今回は、TS所属の箱館エリィさんについて、H29年10月頭のシアター上野の模様を、新作「媚・妹・baby」を題材に語ります。

 

 

新作の「媚・妹・baby」は前週9中のミカド劇場で拝見済み。今回、エリィさんから解説してもらったので内容を紹介したい。

 

「お兄ちゃん!」と二度優しく囁く声、そしてユーミンの名曲「やさしさに包まれて」が流れる。

セーラー服姿のエリィさんが現れる。髪を左右二つに三つ編み。白いブラウスに紺のスカートという公立校ルックス。首周りに赤のスカーフを巻き、首の後ろには定番の四角い襟が垂れている。白いソックスにこげ茶色の靴。紺の手提げカバンにはピンクのくまのぬいぐるみがぶら下がる。

お兄ちゃんとの楽しい日々。青春真っ只中という感じで楽しそうに踊る。ただ「やさしさに包まれて」のラストの歌詞「カーテンを開いて 静かな木洩れ陽のやさしさに包まれたなら きっと目にうつる全てのことはメッセージ」さて、今回の演目ではどんなメッセージなんだろうと思うと意味深になる。

ここから音楽が小島真由美さんの曲「はつ恋」(1997年)に変わる。甘いノスタルジーを掻き立てるような声質とメロディーだ。ここでお兄ちゃんへの特別な気持ちに気付いていく。

エリィさんはカバンからラブレターを取り出し、中身を読んだ後、びりびりと千切ってしまう。

そして、髪を解き、セーラー服を脱ぐ。暗転。

また小島真由美さんの曲「私の恋人」(1998年)が続く。聴いたことのある曲だなと思ったら小島真由美さんは1995年デビューのベテランのシンガーソングライターで現在45歳。エリィさん、よく知っていたね。

白いバスタオル一枚を身体に巻き付けて現れ、盆に移動。盆の上でバスタオルを取って全裸になる。

片手にシャワーの取っ手を握って、シャワーを浴びる格好。最初に頭部から浴びて、次に胸へ、そして下腹部へ。秘部にシャワーの水を当てオナニーを始める。突然、ドアの開く音がして「お兄ちゃん」と声を出す。

音楽が「亜美のGuilty Night!」(くりいむレモン主題歌)になる。

ここからがクライマックスのベッドショーが始まる。お兄ちゃんとのSEX場面。正常位からバック、騎乗位へと体位が変わっていく。そして途中からエリィさんのフェラをやるシーン・・手で掴んで口に含む動作。舌でほっぺを膨らませて臨場感を出すなんて、すごい迫真の演技にドキドキしちゃいました。更にSEX場面が続く。

ラストに「お兄ちゃん」という二度の声。そしてガラスの割れる音。

 

「今回の作品は自分で振付してみましたぁ~。」「台詞は4曲目以外は自分で吹き込んだよ。夜、一人でお兄ちゃん~ってずっと言ってた。(笑)」

いやぁ~本当にエリィさんは妹キャラがよく似合うね。まさにエリィさんの持ち味だね。今週から新人さんがデビューし後輩ができると喜んでいるけど、新人の美雪さんと一緒に並ぶとエリィさんの方が妹に見えてしまう。(失礼!)

私は最初にステージを拝見したときに、そういう単純な感想を抱いたわけだが、エリィさんから作品の解説を頂き、その中に「太郎さんはくりいむレモンって知ってますか?? 30年前くらいの元祖エロアニメ!!! テーマです♪」とあったのでいろいろ調べてみた。

くりいむレモンとは、1984年から発売されたアダルトアニメ作品のシリーズ名。

 1984年というと私が25歳の頃。まだ結婚していなかったが、当時の私はAVとか殆ど観ていなかった。ましてやアニメには全く興味がなかった。もっぱら‘生’ですよ(笑)今回、私は調べていて、初めて「媚・妹・Baby」が「ビー・マイ・ベイビー」と呼ぶの知った程度。

 今回、初めて映像を観て夢中にさせられた。実際見てみると基本的にはエロ目的のOVA作品な割に重みのある恋愛ドラマっぽい質感ある流れがストーリーにある。しかも詩的な描写が光る。亜美シリーズは画期的な価値として、オタク族にカルト的な支持を得たのがよく理解できる。

 

第一作のあらすじを紹介しよう。これを読めばエリィさんの演出がいかに上手にされているかよく分かる。

亜美は高校生。よそよそしい再婚者家庭であてどなく過ごす亜美は、自宅でも学校でもつきまとう居場所の無さを埋める存在として、義兄のヒロシを慕っていた。ところがある日、義兄の同級生に恋文を託され、未知の衝動に囚われる。恋文を破り捨てて帰宅した亜美は浴室で情欲のまま自らを慰め、惨めさに押しつぶされる。しかし、帰宅した義兄に湯上がりの裸身をさらすハプニングから、なだれ込むように身体を許してしまう。実は相思相愛であったことを知り、破瓜の痛みに歓喜する亜美だったが…。

