今回は、ロックの踊り子・星崎琴音さんについて、「ステージというパズル~星崎琴音を読み解く~」という題名で語ります。

 

 

 

次に、新作となる演目「psycho-pass(サイコパス)」を語ります。

 まずアニメ『PSYCHO-PASS』を知らないと、この演目は理解できない。『PSYCHO-PASS』は、2012年放送のアニメ作品。「踊る大捜査線」の監督・本広克行が総監督を務め、フジテレビ系列ノイタミナ枠にて放送された。

 次のようなストーリー。

舞台は、人間のあらゆる心理状態や性格傾向の計測を可能とし、それを数値化する機能を持つ「シビュラシステム」が導入された西暦2112年の日本。人々はこの値を通称「PSYCHO-PASS(サイコパス)」と呼び習わし、有害なストレスから解放された「理想的な人生」を送るため、その数値を指標として生きていた。その中でも、犯罪に関しての数値は「犯罪係数」として計測され、たとえ罪を犯していない者でも、規定値を超えれば「潜在犯」として裁かれていた。そのような監視社会においても発生する犯罪を抑圧するため、厚生省管轄の警察組織「公安局」の刑事は、シビュラシステムと有機的に接続されている特殊拳銃「ドミネーター」を用いて、治安維持活動を行っていた。本作品は、このような時代背景の中で働く公安局刑事課一係所属メンバーたちの活動と葛藤を描く。

 今回の星崎琴音さんの演目では、この『PSYCHO-PASS』に登場する槙島聖護(まきしましょうご)という人物を演じている。彼は180cm、65kg、O型で、数々の事件の裏で暗躍する青年。年齢や過去、経歴等のデータは全てにおいて謎に包まれている。つまり槙島は凶悪犯でありながらシビュラシステムにその犯罪動向に見合った犯罪係数が計測されることのない、免罪体質と呼ばれる特異な体質を持っていた。そのため「シビュラシステムの誕生以降、最悪の犯罪者」と呼ばれる。

槙島の外見は次のように形容されている。襟足が長い銀髪に金色の眼。「白い天使」「芸術のような美貌」「過剰なほど整った顔立ち」「月と雪が交わって生まれたような美しい男」等、浮世離れしたかなりの美男子であると語られている。

 ここまでの予備知識をもって、演目の内容を紹介する。

 最初に、怪しげな黒いマントを羽織り、後ろ向きに立って登場。振り向いたら異様な白い仮面を付けている。これが『PSYCHO-PASS』の槙島聖護。

 すぐに、黒いマントを脱ぐと、下には白いマントが。「白い天使」と呼ばれる槙島らしさを表現。

 一曲目は気鋭の音楽家・菅野祐悟が作ったインスト「槙島聖護」で、音楽に乗って踊る。

菅野祐悟(現在40歳)は今やたくさんのテレビドラマや映画音楽を手掛けている時代の寵児的な作曲家。代表作にはテレビ・ドラマ「ガリレオ」「外交官 黒田康作」「レジデント~5人の研修医」、映画音楽『カイジ 人生逆転ゲーム』『映画 ホタルノヒカリ』『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』などがある。

ステージは一旦暗転し、EGOISTの曲「名前のない怪物」に変わる。これはEGOISTの

3rdシングルであり、10 月からフジテレビにて放送がスタートした人気TVアニメ「PSYCHO-PASS」のエンディング・テーマソングになっている。なお、「サイコパス/ゼロ 名前のない怪物」というアニメ本編の外伝小説(著者は高羽彩)がある。

 ここで白いマントを脱ぐ。上下セパレートな衣装。ブラもパンツも、黒に金色が織り交ざる色彩。その上に透け透けの黒い布を羽織る。

裸足で踊る。

 暗転。

 三曲目は、菅野祐悟のインスト曲「PSYCHO‐PASS Symphony」に変わる。

 琴音さんが袖の近くで裸になってピンクの衣装に着替える。肩紐で吊るしたワンピースで、上半身はキラキラした高価な刺繍が織り込まれている。

裸足のまま、回転盆に移動し、ベッドショーへ。

盆のセンター席から近くで琴音さんを眺めると、改めて彼女の美貌にうっとりする。ショーヘアがかわいい。今回、目がとてもオシャレ。長い付けまつげと目の真下に銀色にキラキラした泣きぼくろ。目を閉じて演じていることが多く、目を閉じるとまつげの下の泣きぼくろがキラリと輝く。ぞくぞくっと来る。

