MINAMIさん(まさご座所属)の、令和元(2019)年10月頭のまさご座における周年模様を、一周年作「(仮)タッチ」を題材に、「ストリップは青春、そしてMINAMIさんがヒロイン」という題名で語りたい。

 

 

2019年10月頭の岐阜まさご座に平日10/7(月)に顔を出す。

その週の香盤は次の通り。①橋口美奈(フリー)、②みと小鳥美(道劇)、③永瀬ゆら(栗橋)、④浅葱アゲハ(フリー)、⑤MINAMI(まさご座)〔敬称略〕。

 

 今週は、記念すべきMINAMIさんの一周年週。まさご座の看板娘の記念週とあって、客は平日というのにかなり多かった。10月からの消費税8→10%の影響で入場料がほぼ一律500円値上げしたが、客入り減には全く繋がっていない。

 今週の出し物は、周年作一本。アニメ「タッチ」をモチーフにした作品。MINAMIさんに題名を確認したら、「まだ正式に決めていないの。でも皆さん『タッチ』って呼んでいます。」とのこと。以下、作品名を「タッチ」と仮称させてもらうね。

 

 ステージを観た瞬間に、あだち充原作のアニメ「タッチ」だとすぐ分かった。ヒロインの浅倉南を演じていた。MINAMIさんが南を演ずるなんて、この語呂合い感が最高に面白い。これだけで気分が盛り上がる。

 というのも、私は大学時代に少年サンデーに連載された漫画「タッチ」をリアルタイムで読んでいた。和也が交通事故で死んだ時なんか、ショックが大きすぎて「タッチが急にシリアスになった!」とサークルの部室で大騒ぎになったほどだ。身近でそうなのだから、当然に全国のファンから「和也を死なせないで!」との大反響があったそうだ。

しかし、和也の死は当初からの予定であった。そもそも「タッチ」のタイトルには衝撃的な意味があり、バトンタッチという意味が込められている。タッチの中で弟和也の夢を兄達也が受け継いでいくという事を表していて和也の死は連載が始まる前から決められていたと後にあだち先生がインタビューで語っている。

こんなエピソードが知られています。当時の編集部はあだち先生を信頼していたので、三角関係が続くと思っており、担当編集者から報告が上がっても取り合いませんでした。担当編集者は人気のある和也を殺すなとあだち先生に言っていましたが、死なないように描かされる事を嫌がったあだち先生は原稿を置いて行方を眩ませました。入稿の翌日から2日間連絡がつかないという非常事態となったのです。初めから和也の死が決まっていた事に驚く人やら哀しむ人が大勢いました。

 まさしく、この漫画「タッチ」は我々世代の永遠の青春恋愛漫画の象徴となりました。そして、メインヒロインである浅倉南は永遠の憧れの君になりました。ネットを検索していたら、最新の2019年版「最も男心をかき乱したアニメヒロインランキング」でも『タッチ』のヒロイン、「浅倉南」が堂々の3位となりました。明るく前向きな性格で容姿も良く、料理もスポーツもできる彼女。成績優秀で努力家な和也の気持ちに気付いていながら、達也に対してもまんざらでもない態度をとるなど、あざとさを感じる場面が多数。そんな浅倉南の態度に心を揺さぶられた人が多いということです。

 

 さてさて、前置きはこのくらいにして、本作品のステージ内容をざっとおさらいしておきます。

 最初に、MINAMIさんが公立のセーラー服姿で登場。白い半袖ブラウスに紺の蝶ネクタイ。その上に、紺の制服と紺のスカート。ベルト部に金の輪が付いている。足元は、黒いソックスに白いズックを履く。

 音楽に合わせ、タッチの浅倉南を演ずる。

 一曲目は、岩崎良美の歌う「タッチ」。リリース当時24歳だった岩崎良美さんの透き通った歌声。どこか『タッチ』のヒロイン浅倉南とイメージが重なります。あだち充は良美のファンであることを公言しており、のちに『タッチ』の主題歌を良美が担当してから現在まで親交が続いている。作詞:康珍化 作曲:芹澤廣明。このコンピはチェッカーズの『ギザギザハートの子守唄』なども作ったヒットメーカー。

 音楽が変わり、一旦暗転し、着替える。

 赤いジャージ姿(体操着)になる。用具をたくさん持ってくる。中から布巾を取り出し、部室の窓ふき。野球のユニフォームを取り出し洗濯。日誌を付ける。まさに野球部のマネジャーとしての仕事だ。

