『ボスベイビーとのストリップ・ミッション』  

~中条彩乃さん(ロック所属)に捧げる~

 

 

人類は、子供を産まない大変な時代に入ってしまった。どの生物も子孫繁栄があってこそ発展してきたわけであるから、子供を産まないということは人類の存亡にかかわる大問題。

原因はいろいろある。ひとつは、男性の肉食化から草食化への変化である。言い換えれば男がスケベでなくなってきたのである。これまでは結婚適齢期を前にして、男性は性的にガツガツし、女性を求めずにいられなかった。それが本能として組み込まれている。ところがネットやゲームの普及により、バーチャル的な内向き志向が強まり、男性が本来持っていた外に対する野獣のような戦い志向が弱まってきた。いわゆる‘おたく化’である。

また、スケベが残っている男性にとっても、今やAVを始めとした性風俗の普及で、性処理が極めて楽になった。僅かなお金さえ出せば簡単に性処理できるので、いちいち女性にアタックする必要がなくなったのである。

社会背景もそれに追い打ちをかける。コンビニ等の普及で、男性は結婚しなくても食事面では困らない。男女雇用機会均等法等により女性の社会進出が広がり、女性も仕事をするのが当たり前になり、男性に頼る必要がなくなった。女性としても仮に結婚しても仕事を続ける人が多くなり、そうすると仕事プラス家事の負担が増え不満も募る。当然、女性も結婚したがらない。

また、最近はLGBTの社会的認知が進んでいる。LGBTとは、女性同性愛者(レズビアン、Lesbian)、男性同性愛者(ゲイ、Gay)、両性愛者(バイセクシュアル、Bisexual)、トランスジェンダー(Transgender)の各単語の頭文字を組み合わせた表現である。あえて説明を要しないと思うが、トランスジェンダー(T)とは、“自身の性と心の性が一致しないが、外科的手術は望まない人”のこと。当然に彼らは子供を産まない。そのことを批判した政治家などは吊るし上げに遭うご時世である。

 

こうした傾向は、ストリップの衰退に繋がっていく。端的に云えば、スケベでなければ男はストリップに行かないのである。最近はスト女という女性のストリップ進出現象も見られるものの、数はまだまだ少ない。

サワティ王子は、これらを強く懸念してベイビー社に相談に行った。そこでボスベイビーと出会った。

既に、ベイビー社でもこの問題は強く認識されていた。ベイビー社にある大きな円グラフがベイビーのシェアが大きく減退していることを示していた。

サワティ王子はボスベイビーと協議することにした。

 

サワティ王子は、手始めにボスベイビーをストリップに誘った。まずは、ボスベイビーにストリップを知ってもらわないと話が進められない。

ボスベイビーは親友のティム(ティモシー・テンプルトン)、そして部下である、かわいい女の子のステイシー、やんちゃな三つ子、ふとっちょのジンボを連れて行く。彼らは外見が若すぎるためにサワティ王子が特別招待枠として入場させた。ちなみに、フランシス・フランシスとユージーンは外見上問題ないので通常の大人枠でこっそり入場していた。

ボスベイビー達を見た踊り子さんは、母性本能がくすぐられ、大サービスをした。見た目の身体は赤ちゃんだが、ボスベイビー達の意識は大人である。一発でストリップに嵌った。女の子のステイシーまで「ストリップをやりたい!」と騒ぐ有様。

ボスベイビーは札束を出して、チップと言ってばら撒いた。踊り子さんは狂喜する。それを見て増々ボスベイビーはストリップに嵌っていく。最近では外見を気にしているせいか、黒縁メガネをして劇場に通っているらしい。(笑)

 

まずは、どうすれば男性のスケベを取り戻せるか!