アクセサリーとしては、水晶が垂れるピアス、そして泣きぼくろに合わせたように指先のマニキュアが銀色に輝く。

改めてスリーサイズB95・W62・H93という豊満な肉体が素晴らしい。色白で肉感的なセクシーボディ♡ こんもりとしたヘアが秘部を優しく飾る。たまらなくエロくそそられる。

ベッド曲はEGOISTの「この世界で見つけたもの」で、立ち上がり曲もEGOISTの「All Alone With You」で締める。

 我々は、星崎琴音演ずるアニメ世界を堪能するのみ。

 この作品についても、琴音さんから次の解説を頂く。

「アニメのキャラをイメージして作ってます。槙島をイメージ。」

「一見悪者に見えるんだけどそれは主人公サイドから見た話しで、逆から見たら彼も被害者かもしれない。人間の光と闇を描いた演目だよ。」

「選曲を自分、振付はMIKA姐さんだよ。」「MIKA姐さんの振り大好き☆」

「見どころは前半と後半の空気の変化かな? 曲の変化とか?」

 

 

今回のステージ観劇レポートとして、あとがきを少し書き添えたい。

正直いうと、初めてステージを拝見したとき、琴音さんが何を訴えているのか全く分からなかった。すぐに演目名と選曲を尋ねるも、演目名からテーマが見えない、知っている曲がない。曲名とアーティスト名から調べて、アニメに関するものだと漸く分かる。

私は幼少期「マンガ博士」と呼ばれるほど少年漫画に夢中だった。アニメも同世代の中では詳しい方と自負している。そんな私が50年以上の人生を送ってきて、琴音さんが演じている今のアニメには全く無関心でここまで来た。ストリップの踊り子として星崎琴音に興味を持ち、彼女のステージ作品に触れ、初めてそのアニメとの接点を持ったわけである。

私がレポートを書きながら楽しいと思うのは、これまで学校や会社を始めとした社会生活で学んできた知識を再認識する作業過程であることが多い。全く知らないアニメやアニソンを調べて、知ったかぶりでレポートするのは、あまりワクワク感がなく、これまで培ってきた自分の中の知識に絡まないため、理解するのにやたらと時間がかかるし、迷路を彷徨うような感覚を味わう。終いに苦痛になって投げ出すか、諦めずパズルを解くように楽しむか、今回その分岐点にふと佇んだ。

一般に、20代前半の踊り子さんに対して、ストリップファンは50~60代の高齢者が多く、親子ほどの年齢差がある。おじさんの知らないアニメやアニソンを使って作品を創る踊り子さんがいるのは当たり前。そこで、おじさんとしては、単に若いヌードを楽しむことに徹するか、彼女の演ずる世界を理解しようとするかの違いで、ストリップの楽しみ方に雲泥の差が出てくる。先ほどの命題「いかにパズルを解くように楽しむか」であるが、単に趣味としてパズルが好きかどうかではなく、最後はその踊り子さんにどれだけ関心があるかどうかなのだろうな、と感じられた。つい先日、ある若い踊り子さんとこんな会話をした。「今回はレポートに苦戦しているよ」と話したら「無理してリポートを書かなくてもいいわよ。太郎さんの得意な分野のものに限ってレポートしてくれればそれで十分よ。」と言ってくれた。そのアニメを真に理解するには、実際そのアニメを最初から観るしかないだろう。ネットの表面的な文字情報からだけでは本当のレポートにならないと感じている。しかし、それだけの時間が無いときには、自分なりの可能な範囲でレポートするしかない。

