今回は、ロックの踊り子、MIKAさんについて、H26年11月中の仙台ロック公演での新作「攻殻機動隊」をレポートします。

 

 

 

早速、新作の内容を紹介する。

最初に、黒いマントで頭からすっぽり全身を包んだ、おどろおどろしい恰好で登場。さっと黒いマントを取ると、中にはパープル系の髪の毛の女性が。このMIKAさんのウイッグ姿にビックリ。ポラの時に「宇宙人じゃないわよぉ~」とMIKAさん。作品全体を通して、このパープルのウイッグを付けている。

衣装も独特だ。黒いランニングシャツ、白系のズボン、外してある白いサスペンダー、そして上着に皮ジャンを羽織る。黒いブーツを履く。ヤンキーぽい感じはするものの、衣装の意味はよく分からず、私としては、かっこいい、スタイリッシュなイメージを覚える。

激しいダンスの中で、一瞬暗くなったかと思うと、二本のペンライトを照らし、赤い光が交錯する。次に両手に白い手袋をし、五色の光を発する。以前、演目「Body Feels Exit2」で魅せた光の舞い。暗い空間であるからこその光の演出。この世は暗い世界であるからこそ光に救われるのかな・・・。

次に作品のクライマックスへ。

裸体に、紐が巻かれる。右足には、頭髪と同じパープル色の紐をクロス。上半身に青い紐、右手首に緑の紐を巻く。そして、腰に黒いベルト、両手の腕と右手首にも黒いベルト。なんと、この青い紐と緑の紐はLEDになっている。よく見ると、各ベルトにバッテリーが取り付けてある。

場内が暗くなり光の演技が始まる。手首に巻き付けてある緑の紐をほぐし、それを絡ませてポーズを切る。

ベッドショーにかなり苦心している。光をキレイに魅せようとすれば場内を暗くしなければならないが、そうすると肝心のヌードは見えなくなる。このジレンマを、うまく照明を使うことで解消していた。

ステージとしては、幻想的な光の演出と捉えられるが、さて本題は何かな!?

 

MIKAさんが解説してくれた。「新作のタイトルは『攻殻機動隊』です。アニメの『攻殻機動隊』(そのまんま)がテーマになってるの。主人公の女性を演じてます。近未来のお話だよー↑」

「攻殻機動隊」という名前は聞いたことがあったが、内容については全く知らなかった。早速インターネットで調べた。・・・

「攻殻機動隊」はもともと士郎正宗による漫画であり、それを1995年に押井守監督が劇場版アニメ映画とした。この映画を観たことのない人でも、これがハリウッド映画「マトリックス」に大きな影響を与えたことで、一般人の認知度が格段に上がった。そして、2002年に神山健治監督のTVアニメ「攻殻機動隊」が連載。

 私としては、まず予備知識の無い状態で、神山健治監督のTVアニメ「攻殻機動隊」の第一話「公安9課」を観てみた。主人公の草薙素子を見た瞬間に、MIKAさんの格好が全て理解できた。そのままだ。登場人物たちの首の後ろから、コードをつなげ、インターネットに入っていくのを見て不思議な感覚になる。私が得意なファンタジーとは一味違ったSFの世界。男の子なら誰でも憧れる世界。私も小さい頃からSFアニメは大好きだったから、MIKAさんに火を付けられ、興味を持ってインターネットを検索し始めた。

「攻殻機動隊」のあらすじを紹介する。(ウィキペディア「フリー百科辞典」より引用)

 時は西暦2029年。第3次核戦争とアジアが勝利した第4次非核大戦を経て、世界は「地球統一ブロック」となり、科学技術が飛躍的に高度化した日本が舞台。その中で、マイクロマシン技術を使用して脳の神経ネットに素子(デバイス)を直接接続する電脳化技術や、義手・義足にロボット技術を付加した発展形であるサイボーグ(義体化)技術が発展、普及した。結果、多くの人間が電脳によってインターネットに直接アクセスできる時代が到来した。

 生身の人間、電脳化した人間、サイボーグ、アンドロイド、バイオロイドが混在する中で、テロや暗殺、汚職などの犯罪を事前に察知してその被害を最小限に防ぐ内務省直属の攻性公安警察組織「公安9課」(通称「攻殻機動隊」)の活動を描いた物語。

 その主人公が草薙素子。幼少の頃に、脳と脊髄の一部を除く全身を義体化した女性型サイボーグで、公安9課の実質的なリーダー。年齢は25~26歳。冷静沈着な性格に加え、統率力、身体能力において突出した才能を発揮する。

 リングの演技をやってのけるMIKAさん、そのものだ。MIKAさんが草薙素子に憧れて今回の演目を創り上げた気持ちがよく分かる。

 

また、攻殻機動隊というアニメには深い哲学を覚える。人間とアンドロイドやサイボーグ、AIなどとの対峙で浮き彫りにされる。人間の人間たる所以はどこにあるのかという疑問などを独自のスタイルで紡ぎ出している。

このことをMIKAさんは作品の中でうまく演じている。「新作、ラストでLEDの紐に囚われているのは、今のテクノロジーがこれから人間に与えていくであろう(今もある)ネガティブな部分を表現しているの♪」

 

私はストリップを趣味として時間を費やしているため、TV・映画も殆ど観なくなり、他のことに全く疎くなった。だから世間でこれだけ話題になっている「攻殻機動隊」のことも無知。ほんと踊り子さんを通じて教えられることばかりです。情けないけど仕方ないかな(笑)

 

平成26年11月                          仙台ロックにて

 

 

 

『踊り子がアンドロイドだったら』 

~MIKAさんの演目「攻殻機動隊」を記念して~

 

 

 

最近、ストリップで踊り子の新人デビューがありません。

困った劇場関係者はストリップ版初音ミクを作ることを思いつきました。

全ての男性が気に入るよう計算され尽くしたアンドロイドの踊り子です。

外見はルックス、スタイルはもちろん、下の顔だって、どういう色・形が男性を興奮させるか綿密に計算されたもの。

声は既に初音ミクがあります。かわいい声でお客の耳をくすぐります。

踊りも全世界のダンスをデータ化し、精密に再現できるようにしました。踊りは音響・照明とともにシンクロナイズされ、一切のミスが無いステージ化が可能でした。

ポラは目の前の初音ミクだけでなく、希望があればデータ化されているAV女優のものを出力することもできました。

またポラタイムでの会話対応にAI(人工知能)が活用されました。お客情報をデータ化することで「また会いましたね」「いつも応援してくれてありがとう」と笑顔で応対してくれます。ポラサインはお手の物。きれいなデッサンを付けてプリントされますし、コメントも瞬時に書き上げます。季節柄や客との経歴情報をさらりと書き込みます。客サービスには一切の手抜かりがないよう徹底しました。

こうやって完璧なストリップ版初音ミクが完成しました。

客は面白がりました。話題性があって人気が出たので、穴埋めだけでなく、各劇場に一台の割合で普及させました。

 

ところが、すぐにお客が飽きだしました。どこの劇場に行っても、同じような初音ミクがいるわけです。

エロポラと言えども、これでは家でAVを観ているのとなんら変わりません。生の実感というか、ストリップ本来の臨場感がないのです。

劇場関係者もすぐに手を打ちました。ワンパターンの初音ミクだけではなく、過去に人気があった踊り子コピーを製作しました。本物そっくりに仕上げました。

しかし、これでもやはり本物ではありません。客は見向きもしなくなりました。

 

ストリップは人間対人間の遊びです。

ストリップは踊り子に恋をする場。

「人間はアンドロイドに恋はできない」これが結論です。

 

                                    おしまい