この点に関して、ボスベイビーは「スーパーミルク」の改良型を提案した。元々「スーパーミルク(Baby‛s secret formula)」とはベイビー社の経営チームが「意識は大人の状態で、身体は赤ちゃんのままを維持する」ために作られたものだった。これを改良すれば、「身体は常に若々しいままで、スケベを維持する」ことができるというものであった。高齢になれば、徐々に性は枯れていく。しかし、このスーパーミルクがあれば、男性は永遠に「スケベ親父」のままなのである。

合わせて、スーパーミルク専用の「おしゃぶり」を提案した。おしゃぶりは女性の乳首を象っている。そのため、男性に女性の乳首を吸わせ、それに慣れさせて、スーパーミルクを与えるのである。これで効果てきめん。

中には、映画のフランシス・フランシスのように乳糖不耐症の人もいるかもしれない。また変態さんのようにスケベの度が極めて高い方もいるかもしれない。そういう人には成分を変えることもできる。例えば、変態さんにはミルクの代わりに聖水を入れる。おしゃぶりでは乳首の代わりにクリちゃんを吸わせる等。これも効果てきめん。

こうしたことは女性との接触が必要なので、最初は専門のヘルス(SMクラブ?)で行う。しかし、これだと費用が高くつくので、次第にストリップに移行させて安く提供していくというのがサワティ王子の提案であった。ストリップには、タッチショーや素人大会、またSM大会・スカトロ大会などの変化系もあるので十分対応可能と考えていた。

しかも、このスーパーミルクには若さを保つという効果があることが分かり、踊り子さんにも大いに受け入れられ、おしゃぶりを含め協力する方が続出するというおまけつきであった。

 

サワティ王子は、男性がスケベを取り戻すためには、AVやネットのようなバーチャルの世界ではなく、生の女性を観て、触れ合っていく必要があることを強調した。その一歩としてストリップをもっと活用することである。

実は、ストリップにも昔から根本的な課題があった。若いときにストリップに嵌ってしまった男性は結婚しなくなるのである。サワティ王子自身は普通に結婚し子供三人を社会に旅出させた後からストリップに嵌った経緯がある。ところが多くのストリップ・ファンは独身のまま。サワティ王子はストリップ仲間に魅力的な男性がいっぱいいるのに結婚しないのは社会的に問題だ!と認識していた。時に酒を呑んで語り合うと、彼らは「ストリップさえあれば、いちいち面倒な交際や結婚しなくても、好きなときに好きな女性に会いに行けるからその方が楽でいいですよ。今から一般の女性と付き合って、デートを重ね、相手の親に会ってなど結婚の手続きを進めることは面倒くさくてたまりませんよ。」と話す。サワティ王子は彼らの言い分もよく理解しているものの、立派な仕事をして収入もあり、彼らこそ立派な家庭を築き、子供を育てる素養のある連中なのに、あまりにももったいないと思う。「親御さんは君が結婚するのを望んでいるだろ? 」と聞くと「もう諦めたようですよ。」と彼らは笑う。そうだろうか。

人はなぜこの世に生まれてきたのか? サワティ王子は「人は‘社会貢献’と‘子孫繁栄’のためにこの世に生まれてきている」という持論を持っていた。人類は常に進化し続けている。進化を止めたら人類は衰退する。その進化のために人々は自分の役割に応じて働かなければならない。それが社会貢献である。一方、人類が地球上である一定の地位を保ち繁栄し続けるためには子孫を増やさないといけない。この両輪が働いてこそ、人類は繁栄する。

この‘社会貢献’と‘子孫繁栄’のためは、DREAM志向とLOVE志向という二つのキーワードがあって、それがスパイラルに絡んで成長していく。DREAM志向を担うのが男性で、LOVE志向を担うのが女性である。男性が外で狩りをして、女性が家庭と育児を守る。それが長い間の形であった。しかし、その構造が先ほど述べたように崩れかけているのだ。

サワティ王子にとって、ストリップ仲間の多くが仕事で立派に社会貢献しているのに、もうひとつの子孫繁栄が欠けているのは大問題と思えた。しかも、それをストリップが助長しているのだから、ストリップ推進派のサワティ王子としても耐え難いこと。

 

この点について、ボスベイビーはいいアドバイスをしてくれた。

「映画『ポスベイビー』を観てくれたかな。映画のラスト、ボスベイビーはミッションを成功させ、ベイビー社の中で地位と名誉を手にした。黄金のオマルもね。(笑)