 次に、ジャージを脱ぐと、下には新体操用のレオタード姿に。黒い長いストッキングを履いている。髪を後ろにひとつ結び。

 音楽に合わせ、黄色いリボンをもって新体操の演技を行う。

 二曲目は、あいみょんの「マリーゴールド」。あいみょんのメジャー5枚目のシングル。ワーナーミュージック・ジャパン内のレーベル「unBORDE」から 2018年8月8日に発売された。

 音楽が変わる。今度は一転スローテンポのバラード曲だ。

 三曲目は、Aimerの「蝶々結び」Aimerの11枚目のシングル。 2016年8月17日に発売された。作詞作曲は野田洋次郎(RADWIMPS)。

 そのまま、盆に移動し、盆の上で脱ぐ。そして、ベッドショーへ。

 立ち上がり曲は、LINDBERGの「-every little thing every precious(エヴリ・リトル・シング エヴリ・プレシャス・シング)」。1996年7月1日に発売されたLINDBERG通算25枚目のシングル。作詞:渡瀬マキ 作曲:川添智久 編曲:LINDBERG・神長弘一・井上龍仁・佐藤準(ストリングス・アレンジ)日本テレビ系『第16回全国高等学校クイズ選手権』エンディングテーマ曲。パナソニック(松下電器産業)「ハイビジョンヨコヅナ」CF曲。

LINDBERG(リンドバーグ)は、日本のロックバンド。1988年結成、1989年デビュー、2002年に解散。デビュー20周年となる2009年に1年間限定で再結成した後、2014年より活動を再開した。

元アイドルだった渡瀬麻紀(バンドでは渡瀬マキに改める)とそのバックバンドのメンバーのひとりだった平川達也、更に平川の音楽仲間であった川添智久、小柳昌法により結成。 バンド名は、飛行家チャールズ・リンドバーグに由来する(ちなみに、メンバーのほとんどが高所恐怖症である)。1989年にシングル『ROUTE 246』でデビューした。 結成当初はプロデューサーの井上龍仁や、多方面から楽曲提供のスタイルが多かったが、次第に作詞は渡瀬、作曲は平川、川添、小柳が手がけるようになる。楽曲にも偏りがなく平等に制作され、三人それぞれの楽曲はシングルとしてヒットしている。1997年10月16日、渡瀬マキと平川達也が結婚。

 

 最後に、独断と偏見に満ちた(?) 私の感想を述べさせてもらいます。

 よく「上杉達也と浅倉南は将来、結婚したのか?」という質問がネット上で囁かれています。結論としては、分からない!というところです。

あだち充先生原作の高校野球漫画「タッチ」は1986年に完結しました。テレビアニメスペシャルではタッチの原作にないその後の話が描かれました。大学に進学した達也と南を主軸にした物語と、もう一本は「和也を知らない世界」での達也自身としての野球を目指して渡米してマイナーリーグチームで投げる達也を主軸にした物語です。あだち先生は原案者として参加しています。更にタッチの世界から26年後の世界が舞台のあだち先生作者「MIX」の連載が始まりました。これも既に最終回が終わりましたが、上杉達也と浅倉南はあくまで回想として語られるだけで、その後どうなったかは一切触れられていません。あだち先生一流の「後のことは読者の想像にまかせる」ということのようです。

あだち 充(あだち みつる、本名:安達 充、1951年2月9日- 現在68歳)は、日本の漫画家。群馬県伊勢崎市出身の男性。群馬県立前橋商業高等学校卒。血液型はAB型。「MIX」は2012年より連載開始、みつる先生61歳のときなんだね。

 

 私の勝手な想像では、この二人は結ばれそうにないと思えました。

 ひとつは、主題歌である「タッチ」の歌詞から感じます。

この曲は、テンポが良い歌詞とメロディーなので一見そんな印象を与えないかもしれませんが、実は、悲しい恋のメロディです。勇気を出して告白したのに、ふられてしまった女の子が主人公という歌詞です。「そっと悲しみに こんにちわ♪」という結果になっています。

主題歌「タッチ」の作詞を担当したのは康珍化(かん ちんふぁ)さん。80年代に活躍された方で、小泉今日子さん、南野陽子さんなどアイドル歌謡曲を多く手がけました。1984年には高橋真梨子の「桃色吐息」で第26回日本レコード大賞作詞賞を受賞。1985年には中森明菜の「ミ・アモーレ〔Meu amor é・・・〕」で第27回日本レコード大賞を受賞。

