今回は、ロックの踊り子・徳永しおりさんの演目「マクロス」について語ります。
本公演の徳永しおりさんは二個出し。1.3回目は二作目の「マクロス」、2.4回目はデビュー作「記念すべき1作目」。
今回は、二作目の「マクロス」について紹介する。
その前に、今回の作品について、しおりさんから作品解説のポラコメを頂いたのでそのまま掲載する。「今回の作品のテーマは『なりたい自分』『憧れ』ということでマクロスフロンティアに出てくる歌姫をイメージしてみました。彼女のイメージ曲は『ノーザンクロス』『What' bout my star?』『ユニバーサル・バニー』『ダイアモンドクレバス』です。自身の心細さを押し込め、人前で堂々と歌い切る銀河の妖精です。」このポラコメのお陰で本作品を理解する道筋を見つけた。
最初に、しおりさんが青い軍服姿で登場する。これはマクロスフロンティアに出てくる歌姫シェリル・ノームをイメージしているのだろう。
青い生地の中に、襟や袖や裏地に見える赤が色彩のポイントになっている。軍服らしく肩に白い紐の輪を付けている。黒いブーツを履いて颯爽に舞い踊る。本来はマイクを持って歌うんだろうな。しおりさんの生歌を聴いてみたいなー♪
軍服を脱ぐと、下には肩紐のない黒いブラ(ビスチェ)と黒いホットパンツというセパレートな軽装。しおりさんの白い肌に黒が映える。裸足で舞い踊る。
更に、黒いブラとパンツを脱いで全裸になる。長身のヌード、美しい顔立ち、長い黒髪、透き通るほどの白い肌、形のいいバスト、魅惑的な大きなお尻、そして眩しいばかりのパイパン。まさに、ビーナスの輝きだ。
最後に、頭にかぶる花輪から後ろに白いベールが流れる、白いウエディングドレスの雰囲気でベッドショーへ。
とてもデビュー半年足らずの新人とは思えない、堂々とした演技である。でも、しおりさんも「自身の心細さを押し込め」頑張っているのかな!?とふと感じた。大丈夫だよ。我々ストリップ・ファンは、しおりさんのように美しい方のヌードとステージを堪能できて本当に幸せなんだ。必ず踊り子として「銀河の妖精」になれるように応援すると誓うよ。
次に、作品の背景となる「マクロス」について話す。
私は「マクロス」についての知識は全くなかった。そこで、しおりさんのポラコメを頼りに、ネットでいろいろ検索してみた。
マクロスシリーズの最初は、ロボットアニメ『超時空要塞マクロス』が1982年10月からテレビ放送されて皮切り。これは『宇宙戦艦ヤマト』や『機動戦士ガンダム』により隆盛した1980年代前半のアニメブームを象徴する作品のひとつ。ロボットアニメにSF、ラブコメ、アイドルといった当時の若者文化の流行をちりばめた個性的な作風が特徴になっている。
私は若い頃『宇宙戦艦ヤマト』に嵌まっていた。高校三年生の学園祭で我がクラスは『宇宙戦艦ヤマト』を取り上げたのが懐かしい。その後、『機動戦士ガンダム』については息子のおもちゃとして合体ロボットを組み立てたくらいのお付き合いで、それ以上の深入りはしなかった。マクロスシリーズについては関心もなく全く知識をもっていない。
調べ始めは、当初のマクロスとマクロスフロンティアの違いもよく分からず頭の中がごちゃごちゃになっていたが、調べてるうちに漸く理解できた。マクロスシリーズというのはかなり広範に展開しており、その中に壮大な世界観をもっているのに驚いた。
『マクロスフロンティア』は「マクロスシリーズ」生誕25周年記念作品で、2008年4月から9月にテレビで放送されたのがスタート。「マクロスシリーズ」のコンセプトは「戦争(戦闘)」の他に「歌」と日常の「恋愛(三角関係)」にある。特に「歌」を中心に取り上げたことに感動するものがある。戦闘しか知らない異星人に生まれて初めて歌を聴かせることで戦闘意欲を失わせるシーンがある。歌を武器に使っていることも驚きだが、歌のもつ効用を人類の財産と位置づけている。主人公が歌姫として成長していくのが物語の柱ともなっている。また、本シリーズに取り上げられた歌は単なる挿入歌ではなく、物語の根幹に位置づけられるものとして扱われ、実際にヒットチャート上位にランクインし商業的にも大成功を収めている。