ある琴音ファンの方と演目について話すも、彼はアニメのことを追求するのは完全に諦めていた。今更知らないし興味の無いことには関心が向かないと言う。歳をとるとこうした傾向が強くなるが、殆んどのファンの実態はそうなのかもしれない。しかし、せっかく新しい知識にふれるチャンスがあるのに物臭的に諦めるのはどうか。今後の人生で新しい面白さを見つけることになるかもしれない。それを簡単に逃してしまうのはもったいない。

私は新しい知識を得たいので努力を惜しまない方だが、そうすることでひとつ言えることは、ある若い踊り子さんで苦労して調べた新しい知識が別の踊り子さんで活かされることが頻繁に出てくる。アニメも、アーティストも、ファッションも・・・そうしたひとつひとつの積み重ねが今の自分と若い踊り子さんとの繋がりになっている気がする。無理だと諦めるのは容易いが、それでは踊り子さんとの距離は縮めることはできないし、いつになっても仲良くなれないだろう。少しの努力を続けることが若返りにつながる。

アニメ等の理解不足でたいしたレポートになってないかもしれないが、書き上げたところで、少しでも大好きな星崎琴音さんに近づけたような気がして、自分なりに満足した今回のレポートだった。

 

平成29年11月                           大阪東洋ショーにて

 

 

 

『ストリップ版サイコパス』  

~星崎琴音さん(ロック所属)に捧げる~

 

 

1.   はじめに

 

舞台は西暦2100年のストリップ界。「シビュラシステム」による「PSYCHO-PASS(サイコパス)」の時代に入っていた。

 

この物語をするためには、時代を少し遡って話をしないといけない。

サワティ王子は、2020年の東京オリンピック&パラリンピックに向け、プリキュア戦士を募り、ストリップの再興を果たした。その過程を経て、サワティ王子はストリップ界の大きな構造改革に取り組む必要性を痛感した。

ひとつは、警察権力への対抗策。弱い者いじめのように警察のガサ入れが行われていたが、その原因を突き詰めてみると、警察側の手柄の話もないことはないが、当時、警察権力がストリップ界に介入してきた一番の理由は脱税だった。劇場経営側の脱税問題もあったが、踊り子側の個人所得漏れ問題もあった。劇場経営にとってストリップの売上というのは客の入場料の他にポラの売上があった。後者のポラ売上が特に曖昧で、この売上漏れが劇場側の美味しいところとなっていたのだ。サワティ王子は知り合いの税理士と協力して売上計上の明確化・透明性を図った。もうひとつの踊り子側の個人収入未申告の問題についてはマイナンバー制の導入により自然と修正されていった。

サワティ王子は、今のストリップは昔のエログロ路線と違って極めて健全でショーアップされているものだと繰り返し強調した。その上で、軽犯罪の抑止効果や高齢化社会における性福祉への応用などを説明した。その甲斐もあり、警察権力とは一定の均衡を保てるようになってきた。

外部の警察権力の問題より、むしろストリップ界内部の問題の方が大きかった。劇場経営者同士、踊り子同士、客同士、そして踊り子と客の関係の中で様々なトラブルがあり、その軋轢がストリップ人口を減らしてきている現実があった。それぞれの原因を徹底的に究明し、その解決方法を模索していかなければならなかった。これは一朝一夕でなんとかなる問題ではなかった。

サワティ王子は、長きにわたり、その問題の対応策を検討してきたが、彼も高齢化し死期が近づいてきた。

 

 

2. 電脳時代の到来

 

ところが医療がどんどん高度化し、義手・義足にロボット技術を付加したサイボーグ技術が発展し、最終的には脳だけを残し、それ以外の身体全体を機械化したサイボーグ人間が可能となってきた。人類の長年の夢であった不老不死が実現したのであった。しかし、その技術を享受できる人は、莫大な費用がかかること、また世間体が厳しいことより、選ばれたほんの一部の人の特権となった。サワティ王子はストリップの再興により莫大な財産を手に入れ、かつ長年のストリップ界における功績により、その特権を享受することができた。

 

ところで、サイボーグ化された身体で性の欲求はどうなるのか?