康 珍化(1953年6月24日 – 現在66歳)は、日本の作詞家。在日韓国人2である。森田 記(モリタ シルス)の名義でも山本譲二、南野陽子などのアーティストに作詞を提供している。 静岡県浜松市出身。静岡県立浜松西高等学校、早稲田大学文学部卒業。

この「タッチ」でも彼の作詞の才能が輝いています。一番脂の乗った時期でもあります。そんな彼が、主題歌を書くにあたり、原作者のあだち充先生に、ハッピーな内容にするのか、悲しい結末にするのかを確認していないはずがありません。

そして、一番の要因は二人の性格にあります。上杉達也と浅倉南は、小さい頃からの幼馴染で、憎まれ口をたたき合う関係です。お互いにいまさら素直にはなれない気がします。

 浅倉南は、なんでもできる女の子で、達也には強すぎます。隙がないのだから達也に取り入る余裕を与えません。いつでも上から目線で対応されては、達也もいたたまれません。南は達也のレベルに降りて相手をしないと、達也もつらいだけです。

一方の達也は優しすぎます。南のことが好きなくせに、弟の和也のことを優先し、南を譲ります。優しさは弱さに繋がります。強引に南を奪う気概がありません。

達也は運よく甲子園で優勝し、優勝投手になり、そのときに南に対して、愛を告白し受け入れられました。この時点で漸く南のレベルに達也が到達できたのです。ところが、達也は無理をしたため肩を壊していてプロからの誘いを断りました。更に、南と同じ大学を目指しましたが、受験に失敗しました。それ以後、達也は南と同じレベルには上がれない。

これでは二人は結びつきません。結果的に、主題歌のように「そっと悲しみに こんにちわ♪」になってしまいます。

結婚には「結びつく」ためのチャンス(縁)とタイミングが大事です。

上杉達也と浅倉南の二人には、幼馴染という最高の縁がありました。しかし、和也という存在を入れた三角関係で成り立っていたため、和也の死が二人の間でアザになってしまいました。そのため、タイミングが得られないのです。主題歌「タッチ」の中でも、「♪青春はネ 心のあざ 知りすぎてるあなたに 思いがからまわり」とある。

 

私は、今回のMINAMIさんの作品「タッチ」の裏テーマが「男女の結びつき」だと感じました。

たまたまですが、私は最近、映画「君の名は。」を観ました。感動してビデオを二度続けて観たほどです。MINAMIさんは、この映画を観たかな。

映画の内容を私なりに簡単に紹介します。主人公の瀧(たつ、男性)と三葉(みつは、女性)がお互いの夢の中で、身体がすり替わることになります。瀧は都会育ちの男子高生、三葉は都会に憧れるド田舎育ちの女子高生。二人には全く接点がありませんでした。ところが夢は現実の世界となり、二人は困惑します。そのうち二人は、お互いがすり替わることを認め合い、すり替わったときには相手になりきって生活するようになります。ところが、二人のすり替わりには三年の時間差がありました。だから、三葉は三歳年上であって、三葉が高校二年のときには瀧は中学二年だったのでした。高校二年になった瀧が三葉の田舎(飛騨の糸守町)を訪れたときに、三葉は彗星が落下した事故で既に三年前に死んでいたことを知ります。瀧は三葉を助けたくて、三年前の三葉に身体を入れ替わる行動を起こします。そして、三葉を助けることができました。

ところが、それ以降、二人にはそれまでの記憶がなくなってしまいます。お互いの名前すら忘れてしまいます。それでも、なぜか自分らには会いたい相手がいることを感じつつ、探し求めます。ある日、すれ違う電車の窓から、目が合った二人は、それがお互い探していた相手だと気づきます。すぐに下車して、相手を探して、ある神社の階段のところで対面します。二人は涙を流しながら、同時に「君の名は。」と叫びます。こうして運命の糸が結びつきました。

この映画の中で、組紐が二人を結びつける鍵になりました。まさしく運命の糸でした。

 

ところで、この映画を音楽でサポートしたのは日本の4人組ロックバンドRADWIMPS(ラッドウィンプス)。この映画に採用されたのは主題歌「前前前世」(ぜんぜんぜんせ)を含む4曲。すごく心に響いた。作詞作曲はすべてリーダーの野田洋次郎。