最近の若い踊り子さんは、選曲にアニメソングをたくさん使用しているし、演目そのものがアニメであることも多い。つい最近でも、渋谷道劇の新條希さんの演目『Scool idol project』を理解するために「school idol project」⇒「ラブライブ」⇒「μ's(ミューズ)」と次々と知識を増やしていった。これによって初めて作品がよく理解できたし、私も童話「Strip Idol Project」を書き上げることができた。また、TSの時咲さくらさんの演目『戦う絵夢子』を理解するためにアニメの帝国華撃団(セガのコンピューターゲームの「さくら大戦」シリーズ)を調べたばかり。私はもじって童話「TS華撃団」を書いてプレゼントした。
最近、ステージを観ても、ステージのテーマが全く理解できないことがある。そういうときは殆どがアニメのキャラ。正直、私は最近のアニメを全く見ていないのでついていけない。例えば、少し前にも、栗鳥巣さんと渚あおいさんのチームショーも人気漫画「弱虫ペダル」だったし、杏野るりさん(ロック所属)の出し物は少年漫画「聖闘士星矢」、MIKAさん(ロック所属)の出し物はアニメ「攻殻機動隊」だった。
レポートを書くにはどうしてもそのアニメを知らないといけないが、今はインターネットのお蔭で容易に検索できて本当に助かる。正直、こうした知識なしで作品を見ても本当の面白さは分からない。踊り子の伝えたい本意を受け止めるためには客は勉強しなければならない。踊り子の若さについていきたいなら、おじさん達は最低限のお勉強は必要なのである。私は、こうした踊り子と客の橋渡しをこのレポートでしたいと考えている。
アニメだけに限らない。演目の背景を知るとステージがとても味わい深くなることが多い。つい最近でもTSの時咲さくらさんの和物の演目『お葉』で、大正時代のモデル・お葉を取り巻く画家の伊藤晴雨と竹久夢二の葛藤をポラコメで教えてもらい、かなり調べてレポートした。さくらさんが驚き感激していた。調べていて一番感動したのは私自身。この感動をたくさんのファンと共有したいものだと思う。そうすればストリップの面白さは何倍にもなる。
ストリップとしての知識・常識や、こうしたステージの演目情報をたくさんのストリップ・ファンに提供できたらいいな。ストリップでたくさん楽しませてもらった恩返しにこういう試みはどうかなと密かに考えている。
しおりさんへのレポートがかなり脱線した内容になってしまいました。すみません。
最後に、いつものように童話を書きたくなりました。
宇宙にまつわる話『宇宙に咲く花』を本公演の記念にしおりさんへプレゼントします。
平成28年10月 大阪東洋ショー劇場にて
『宇宙に咲く花』
~徳永しおりさん(ロック所属)の演目「マクロス」を記念して~
暗黒な宇宙空間。
私は一機のロケットを操縦し、今、ストリップ星に向かっていた。その星では、全宇宙ストリップ大会が催されることになっていた。
実は、私が今精力的に応援しているストリッパーのシオリンがその大会に出場するために先に地球を発っていた。
話は少し溯る。若き花形スターになってきたシオリンは地球代表の選抜大会に出場したがった。まだ若いシオリンには全宇宙ストリップ大会出場は早いと思ったが、彼女の一途な想いに私は賛成せざるをえなかった。