 

 ちなみに、妹キャラのエリィさんなのに、最近「私、縛られたいの」等という過激な発言が目立つ。これはきっと、くりいむレモンシリーズの中の、女子校でのSM同性愛(レズ)を描いた「エスカレーション」シリーズの影響ではないかと感じる。

 

平成29年10月                            シアター上野にて

 

【参考】出典 ニコニコ大百科、Wikipedia、「はてな匿名ダイアリー」等より

 

くりいむレモンとは、1984年から発売されたアダルトアニメ作品のシリーズ名。

ロゴの形から「くりぃむレモン」と誤記されることが多いが、正式には「くりいむレモン」である。

「第1作『くりいむレモンパート1 媚・妹・Baby』が発表される。制作はフェアリーダスト、発売は創映新社(現在はAMGエンタテインメント)。家庭用ビデオデッキが手に届く価格で発売され、OVA(オリジナルビデオアニメ)が登場し始めた80年代に発売されたアダルトアニメの先駆的シリーズ。日本初のアダルトアニメではないが、アダルトアニメを認知させて後続の作品を流通させる市場すら作ったとも言える点で、エポックメイキングなシリーズである。」

「『美少女アニメ』とも称されるアダルトアニメの先駆けで、『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙』に登場するセイラ・マスの入浴シーンを映画館でカメラに収めているアニメファンに、ビジネスとしてのヒントを得たのが起源とされる。」

 

 一作目のあらすじを紹介したが、その後の亜美シリーズの概略ストーリーは次の通り。

第一作のラストで亜美と宏は母親に情事の現場を見られてしまう。

第二作、それが原因で母親は宏を海外に留学させて亜美と別れさせられている。大好きな兄と別れて傷心の亜美は女友達に誘われてクラブに行くが、その際に酔った勢いで遊び人で有名なイケメン河野という男にお持ち帰りされる。酔って河野を兄と勘違いしながらのノリノリH。その時に兄のことを呼んだことを聞かれて兄との関係を河野に知られる。

そのことで脅されて素面で関係を持つ。河野に「兄のことを忘れさせてやる」と言われたことに亜美は怒る。

第三作、兄・宏が一時日本に戻ってきて嬉しい亜美だが、宏は亜美に、もうああいう関係をやめようと告げる。ショックを受けた亜美は自ら河野の部屋に行ってヤケクソH。

河野は元々遊び人で愛人いたりしながら亜美と付き合ったり求婚したりする野郎だけど、宏は宏で別れさせられても自分を慕う亜美を拒絶して、海外から婚約者連れてきておいて結局亜美を忘れられずに婚約者を失望させて亜美に求愛してしまう野郎だったりして、河野が悪で兄の宏が善ともいえなかったりする。

亜美が最後に出した答えは二人を拒絶して自分は自分、もう誰にも囚われないとか宣言する。そんな亜美を「コイツやっぱいい女だわ…」みたいな笑みを浮かべながら見る河野。

 

ちなみに、亜美が何故かその後スカウトされてアイドルとして活動しているという設定の『それから』シリーズが始まるが、それからシリーズは恐らく亜美ファンの大半には認められていない。なぜなら、声優が違うし、作画も不安定で亜美もあどけなさの残る妹的なキャラデザではなくなってしまう。そして内容的にも妹萌えを感知できる成分はほぼ皆無。

 

次に、「くりいむレモン」シリーズ全体の作品群を挙げておこう。

◆亜美・シリーズ:義兄との禁断の愛を描いた「媚・妹・Baby」(いわゆる「野々村亜美」シリーズ)

原点にして頂点。亜美が初体験時、絶頂に達して発したセリフ「亜美飛んじゃう!」はオタクの間で流行語に。 これを越える作品が出なかったことが、後のシリーズ迷走の一因となった。

◆エスカレーション・シリ-ズ:全寮制の女子高でSM百合(レズ)を描いた。余談だが『くりいむレモン FourSeasons』では制服が濃緑色のボレロ+ハイウエストスカートに変更されていた(本来はセーラー服)。

◆ラル・シリーズ:ビキニアーマーと淫獣の触手。

「触手姦」ジャンルの祖となる作品。ビデオやレーザーディスクでは、「相手が人間ではない」「世界設定などが極めて現実から乖離しているので問題無い」などの理由から、性器が無修正だった。

◆いけないマコちゃん(前後篇):多重人格

◆POPCHASER:アニメ界の超大物スタッフが匿名で参加したとされ(少なくともここを見てる人間なら大半が知っている)、出演声優も今では考えられない大物が目白押し。 

スーパーバージン:色んな意味で話題となった作品、別名エロム-ミン。