本作品「タッチ」の三曲目に、Aimerのバラード曲「蝶々結び」が流れたとき、私はやはり本作品の裏テーマは「結び」であることを強く意識した。そこで、この歌詞を丁寧に聞いてみた。恋愛のきっかけから両想いになるまで 2人が出会い、恋愛に至るまでが"蝶々結び"を通して、表現されている。蝶々結びという単純なものにこれだけの意味をもたせるなんて、すごい曲だと思った。Aimerの曲の中で「蝶々結び」が一番好きだという女子が多いのも納得する。更に調べていて驚いたのが、この楽曲を提供&プロデュースしたのがRADWIMPSの野田洋次郎だと分かったこと。こうして本作品「タッチ」は映画「君の名は。」と繋がり、感動が倍化した。

 

改めて、青春には爆発するエネルギーを感ずる。タッチでは、達也は高校野球で甲子園優勝投手になる。浅倉南は新体操でインターハイ優勝する。エネルギーが光り輝いている。

映画「君の名は。」では、三葉は瀧に会いたくて日帰りで飛騨から東京に向かう。瀧も三葉を救いたくて飛騨の山中に向かう。恋愛はすごいパワーとエネルギーを生む。

我々ストリップファンが遠征を苦にしないのは、踊り子さんへのピュアな恋愛エネルギーがあるからだ。私は「ストリップは踊り子さんに恋する場である」と常に考えている。であれば、このエネルギーがあるうちは、私は青春の真っただ中にいることになる。

今回のMIMAMIさんの作品を拝見して、改めて言おう。「ストリップは青春であり、そのヒロインの一人がMINAMIさんである」と。

 

 

最後に、いつもの癖で、創作童話を書きたくなった。

「タッチ」のその後を私なりにいじってみる。浅倉南をMINAMIという踊り子にしました。そして、どうしても上杉達也と結ばれるようにしちゃうんだ♪

一周年の記念に贈ります。

 

 

2019年10月                           まさご座にて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                        2019年10月

『踊り子になった浅倉南 -タッチ、その後-』  

~MINAMIさん(まさご座所属)の1周年作「タッチ」を記念して~

 

 

Ⅰ. 原作「タッチ」の主な登場人物とストーリー

(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』等より抜粋)

 

上杉達也、上杉和也は双生児。スポーツにも勉強にも真剣に取り組む弟の和也に対して、何事にもいい加減な兄の達也。そして隣に住む同い年の浅倉南。3人は小さい時から一緒に行動している、いわば幼馴染だった。そして互いが互いを異性として意識し始める。

物語のスタート時、3人は中学3年生である。3人は微妙な三角関係のまま同じ高校へ進む。 「甲子園に連れて行って」という南の夢を叶えるため、1年生でありながら野球部のエースとして活躍する和也だったが、地区予選決勝に向かう途中に交通事故死する。

 

①上杉達也の紹介

タッチに登場する上杉達也は上杉和也の兄であり、浅倉南の幼なじみです。タッチに登場する明星学園中等部から明星学園高等部に進学しています。達也はものぐさでいい加減で面倒臭がりで、掴み所のない性格です。愛想はないものの、人から慕われており、常に男友達が周りにいて、人付き合いの良くない原田正平も達也を親友と認めています。繊細で人の気持ちに敏感で、考えすぎな面もあり、プレッシャーに弱いです。

和也と南の兄として接していて、南が喜ぶ顔を見る事、和也が褒められる事を自分の事以上に嬉しいと感じていて、二人の為に甘んじて引き立て役になり、周りから何を言われても気にしていません。和也と南の事になると譲らず、頑固な一面があります。和也と南の仲を取り持とうと躍起になりますが、南の気持ちが自分に向いてしまう事に戸惑い、南の事で競う覚悟を決めてすぐに和也が亡くなってしまいました。

和也の死後、亡き弟の夢を引き継ぎ、代わりに南を甲子園に連れて行く為、明青野球部に入部します。甲子園を目指す過程で、達也の取り巻く環境が大きく変わった事もあり、南の方が達也を遠くに感じるようになってしまいました。甲子園出場も決め、独り占めの状態に苦悩していた達也ですが、南が助けを求めた時に助けられるのも達也だけで、タッチの最終回でプレッシャーに押し潰されそうな南を励まし、想いを伝えました。

 