ところがしばらくして落ち込む。そう、トップは孤独なんだよ。淋しくて堪らない。そしてティムたちの家族でいた頃が懐かしく感じられる。

最後は、地位も名誉も全て捨て去って、以前のボスベイビーだった記憶も全て消し去って、もう一度テンプルトン家の次男坊として産まれることになる。仕事より大切なものが『家族愛』なんだよ。この映画の主題はそこにあるのさ。

ストリップに嵌って結婚しない人々には、是非とも映画を観てもらい、ボスベイビーの『家族愛』を感じてほしいな。」

サワティ王子はボスベイビーのアドバイスに大きく頷き、付け加えた。

「大切なのは『愛』なんだね。一般に男女の愛というのは相手を独占しようとする。ところがストリップは大好きな踊り子を独占しようとはしない。みんなで応援するんだ。私は、これをストリップ独自の‘見守る愛’だと考えている。愛にはいろんな形があっていいと思う。ボスベイビーの云う『家族愛』もそのひとつ。もっと『愛』という面からストリップを見ていく必要がありそうだね。」

サワティ王子は、ボスベイビーとの協議を通じて、ストリップの新たなミッション(任務)を再認識させられるともに、ストリップに新たな未来が見えてきたような気がした。

 

                                   おしまい

 

 

                          

 

 

ストリップ版ボスベイビー第二弾『バーチャル・ベイビー』  

 

 

 

 巷で「バーチャル・ベイビー」というゲームソフトが話題を呼んでいた。どうもオタク人間が作ったものらしい。

 内容はこうだ。二人の異性の情報を入力むして仮想で赤ちゃんを作り、それにネーミングして育てるというゲーム。以前に流行ったたまごっちの人間場である。かなり精巧に出来ていてリアル感抜群なのである。

 そのため入力項目は多岐にわたっている。まずは、外見面の情報として、二人の男女の顔写真、全体像、それに伴う身体的な情報や特徴を入力する。生年月日、身長・体重、スリーサイズ、ホクロの位置、身体的不具合(歩き方がガニ股など)、病歴、など。次に性格面の情報。感情コントロール状況(怒りっぽい等)、思想(政治的なものを含む)、趣味、異性の好み、など。そして環境面の情報。出身地、家族構成、学歴、友達、など。

 こうした男女二人の情報を入力する。なお顔写真や生年月日、身長・体重など必須入力項目はあるものの、不明な情報は入力むしなくても構わない。このときにはコンピューターAIが適切に判断し補ってくれる。ただ、入力情報が多いほどリアル感に富む。

 ともあれ、こうした入力情報に基づいて、バーチャル・ベイビーが誕生する。

 

 産まれてくるベイビーには男女の区分も洗濯できるし、双子、次男・次女も可能である。

 オタク人間にとって、大好きな異性相手との子供が誕生するわけである。こんな嬉しいことはない。盲目のように可愛がり育てる。バーチャル・ベイビーはもちろん生身の子供と同じく夜泣きもする。めちゃくちゃ手がかかる。次第に子育てのため仕事どころではなくなる。そのためバーチャル・ベイビーを育てるために会社を退職する人も出てきて社会問題化している。

 

 また、バーチャル・ベイビーは何人との異性でも可能。当然相手が違えば別のベイビーが誕生する。顔かたちや性格が違い、その違いがたまらなく面白い。ふだんは相手にされない異性との子供をこっそり作って楽しめるのだから、オタク人間にはたまらない。

 

 先ほど、かなり精巧なゲームだと話したが、このゲームソフトは実際に現在のメガデータをベースに作られている。だから、現実に夫婦である男女カップルが入力すると今の自分たちの子供とそっくりのバーチャル・ベイビーが誕生する。もはやバーチャルとは言わないかな。それほどに成功に作られているからこそ、爆発的な人気ソフトになったのである。

 

 また、便利なことに、ひとつのバーチャル・ベイビーに飽きたらリセットするだけでいい。生身の人間と違って、子育てする責任を持つ必要ははない。簡単にリセットできるのがバーチャルの良さでもあった。しかし、リセットを繰り返していると心がだんだん荒んでくるのが分かる。これも大きな問題であった。

 

 いずれにせよ、いろいろ問題含みではあるにせよ、このバーチャル・ベイビーはひとつの社会現象として普及してきていた。

 