その大会でグランプリを獲得すれば全宇宙的な人気ストリッパーになることを約束される。ただ、そうすれば、はるか彼方の星の劇場にも出演しなければならなくなり、今までように頻繁に会えなくなるなぁと感じた。でも、私は大好きなシオリンに夢をもって叶えてほしいと心から念じていた。
そして、シオリンは準ミスではあるが見事に地球代表に選抜された。私は彼女の大好きな薔薇の花束をステージに立つシオリンに贈った。彼女の歓喜する姿が目に焼き付いた。
私もすぐに彼女の後を追って、ストリップ星に応援に行くつもりでいた。
ところが、大変な悲報が入る。シオリンの乗ったロケットが遭難したというニュースに私の心は凍りついた。その事実を受け入れられない。私はすぐにロケットで単独飛行に踏み切り、もうすぐ、その遭難現場の近くまで来ていた。そのあたりはローズ星群と呼ばれている。
突然、私の目の前の宇宙空間に一人の美しい女性の姿が浮かびあがった。長い髪をなびかせ、切れ長の大きな瞳、透き通るほどの白い肌。
「シオリン・・・」 紛れもなくシオリンだった。私の目から涙が溢れた。
シオリンは私が応援に来てくれるのを待っていたかのように、私に微笑んで、踊りだした。
まるで、暗黒の宇宙に美しい大輪の花がパッと咲いたよう。
彼女がまとう衣装は薔薇のごとく赤く映え、漆黒の宇宙に薔薇のオーロラがかかる。そのオーロラはひらひらとはだけ、形のいい大きなバストが見え隠れした。なんとセクシーな光景だろう。更にオーロラの裾がめくれ、セクシーな太ももが露わになった。そして、彼女のブラック・ホールが見えた。
その瞬間、ロケットは稲妻を受けたように激しく揺れ、操縦不能になった。宇宙に激しい風が吹いているかのようだ。しかし、空気の無い宇宙空間に風が吹くはずがない。強い引力がロケットを引きつけているのだ。それは男性を魅了するエロスの力であり、私を求めるシオリンの愛の力であった。
ロケットは彼女のブラック・ホールに吸い寄せられた。私の身体は金縛りにあったように動かなくなった。そこは甘美な匂いに満たされ、温かい粘液が私の全身を包み込んだ。強い快感が渦巻いた。私はこのまま果てたい、そしてこのまま死んでもいいとさえ感じた。私は気を失っていた。
「目を覚まして!」シオリンの泣き声が聞こえた。
「死んじゃダメ!私の分も生きてほしいの!そして今までどおりにストリップを愛してほしい!」
目が覚めると、操縦席の上に一本の赤い薔薇の花が置いてあった。ロケットの窓の外には、シオリンの姿は消えていた。私は薔薇の花を握りしめて、涙をこぼした。
ロケットは元のように動き出した。
私はストリップ星に到着した。
全宇宙ストリップ大会は盛大に催された。いろんな星から選抜されたストリッパーが集まっていた。地面につくほど乳が大きく垂れ下がっているおっぱい星人もいたし、性器がむき出しになっている星人もいた。おそらく前者は授乳を重視した女性の進化形であろう。また後者は生殖を重視した進化形なんだろうが、やはり性器はふだんは隠しておく女性らしい恥じらいがあった方がいい。いろんな体型をした星人がいたが、地球人に一番近いのは猿の惑星から来た女性かな。毛深いが体型は同じ。こちらは人間に進化する前の姿と云える。
私には地球人の女性が一番美しいと思えた。見慣れているせいもあろうが、乳や性器という機能が突出しているわけでもなく、美とエロスがとてもバランスしている。案の定、今回の全宇宙ストリップ大会のグランプリは地球のミス代表が獲得した。シオリンが出場していたらもしかしたかも・・と思わずにはいられなかった。
地球に帰還した私は、それからもシオリンの亡霊を追うように劇場を彷徨った。
私はいつも薔薇の花を持参していた。
ふと淋しいと感じるときは夜空を見上げた。ローズ星群が薔薇色に輝くと、シオリンが笑顔で踊っている気がする。だから淋しくなんかない。
おしまい