②浅倉南の紹介

タッチのメインヒロイン浅倉南は上杉達也、上杉和也の幼なじみです。高等部では野球部のマネージャーになりましたが、新体操部のキャプテンが大会直前に怪我をしてしまい、ピンチヒッターという形で競技会が終わるまでの間という約束で入部しました。その競技会でいきなり3位に入賞し、新体操界の期待の新星として世間から注目を浴びました。2年生まで野球部のマネージャーと新体操部を兼任していました。

3年生になると新監督の柏葉英二郎が就任し、野球部に籍は残されていますが、野球部のマネージャーを辞めさせられました。達也は南を野球部に戻す賭けを持ち掛けますが、失敗に終わってしまい、南は野球部に戻れませんでした。以降は新体操部で活躍し、最終回ではインターハイで個人優勝したことが明かされています。幼少期に母を亡くし、忙しい父を助ける為に家事をこなすようになりました。

父親は「南風」という喫茶店を経営していて、南も手伝っています。料理が特にうまく、達也と和也のお弁当を作る事も多くあります。野球部の合宿で大人数の食事を手際よく作れます。多くの人に好意を寄せられている事を自覚していますが、達也がほかの女子と話している所を見ると、嫉妬した表情を見せる事が多いです。一部の女子からは付き合っていた和也が死んで同じ顔の達也に乗り換えたとよく思われていません。

 

③上杉和也の紹介

タッチに登場する上杉達也の双子の弟であり、浅倉南の幼なじみです。和也は南の夢を叶えるため、野球部に入り、日夜練習に励んで名の知れたピッチャーになりました。中等部時代から野球部のエースとして何度もチームを勝利に導いています。野球部全員がかすりもしない球を投げていましたが、和也の球を初めて打ったのは達也でした。草野球でもまぐれとはいえ、ホームランを打たれてしまっています。

高等部に進学してからも野球部のエースとして活躍し、夏季甲子園予選準決勝で和也が決勝サヨナラタイムリーを打ち、チームを決勝に導きました。しかし、予選決勝の朝、球場へ行く途中に子供を庇ってトラックにはねられてしまい、病院に搬送されましたが、命を落としてしまいました。和也の死の影響は大きく、タッチの原作の中で和也の死後、達也と南、達也と孝太郎の間に大きな影を落とす事になりました。

達也が自分の為にわざと南を怒らせたり、子供っぽく振舞っている事を知っていて、達也の優しさを理解する一方で、南が小さい頃からひそかに達也に想いを寄せている事にも気付いていました。達也が南と和也をくっつけようとすればするほど、南の気持ちが達也に傾いてしまい、それに和也はジェラシーを感じていました。南への愛情表現はエスカレートし、決勝に勝ったら南の父に婚約を申し出るとまで言っていました。

 

達也は和也の「南の夢を叶える」という夢を継ぐために野球部に入るが、キャッチャーの松平孝太郎に嫌われ、相手にしてもらえない。しかし、南や周りのチームメイトに相手にするよう強く勧められ、遂に松平と達也はバッテリーを組む。

達也たちは2年生になる。達也は勢南高校の西村と須見工の新田と知り合い、ライバル意識を持つ。彼らとは野球においてのライバル意識のほか、浅倉南に共通して恋愛感情を抱き、4人の間で四角関係が築かれていく。西村はピッチャーで持ち球のカーブを駆使し、甲子園出場を期待されていた。一方、新田のポジションはサードで地区最強の打者だった。彼がいる限り須見工の甲子園出場は間違いなしと周囲で騒がれていた。2年生の甲子園の地方予選では、西村が所属する勢南高校と対戦して延長戦の末敗れる。

達也たちは3年生となる。 そして、いよいよ甲子園出場をかけて決勝戦に挑む明青学園。対戦相手は新田の所属する須見工だった。試合は延長に入り、明青は10回表に1点勝ち越し裏の守りにつく。そして、2アウト2塁でバッターは強打者の新田。新田はその前の打席でホームランを打っており、観客も須見工の監督もこの場面では新田を敬遠するだろう、と思っていた。しかし達也は、自分の力を最大限に引き出してくれるのは新田しかいないと考え、敬遠せず勝負する。新田はファウルで粘る。その力は互角、見ている人すべてが息をこらして勝負の行方を見つめる。その結果、新田は三振、達也は南と共に甲子園に行くことができた。

甲子園への出場が決まったのち、達也は電話で浅倉南に愛の告白をしている。

 