 

 ボスベイビーは、バーチャル・ベイビーに危機感を募らせていた。

 バーチャル・ベイビーが流行り出してから、出生率が極端に落ちだした。ゲームの中で子育てを味わえるため、実際に苦労して結婚や子育てをする必要がなくなってきた。特にオタク人間というのはそういうのが苦手な人達なので、仮想現実の中で生きていければ十分なのである。オタク人間が増えることで出生率が下がったことは既にお話しした通り。これにバーチャル・ベイビーが拍車をかけて出生率を落としているのだった。

 

 

 ストリップの世界でもバーチャル・ベイビーが浸透してきた。

 もともと踊り子というのは、スト客にとって高嶺の花。絶世の美女であればあるほど手の届かない対象である。彼女との結婚は夢のまた夢。だから、好きになった踊り子さんとのバーチャル・ベイビーを作って楽しむスト客が増えている。

 バーチャル・ベイビーそのものが直接的にストリップ界にダメージを与えることはないものの、出生率が下がれば人口が減り、いずれは踊り子も客も減っていくということになりかねない。ストリップ王子はボスベイビーと連携して、バーチャル・ベイビー対策を練ることとなった。

 

 

 ストリップ王子は、まずはバーチャルの世界ではなく、生身の人間に目を向けるためにストリップを推奨していた。これはバーチャル・ベイビー以前から、AVやインターネットの普及した頃から取り組んでいた。映像や機械を相手にするのではなく、やはり実際の人間同士の触れ合いが大事と考える。しかし、従来のストリップでは直接的な触れ合いはない。ただ間接的な触れ合いはできる。少しの会話、握手、手紙のやり取り等は可能だ。

 

 ストリップ王子は、バーチャル・ベイビーに対抗するキーワードは『愛』だと考えていた。先に‘見守る愛’ということを話したが、応援には無償の愛がある。ストリップ王子はそれ以外にも更に別の「ストリップに愛を取り込む」ことを真剣に考えていた。

 

 具体的には、ストリップを男女の出会いの場にしたい、と。

 対象は踊り子ではない。踊り子はステージを魅せる、あくまで憧れの存在として位置付ける。踊り子と客には適正な距離が存するというのがストリップ王子の持論であったからね。

 男性客の相手をするのは一般の女性。スト女と呼ばれる女性客がものすごい勢いで増えていた。特定の踊り子をカリスマとして崇め、追いかけている女性客が多かった。そこで、その踊り子が自分を応援する女性客と男性客を結びつける恋のキューピットの役割を果たしたらどうかと考えた。

 

 例えば、これまでお客が踊り子さんに渡していた手紙やお絵かき依頼、色紙依頼、もちろん差し入れも込みで、渡す対象をその踊り小を応援するスト女にまで広げる。スト女は決して女が好きで男が嫌いなわけではない。交際相手を見つけたい人はたくさんいる。客それぞれの好みを、つまり手紙好き、絵が好き、音楽が好き等を踊り子が判断し、踊り子が仲介役になって、男性客とスト女との間をとりもつのである。

 

 また劇場側は、男女がカップルになるためのいろんな企画を練る。一番簡単なのが、じゃんけんで勝ち残った男女でフィーリングカップル5vs5形式をやる。少し凝ると、じゃんけんで勝ち残った男性客と踊り子が新婚カップルの寸劇を行う。次に踊り子とスト女が交代する。とか

 ゲームで好きな女性とのデート券をGETする企画もウケる。面白いものとして、これまで通りのパンティプレゼントを踊り子からスト女に広げる。スト女としても自分がはいた下着を欲しがる男性には関心が向くよね。かわいくなって交際が始まるケースも増えるだろう。

 

 お互いストリップという趣味を共通する者同士、しかも憧れの踊り子も一緒なので、話題に事欠かず、ストリップ通いのり理解が深い。結婚しても一緒にストリップを愉しめる。これまでのように、ストリップ通いがばれて離婚するケースは減る。みんながストリップでハッピー♪ 万々歳である。

 

 ストリップ王子の努力が功を奏して、ストリップは更なる隆興となる。

 合わせて、バーチャル・ベイビーも様々な問題が表面化するとともに人気は落ち廃れてきた。

 