この問題を話すうえで、特筆しておきたいことがある。サワティ王子には昔からのスト仲間がたくさんいた。その中に彼の右腕ともいわれる参謀にシゲさんがいた。彼は若くして癌を患った。しかも膀胱癌。膀胱を切除した彼は男性器で排泄ができなくなり、腹部横に尿を貯める袋を付けていた。もちろん彼の性器は完全に男性機能を失っていた。ところが不思議なことに彼はストリップ通いを止めなかった。彼が言うには「大好きな踊り子さんを観ていると、おちんちんが勃ってくるんだ。」気のせいであろう。しかし、サワティ王子は友人シゲさんの気持ちがよく分かった。

もうひとり別の友人ヒロさんがいた。彼は若い頃からの酒の飲み過ぎから糖尿病を悪化させ遂に失明してしまった。ところが、その彼も長年趣味にしていたストリップ通いだけは止めなかった。目が見えなければストリップは楽しめないと普通の人は思うだろう。ところが、彼は「俺は心の目でストリップを見ているんだ!」と言っていた。懐かしい劇場の空気を味わうだけで、生きている実感があるのだろう。彼が失明した時にもう少し医療が発達していれば目のサイボーグ化に間に合ったのに今更ながら残念だ。

それを機に、サワティ王子は、エロスというのは身体ではなく心で感じるものだと強く認識するようになる。「男はいくつになっても女を求める存在であること」そして「それは身体が欲するのではなく心が欲するのだ」という「心のエロス理論」を構築する。

昔は風俗の代表格とされたストリップだったが、改正風営法の規制により本番生板ショーなどのエログロ路線で壊滅的な打撃を受け、アイドル路線への変更でどうにか生き残ったものの、AVの普及などで風俗が多角化され、ストリップの領域は狭まった。その当時から、ストリップは高齢者の遊びになっていた。若い男性は直接的な刺激を求めてソープランドのような風俗に走ったが、それを卒業した高齢者たちがストリップを支える大きな客層になっていた。ボケ防止、認知症の解消などにストリップが大きな効果を発揮することが判り、劇場は高齢者たちの居場所、市民コミュニティのひとつとして認識されるようになる。サワティ王子は性福祉の一環としてこれを大きく押し進めた。こうした背景もあり、サワティ王子の論文「心のエロス理論」は大きな反響を呼んだのである。

ちなみに、シゲさんは若かったために癌の進行が止められず48歳で短い生涯を閉じた。サワティ王子はシゲさんのような人を救いたい一心から自分の身体を永遠にして、自己の理想を追求しようとしていたのであった。

 

当時の警察権力の中に、攻殻機動隊というのが組織されていた。サイボーグ化という電脳時代の到来により、新たな犯罪に対処するための警察組織だった。

電脳化されたサワティ王子は、ストリップの市民権を確保するために、この攻殻機動隊と何度も接触した。その過程で、彼は後に彼の重要な協力者になるMIKAと出逢った。

MIKAは攻殻機動隊の中で、極めて高い知性を示していたので、すぐにサワティ王子の主張を理解した。そして何より特筆したいのが、類まれな美貌だった。身体はサイボーグ化されていたが、若いときのまま。そう、彼女は永遠の美貌をも手にしていたのだった。

彼はMIKAと接するうちに、是非とも彼女をステージに立たせたくなった。何度も何度も説得し、最後には首を縦に振らせた。こうしてストリッパーMIKAが誕生した。

彼女はその美貌で世の男性たちにエロスの歓びを伝えるとともに、優れた身体能力に基づいて新たな空中ショーの要素を取り入れたステージを開拓し観客を喜ばせた。

 

 

⒊. PSYCHO-PASS(サイコパス)」の時代へ

 

時代は更に進み、「シビュラシステム」による「PSYCHO-PASS(サイコパス)」の時代に入ってきた。

人間のあらゆる心理状態や性格傾向の計測を可能とし、それを数値化する機能を持つ「シビュラシステム」     が完成し、人々はこの値を通称「PSYCHO-PASS(サイコパス)」と呼び習わし、有害なストレスから解放された「理想的な人生」を送るため、その数値を指標として生きるようになっていた。

その中で特筆すべきは「犯罪係数」と呼ばれるもの。犯罪に関しての数値は「犯罪係数」として計測され、たとえ罪を犯していない者でも、規定値を超えれば「潜在犯」として裁かれていた。それを取り締まる警察組織が公安局刑事課であった。