 

Ⅱ. タッチ、その後 (ここからは私の勝手な創作です)

 

1.   大学生になった二人

 

甲子園に出場した明星学園は、あれやあれやという間に決勝に残り、とうとう上杉達也は甲子園の優勝投手になってしまった。もちろん簡単になれたわけではない。達也は必死で投げ続けたが、投げ過ぎがたたり肩を壊していた。そのため、プロからの誘いも断り、大学進学を選んだ。

最初のうちは、甲子園優勝投手としてマスコミにも取り上げられた。しかし、彼は大学進学を選んでからは勉強に打ち込んだ。

ところが、浅倉南と一緒に行くつもりだった有名大学の入試に失敗。浪人する気もなく、滑り止めとして受けていた三流大学に進んだ。

浅倉南は、高校時代のインターハイ優勝選手として、引き続き大学では新体操界の希望の星として期待されていた。

だから、彼女である南と比較すると達也は自分が情けなくなった。新体操の練習に勤しむ南を横目に、次第に二人の距離は遠ざかる。

勉強とスポーツを両立させ素晴らしい成績を残している南と比べ、達也は目標を持たずにダラダラとした大学時代を過ごしていた。達也はほとんど大学の授業にも出なくなり、一人で繁華街をうろつくことが多くなった。

 

2.   二人のすれ違い

 

南は、そんな達也のことが心配だった。

ある日、南は達也を前にして「たっちゃん、何か目標をもって頑張らないとダメよ」と説教した。南は愛があるからこその強い口調だったが、それが逆に達也のプライドを傷つけた。

「オレはおまえとは違うんだ。おまえのように目標をもって常に努力し続けることができない男なんだ。こんなふうに上から目線で説教するのは止めてくれ。もうオレのことなんて、ほっといてくれ!」と達也は言い放った。

 達也は思った。「オレは最初から野球が好きで高校野球を始めたわけではない。弟の和也の代わりをしただけだ。甲子園で肩を壊してしまったが後悔はしていない。」 達也は野球に燃え尽きていた。

南は悲しかった。自分を甲子園まで連れていってくれた達也は輝いていた。野球を辞めてからの達也は人が変わったように見えた。しかし、南にはいまだに達也に対する恋心は残っていた。

南は悩んだ。

「私がこのまま新体操を頑張り続ける限り、達也はもう私のところには戻って来ない。達也とよりを戻すには、達也のレベルに自分を落とさないといけない。そうしなければ、達也はもう自分を見てくれない。」

「新体操、もう辞めようかしら。私はもともと怪我をした新体操部キャプテンの穴埋めで、頼まれて新体操を始めたのだから、本当に新体操が好きというわけじゃないし・・」 南に素質があったことは確かで、みるみるうちに頭角を示した。しかし、新体操としては遅咲きの花だった。小さい頃から鍛えられた選手がたくさんいる中で凌ぎを削っていくのは大変なことであった。努力家の南もさすがに疲れを覚え始めていた。一方、南のコーチは世界を目指していた。「日本の中だけで競うつもりはない。これからは世界を相手にして頑張ってもらわなければならない」とけし掛けた。「とてもコーチの求める高いレベルには付いていけない。これ以上、新体操を続けるのは辞めて、新しい道を見つけようかしら」と考え始めていたのだ。でも、その新しい道とは何かが分からないまま新体操の練習に汗を流していた。

 

3.   達也のストリップ通い

 

ある日、達也は繁華街の裏通りにあるストリップ劇場の看板が目につき、ふらりと中に入った。達也にとっては初めてのストリップ体験。

達也は一目でストリップの魅力にはまった。もともと達也は女好きだった。でも、和也のために、ずっと好きだった南とは距離を置いてきた。自分よりも、弟の和也と南のカップルの方がお似合いと考えていたからだ。達也は、こと女性については、遠慮がちというか、オクテなタイプだった。男仲間からは明るい性格と思われているが、こと女に関しては根暗に近かった。だからこそ、ストリップ客には向いていた。こそこそと劇場通いを始めることになる。達也は一応、甲子園優勝投手として顔が知られているので伊達メガネをかけて変装しており、やはり行動がこそこそしているように見えた。

 