                                   おしまい

 

 

 

ストリップ版ボスベイビー第三弾『Tedとの共演』  

 

 

 

 ベイビー誕生に対する阻害要因を、ペット、そしてバーチャルベイビーと見てきたが、次に現れたのは‘ぬいぐるみ’であった。

 ペットは生き物だし、バーチャルベイビーも仮想空間の中で生き物のように振る舞う。ところが、ぬいぐるみは全く生き物とは違う。だから面白くないかと言うと、そうでもない。現代人は、相手が生き物のために振り回されるより、ただカワイイ顔をしている無機質な置物の方が心が休まるようなんだ。要するに、人間というのは自己中な生き物だから、自分の意に反する言動を嫌がり、自分の感情を黙って全て受け止めてくれるぬいぐるみにたまらない愛着を覚える。楽しいときは一緒に遊んでくれて、悲しいときは一緒に泣いてくれる。人間はぬいぐるみに自由自在に感情移入できるのだ。こんな人間の自分勝手を許してくれるものなんてこの世に存しない。

 しかも安く手に入るし、ペットのように処分に困らない。最終的にはゴミ扱いすればいい。そんなお手軽な対象物、それがぬいぐるみなのだ。

 

 全ての動物やキャラクターが、ぬいぐるみの対象となる。まさしく千差万別、多種多様。その中から自分のお気に入りを見つければいい。

 子供や女性の間で圧倒的な人気を誇るのが、くまのぬいぐるみである。

 よくテディベアと云うよね。なぜテディと云うか知ってるかな? テディとは第一次世界大戦のときのアメリカ大統領ルーズベルトの愛称です。彼がハンティングに行ったとき、標的にした熊があまりにも可愛く見えてしまい撃つことができなかった、というエピソードからきています。その話を聞いたドイツの車椅子の女性がクマのぬいぐるみを作り、叔父の工場で販売したところ爆発的に売れました。

 そのクマのぬいぐるみのひとつが、イギリスのクリストファー・ロビンという幼い男の子の部屋にありました。彼のお父さんA・A・ミルンはそのクマを主人公に童話を書きました。それが有名な「クマのプーさん」です。

 クマのプーさんを見れば、テディベアの魅力はなんとなく分かってもらえると思う。身体が大きく、モフモフしているよね。女性や子供は、そこに身体の大きな、頼りがいのある男性をイメージしているようです。だから、文句を言って扱いにくい生身の人間より、なんでも言う事を聞いてくれるぬいぐるみに愛着を感じてしまうようです。そうなると男性は女性からだんだん相手をしてもらえなくなりますね。

 

 さて、ベイビー社にある、一番目立つところに掲示されている大きな円グラフに、ぬいぐるみのシェアが大きく伸びてきています。バーチャルベイビーが衰退したことも大きな原因にもなっているようです。そして、このぬいぐるみの存在が出生率に大きく影響していると分かり、ベイビー社としては無視できなくなりました。

 ボスベイビーは、このぬいぐるみ対策を練る必要がありました。彼は仲良くなったサワティ王子とも相談しました。サワティ王子は、踊り子さんがクマのキャラクターが大好きなのを知っていて、彼女たちからTEDという生きたテディベアがいることを知りました。サワティ王子とボスベイビーはさっそく映画館に行って、その存在を確かめて、実際に二人でTEDに会いに行くことにしました。

 

 ご存知のように、TEDはおっさんキャラです。見た目は、もふもふとしたカワイイぬいぐるみなのですが、話し言葉や行動はおっさんそのものです。

 ボスベイビーもTEDも、お互いの本能かのように相手に拒否反応を示しました。相手を見つめる視線がバチバチと対立の炎が出ています。

「おまえかぁ~、おれの真似をしたおっさんキャラのぬいぐるみというのは~!?」とボスベイビーは叫びました。

「なにを言うかーっ!映画デビューはおれの方が先だ。おれは既に第二弾の映画にも出演しているんだ。」とTEDは切り返した。

「チビ・デブ・ハゲというのが、おっさんの条件だー。おまえはモフモフと大きいし、ハゲていないではないか。そんなんで、おっさんキャラと言えるかー。」とボスベイビーは息巻く。