 

サワティ王子は、今後のストリップ界の繁栄を盤石にするためにも、このシビュラシステムを活用し、潜在的にストリップをダメにする客を排除したり、新しい踊り子の発掘をしようと考えた。

サワティ王子は、この企画を推し進めようと警察側と接触する中で、公安局刑事課一係の元執行官である狡噛慎也(こうがみ しんや)という人物と知り合いになる。眼光の鋭い、筋骨隆々の身体をした野性味あふれる青年だった。一見近づき難いイメージがあったが、根がスケベなのかストリップが大好きでサワティ王子と気が合った。二人は誕生日(8月16日)が偶然同じだった。そんなこともあり、一緒に酒を呑みながらストリップ四方山話に花が咲き、またサワティ王子の理想に協力的だった。

そして、狡噛はひとりの女性を紹介してくれた。それが公安局刑事課一係の監視官である常守朱(つねもり あかね)だった。髪型はショートボブにした、一見、ふつうの可愛いお嬢さんだった。ところが頭脳が極めて明晰。彼女もすぐにサワティ王子の理想のストリップを理解した。ストリップの魅力に気づき興味をもってくれた。常守朱は際立った美人ではないが、真っすぐな性格のため、サワティ王子のハートを掴んだ。

サワティ王子はダメ元で、常守朱さんに「朱さん、一度踊り子になってみないかな?やってみたら面白いと思うよ。」 と勧めてみた。彼女がデビューしたらストリップ界に新しい風が起こりそうな予感がしたのだった。

常守朱さんはニコッと笑いながら「機会があったらね」とやんわり断った。ただ、サワティ王子の理想を実現させるためには、踊り子の立場になって物事を考えられる体制作りも重要だと察した。そこで公安局刑事課内から体験させる者を抜擢した。それが新任の監視官・霜月美佳(しもつき みか)だった。鼻から頬にかけてソバカスのある女の子。高校時代はポニーテールをリボンで結んでいたが、今はサイドアップを左にリボンかシュシュでまとめあげた髪型をしている。まだ職場環境や仕事に不慣れで、時に上司である朱に対しため口をきき、他の同僚ともしっくりいかない存在であった。不協和音を排除する意味もあったが、なによりストリップという厳しい世界で人間形成させたいというのが常守朱の狙いだった。すぐに若い霜月はストリッパーとして頭角を現していく。

 

 

⒋. ストリップ係数の創設

 

 先ほど「シビュラシステム」による犯罪係数の話をしたが、同じようにストリップ係数という概念を導入しようとサワティ王子は考えた。

 

 踊り子側はこうなる。

 踊り子になるための適性を判断すること、そして、それをなるべく若い時期に判定させてデビューさせることを目的とした。

 容姿などのアイドル資質、歌やダンスなどの技能資質、過去の職歴などを総合的に判断材料にする。

ストリップの場合はなによりもダンスが好きなことがポイント。いろんな辛いことがあっても、ダンスが好きなら辞めないもの。ダンスによってストレス発散ができるから。その点、ダンスに自信がなくなるとステージそのものが暗くなり長続きしない。

また、ポラなど客との応対が大切なために、性格面も重視された。いくら外見が良くて最初にポラが売れたとしても、客扱いが悪いとすぐに客離れを起こす。結局お客がつかない踊り子は長く続かない。

こうした顧客満足度の観点から、踊り子の外的・内的の両面から総合的に係数化を進めていく。

 楽屋での踊り子同士のいざこざも困る。先輩のお姐さんに可愛がられる素直さは大切である。新人の役割はどこの職場にもある。部屋の掃除やティシュ箱の買い物など。「なんで私がこんなことをしなければならないの?」と言って辞めていく踊り子は後を絶たない。これも性格判定になる。

 こうしたことがきめ細かく係数化される。

 

 次に、客側の係数化。

 ストリップをダメにする客は多い。踊り子を付け回すストーカー癖、劇場内のマナーを乱す露出魔、そういう経歴があったら入場させないのが鉄則。従来から一度問題になったら出禁にされている人が多い。ストリップにおける一種の犯罪係数である。