達也は、初めてストリップ通いし出して、ひとりの踊り子に関心を示した。物憂げな表情をした、少し年配の女性だった。名前を優と言った。彼女は、達也が初めてのストリップに戸惑っていること、また変装してはいるが甲子園優勝投手の上杉達也であることを気付いていた。盆周りに座っておどおどしている達也に向かって、にこっと微笑んで、オープンショーでは彼の目の前まであそこを近づけてサービスした。達也はどぎまぎした。「女の人のあそこはこんなふうになっているんだ」 達也はまだ童貞だった。

優は無口だった。足繁く通ってくる達也のことを親し気に‘たっちゃん’と呼んだが、彼が有名人であることは誰にも口外しなかった。彼女自身、いろんな人生体験をしていたからだろうか、達也の心を見透かしたように見えたが、あえて何も言わなかった。そのことが、また達也の気を惹きつけた。南のように若さからガンガン自分をぶつけてくるタイプとは違い、黙って自分を受け入れてくれる優は達也には新鮮な魅力であり、大人の女性を感じさせた。

毎日、彼女目当てで通っているうちに、ポラサインに彼女の電話番号が記されてあった。「よかったら食事でもしない?」と書かれてあった。彼は優に誘われるまま、食事をして、その後に彼女のアパートに行き、彼女から男にしてもらった。

その後も、達也は優目当てで劇場に通ったが、身体の関係は二度となかった。

また、優も「ストリップには若い子が次々とデビューするから、私だけにこだわらずに、どんどん若い子を応援していいのよ。私はあなたのストリップの女房になってあげる。ストリップなんだから浮気はOKよ。たまには古女房に会いに来てね。」と話してくれた。優は粋な踊り子であった。達也はますますストリップにのめり込んだ。

ストリップにはまってからは、お気に入りの踊り子さんが出演するかどうかがもっぱらの関心事。一般の彼女とのデートなどで、相手に気を遣うのはうんざりしていた。自分の都合のいいときに、自分の好きな子を好きなだけ応援する。そんなストリップの自由感が達也には性に合っていた。

 

4.   南、達也を追ってストリップ劇場に入る

 

南は、ダラダラと学生生活を送っている達也のことが心配だった。

あるとき、彼の足取りを追った。そして彼がストリップ劇場に通っていることを知る。

劇場の看板には「性の殿堂」とけばけばしく描かれている。入場に一瞬躊躇した。しかし、南は意を決めて、ストリップ劇場の中に入っていった。大音響とスポットライトが照らす中、踊り子がステージ狭しと踊っていた。達也がかぶり席で拍手をしながらステージを観ていた。彼の楽しそうな笑顔が見えた。

最近は女子の間でもストリップが人気で、場内にはスト女(熱心なストリップ女子のこと)がけっこういた。だから特に、南の姿が注目されることはなかった。

南自身、ストリップの華やかさに目を見張った。最近、新体操に限界を感じていたこともあり、「ストリップだったら私の特技が活かせるかもしれない」と頭を過った。驚いたことに、踊り子の中には、もとバトントワリングで全日本に出場し入賞したことのある方、なんと現役のバレエ団所属のバレリーナーまでいた。踊りのレベルはピンからキリまである。新体操の経験がここで活かせるように思えた。

同時に、ストリップのステージの上に立つことで、疎遠になってしまった達也がもう一度私に興味を持ってくれるかもしれないと思った。これまでも心が折れそうになったときにはいつも達也がそばにいた。もう一度、達也と付き合いたいと思った。その際、好き合うカップル同士がストリップという同じ趣味を持つことはいいことだ。

そう思った南は、いても立ってもいられず、劇場関係者に向かって「私をストリップでデビューさせて下さい!」と叫んでいた。

劇場関係者は南を見て驚いた。こんな可愛いスタイルのいい娘がデビューしたら人気が出るかもしれない、これは大変な掘り出しものだ、と察知した。喜んでストリップ入りを歓迎した。

 

5.   南の踊り子デビュー

 

南は‘MINAMI’という芸名でデビューした。

南は外見の良さだけでなく、運動神経が抜群だったので、すぐにステージで頭角を現した。彼女には持って生まれた華があった。踊り子になるべくしてなった逸材であった。

 

南の姿をステージで初めて見た達也は腰が抜けるほど驚いた。と同時に、彼はストリップファンとして、眩しいばかりの南の裸体に一目で心を奪われた。思わず、かぶり席から、ベッドショー中の南に手を伸ばした。