「なにを言うか!? おまえは、タバコを吸えるか? 酒が飲めるか? おれなんかはマリファナだっていけるんだぞー!」とTEDは毒舌を始めた。

「そんなんで‘おっさん度’を計るなんて馬鹿げている。おっさんは心の有り様だ。かの有名なサミエル・ウルマンは『青春の詩』で、青春とは心の有り様だと言っている。青春の対語として、老人には玄冬という渋い表現があるのをおまえは知っているか?」

「そんな玄冬なんて言葉は知らない!」とTEDは言う。

「おまえはおつむが弱いようだな!」とボスベイビーはTEDを馬鹿にしたような表情を浮かべた。

「そんなことより、おっさんならどれだけスケベかで勝負しようぜ!」とTEDは言う。そして「一体おまえは、女性を満足させられるのか? おれは女房をもらったことがある。映画『TED2』では裁判で少し揉めたけど・・。まぁ、おれさまは女房を満足させられる。おまえはまだ皮がむけてないだろう・・」と馬鹿にした表情をする。

 それに対して「なにを言っているか。いまは皮をかぶっているが、いずれは立派に女性を満足させられる。将来性はあるんだ。それより、おまえの方は最初から生殖機能を持っていないだろ。」とボスベイビーは反撃する。

「身体的な欠陥を問題にする発言はやめようぜ。埒が明かないし、情けなくなる。それよりも言葉でどれだけ女性を満足させられるかで競争しよう!」とTEDは提案した。

 横で二人のやりとりを聞いていたサワティ王子は半分あきれ顔だったが、最終的にその提案にのることにした。そして、ボスベイビーとTEDの二人をストリップ劇場に連れて行って、踊り子さんの前で二人のおっさん振りを披露し、人気投票することにした。

 TEDがステージの上に上がり、かわいい顔を更に愛くるしくさせて、しかも渋い声を発して、踊り子さんに手を振る。すると、踊り子さんたちは「TED―っ!!!! もふもふしていてカワイイー♡」と悲鳴を上げる。踊り子の中には熱狂してTEDにハグをする人が現れる。すると「だいちゅきー(大好き)!」と自動音声が流れる。これまた大歓声!!!

 一方、ボスベイビーもかわいい表情から一転ニヒルな渋い顔になって、踊り子さんに手を振る。これまた踊り子さんたちが「キャー、ボスベイビー、最高にチャーミング♡ 見ているだけで濡れちゃう♡」と悲鳴が上がる。

 二人の人気は絶大だった。その人気は甲乙つけがたく、とても勝負がつくような状態ではない。

 このおっさんキャラの人気はなんだ!!! この結果を見て、肝心のスト客である並みいるおっさん達は「おれたちは一体なんなんだ」と肩身の狭い思いをせざるをえなかった。(笑)

 この状況を踏まえて、サワティ王子は「二人とも踊り子さんの人気は凄まじいものがあるね。君たちは今まさに青春真っただ中だよ。御見それしました。この際、つまらないことでいがみ合わずに、お互いの共生を目指していこうじゃないか!」と声を高めました。

 ボスベイビーもTEDも悪い気はしませんでした。

 こうしてベイビーとぬいぐるみの共生の道を見つけることに邁進しました。

 

 女性というのは、かわいいもの、美しいもの、光るもの、面白いこと、そして何よりも自分のことを綺麗だ!と褒められることが大好きです。そして、歌うこと、踊ること、お絵描きすること、お喋りすること、おいしいものを食べること、それを料理すること、などは本能的な領域です。また、おそらくエッチも大好き。そういう気持ちのいいものに目がない生き物なんですね。

 男は女性のこういう習性をしっかり勉強しなくてはいけません。そうすれば、女性はぬいぐるみばかりに目が行くようにはなりません。やはり生身の男性が一番いいのです。

 サワティ王子は、ストリップをそんな憩いの場所にしたかったのです。男と女が一緒に楽しみ、そして人間教育の場にしようと考えました。

 その結果、ベイビーのシェアは回復していきました。

 

                                めでたしめでたし