 劇場側の方針や特定の踊り子とのトラブルで排除される人もいる。最近多いのが特定の‘踊り子出禁’である。居眠りしたから出禁にされたとかよく聞くが、せっかくお金を出して観に来た客側が本当に悪いのか、単に踊り子側の感情的な問題なのか、一般的な判断が難しい時がある。特定の踊り子との相性が悪いだけと判断できるケースも多い。こういう客をむやみに排除するのはストリップ人口を悪戯に減らすだけである。

特定の踊り子に熱を上げすぎるのも問題。いつも皆勤する人を熱心な客と評価するか、一種のストーカーと捉えるか、微妙なときがある。これまでは全て踊り子や劇場側の主観で判断されてきた。しかし、一部の人の好き嫌いに偏り過ぎるケースもままある。ストリップ愛をどう捉えるかは極めてデリケートな問題である。変に周りが騒いで、嫌気をさしてストリップから離れていったまともな客もたくさんいる。一度リセットして考える余地がある。

サイト上での誹謗中傷は徹底的に規制することにした。これが一番タチが悪い。

 

言うまでもないが、客の嗜好も千差万別。

ぽっちゃりタイプが好きな客。スリムな体型が好きな客。熟女好き、若い子好き。

完成度の高いステージを要望する客。ただ若くて可愛ければいいと考える新人好きの客。

ステージの上の踊り子からニコッと微笑んでくれただけで満足する客、短いポラタイムに片言の会話で満足する客、ポラのコメントを求める客、もっとコミュニケーションしたいと手紙のやり取りを求める客、中には踊り子にイラストなど絵を描いてほしいとねだる客。

ポラ好きの客の中には、コレクターのようにポラ写真を撮りまくる客。エロポラを好む客。ツーショットだけ撮る客、中にはツーショットの時に踊り子にお触りしたがる困った客もいる。

まぁ揚げればきりがない。

 

 昔から素晴らしい踊り子と云われる人にはいい客が付いている。リボンなど一番客といわれる人々の存在が踊り子の魅力を持ち上げる。客が踊り子を育て、踊り子が客を育てる。お互いがいい関係としてステージを盛り上げるのが理想。

 ひとりひとりの客をストリップ愛の観点から係数化し、最適な踊り子の応援体制を整備する必要性を、サワティ王子は昔から感じていた。要は、踊り子も客もみんながストリップを楽しむためにどうするかである。劇場側としてはいい客を一人でも多く劇場に足を運ばせたい。踊り子としては、いいお客に応援してほしい。お客も、お気に入りの踊り子を作って素敵なストリップLIFEを送りたい。みんなで楽しくストリップを盛り上げたい。

    

                          

⒌. サイコパス時代のストリップが幕開け

 

 このサイコパス時代の申し子ともいえるピカピカの新人がデビューした。彼女の名前は星崎琴音さん。

 彼女は学生時代からストリップ向きの女の子として、ストリップ係数が高かった。それを知ったサワティ王子は早くから彼女に接近し、ストリップ界にスカウトした。サワティ王子の勧誘が奏功し、まさに満を持してのデビューとなった。

 そのため、サワティ王子は自分の腹心であるMIKAに頼み、教育・指導係に任命し、またデビュー作の演目構成も手伝わせた。MIKAも彼女の資質を認め、素直な性格を喜び、間違いなくストリップ界の将来を担う逸材と感じた。

 星崎琴音は若くて可愛いだけではなく、ぽっちゃりした肉付きがストリップファンの喜ぶエロス体型であり、かつ性格が優しくてポラ対応などがまめなために、客側から接していると癒されるとの声が上がり評判になる。

 同時にデビューすることになった霜月美佳とは対照的ではあったが、二人はよきライバルとなり、その後のストリップ界を盛り上げた。

 そうそう、二人のデビューの時には、サワティ王子は狡噛慎也も常守朱も招待していた。楽しそうに観ている二人に対して、サワティ王子は「今度は朱さんのステージも観てみたいな」と笑顔で片目をつぶった。

                                    おしまい