達也は無意識のうちに南に触れようとした。「ダメよ! ストリップでは踊り子の衣装や身体に触ってはいけないの。」と南は慌てて達也に注意した。「おれたちはタッチの仲じゃないか。少しぐらいタッチしたっていいじゃん。」と達也は訳の分からないことを言う。「ダメと言ったらダメなの。そんなことをしたら50万円の罰金をとられ出禁処分にされるわよ。」と南は釘を刺した。達也にストリップ客として常軌を逸する行動に駆り立てるほどに南の色香は素晴らしかった。

 最初は、そんなことで始まった、踊り子と客としての二人だったが、達也は南に惚れ直し、熱烈なファンとして南を応援した。南のためのリボン専属にもなった。

 南は水を得た魚のようにステージの上を縦横無尽に動き回った。汗がきらきらと飛び散る。まるで若鮎のようだった。特に新体操で習得したリボン演技は素晴らしかった。

 ベッドショーも客の目をくぎ付けにした。南のヌードはビーナスの輝き。身体が柔軟なので見事なポーズを次々と決められた。客は固唾をのんで見つめ、そして拍手を惜しまなかった。

 南は思った。「新体操では途中で挫折してしまったけど、ストリップなら№1の踊り子になれるかもしれない。なにより、大好きな達也がいつも私の側にいてくれる。こんな幸せな空間はないわ。」

 

6.   二人のストリップ・ライフ

 

 南は、優と一緒の公演になった。

「優姐さん、おはようございます! 私はMINAMIと言います。デビューしたばかりで何も分からないので、よろしくお願いします。」

「こんにちは。あなたがMINAMIちゃんなのね。たっちゃんがあなたの専属リボンになったって聞いていたから、どんなお嬢さんかしらと気になっていたの。たっちゃんが夢中になるのがよく分かったわ。」と優姐さんは気さくに話してくれた。

 南は、達也から優姐さんにはお世話になって未だに応援している話は聞いていた。また、達也は優さんに「MINAMIのことをくれぐれもヨロシクお願いします」と頼んでいた。だから、南は優姐さんからポラ着をたくさんもらったり、いろいろと親切に指導してもらっていた。南もすぐに優姐さんを慕うようになる。

 

 新人の若い踊り子の中に、希という子がいた。希は野球ファンだったので、上杉達也のことをよく知っていた。だから、かぶり席に座っている達也に激しくモーションをかけてきた。

 楽屋で、希は「甲子園優勝投手の上杉達也が来ているわ」と話した。それを聞いた優は「お客さんのプライベートなことを話しちゃダメでしょ」と厳しく叱りつけた。優のきつい言葉に驚き、希は小さく首を引っ込めた。

 そして、優は希に「たっちゃんはMINAMIさんの客なんだから、あなたが手を出しちゃダメよ」と釘を刺した。

 そんなこともあったため、希はMINAMIに冷たく当たった。楽屋では一番の新人さんが雑用係と決まっていた。希は自分より少し後に入ったMINAMIに対して「ティシュがなくなったから早く買いに行きなさいよ」「楽屋のお掃除をしっかりやっておきなさいよ」等と言って、小間使いのように扱った。MINAMIは黙って従うしかなかった。

 

 南は、楽屋での出来事を達也に話した。ときに愚痴を言うこともあった。

 達也は「楽屋は女の世界だからね。十日間ずっと一緒だから、嫌なお姐さんがいると辛くなるよな。踊り子さんがストリップを辞める最大の要因はそこにあるらしい。南も大変と思うけど、ボクが助けるわけにはいかないから我慢するしかないな。」

 南は「大丈夫よ。親切ないいお姐さんもたくさんいる。優姐さんからはとてもよくしてもらっているし。」と答えた。それを聞いて、達也は少しホッとした。どこの世界でも人間関係が一番大切で、しかも一番難しい。

 

 自宅が近いこともあり、達也は南の劇場への送り迎えを手伝った。遠征先へも同行した。

 しばらく経って、達也は車の中で、南に向かって言った。「上杉達也は浅倉南を愛しています。世界中の誰よりも」と告げました。南は「前にも聞いたことのあるセリフだわ」と内心くすっと笑ったが、気持ちのこもった達也の言葉がとても嬉しかった。二人はキスをした。

 いつしか、達也と南はめでたく結婚することになった。

 結婚式は身内だけで行われ、踊り子など劇場関係者には一切知らせなかった。ただ、結婚式には優姐さんから大きな花束が届いた。

 

                                    おしまい