じるようになった。こうして悪循環が始まった。

心理学的には、これを「ウェンディジレンマ」と言う。

一方、ティンカー・ベルはピーターの罠にはまるようなヘマはしない。ティンカーもピーターが好きだったが、自分を犠牲にしてまで気に入られようとは思わなかった。

ウェンディはピーターのきまぐれを許してしまうが、ティンカーはそれに対して挑戦する。

ウェンディはピーターが当り散らし始めると小さくなってしまうが、ティンカーはそんなバカバカしいことに取り合ってる暇はないし相手にしない。

ウェンディはこのうえなく真面目で、おしとやか。ティンカーは多少行き過ぎもあるが言いたいことはなんでも言い、人生としても前向きに生き、愛する人との対決も辞さない。

 

こう見てくると、踊り子さんがティンカー・ベルが大好きな理由がよく分かる。まさにティンカー・ベルは男性に依存しない自立した女性像。

一方のウェンディは典型的な嫁さんタイプ。男性ならばウェンディを嫁さんにしたくなる。男は誰しも心の奥で女房に母親を求めるから、自分のわがままを包んでくれるウェンディタイプは嫁さんにぴったり。ただ、男の浮気性は家庭にいるウェンディだけに満足せず、ときに‘ときめき’を求めて彷徨う。私にとってはそれがストリップ。

そんなことを春さんの演目「NEVER LAND」を観ながら想っていた。

さて、今日も私はネバーランドを求めて劇場を彷徨う。(笑)

 

 

平成26年7月                           西川口にて