今回は「ブランド志向」という話です。

 

 毎年、結婚記念日と妻の誕生日には必ずプレゼントを贈っている。ストリップ通いしているという後ろめたさからか、これぐらいは最低限行っている(笑)。

 最近、妻の希望はバック類が多い。職場やパーティなどに出かけるのに、さりげなくいいモノを持っていたいと言う。この気持ちはよく理解できる。これまでも何度かハンドバックとかカバンを贈ったが、時に小さ過ぎて実用的でなかったりとか色々好みが食い違うこともあった。せっかく高価なものを贈ったのに使ってもらえなかった時は悲しいもの・・。

 今年の誕生日プレゼントの希望を聞いたら、またバック類がいいという。しかも、ヴィトンかエルメスか、とブランドを指定してきた。一応聞いてしまったから、デパートなどを物色してみたが、その値段に目が点になった。ドンキなどのディスカウントや中古品ですら10万円以下はありえない。ストリップを我慢すれば買えないこともないが・・・。いろいろ悩んだ挙句、今回は、ドンキでフェラガモのバックにした。結果的に、妻は自分の趣向に合ったと喜んでくれた。最後に、「次はエルメスね。しっかりエルメス貯金してね」と注文まで付いた。ただ、妻が付け加えた次の一言はかわいかった。「ちゃんとエルメスの似合う女になるから、お願いね」。エルメスの似合う女になったら、ちょっと怖いけどね(笑)。

 

 考えてみたら、妻は若い頃からブランド品を全く求めなかった。非常に質素な性格。妻にするには最適な女性だと思っている。放蕩癖のある私に対して、このしっかりした妻がいなかったら我が家は破綻していたかもしれない。だから妻には頭が上がらない。

「高い洋服を安く着こなすセンスがある」と妻から皮肉られる私に対して、妻は若い頃から安物を高く着こなしていた。派手さはないが清楚に着こなす服装のセンスを私も気に入っている。

 そんな妻が40歳代後半に入ってブランド志向になってきたわけだがそれも当然だと思う。歳をとると若さの輝きが失われる。気持ちだけでもオシャレ感覚を保ちたい。歳をとったからこそ歳相応にいいモノを身に付けたいもの。 

 

 若さというのは輝き。安物を身に付けていても、全てをひっくるめて若さが全てを輝かせてくれる。だから若い子が歳不相応な高価なブランド品を持つのは私には違和感がある。

いいモノはいいという感覚を磨いたり、オシャレを楽しむ気持ちはいいと思うが、なにもブランド志向になる必要はない。若者が高価すぎるものを身に付けるのは無理があるし不必要である。逆にブランド品が本来もっている若者の輝きを失わせかねない

 思うに、小人や若者というのは社会的に扶養される側にある。しかし、大人が喜んで扶養したくなる魅力が小人と若者にはある。それは小人のかわいさであり、若者のもつ若さの輝きなのである。

 若者には可能性がある。ブランド品に目がいく前に、もっとやるべきことがたくさんある。自分の夢を目指すためにも、また将来の伴侶を見つけるためにも人間的魅力を高めなければならない。若者は外見は十分に輝いているのだから、まずは内面を磨くことを第一に考えなければならない。人間としてもっともっと魅力的になるために「心のオシャレ」をしなければならないのである。若さで輝いているうちに内面を磨かなければ、大人になって内外とも輝きの失った情けない姿になってしまう。

 以上は、これから社会に羽ばたこうとしている我が息子や娘に話してあげたいこと。

 

 子供たちには高い洋服を着せなくても、食事だけを十分に与えておけば、彼らのもつ若さが勝手に輝いてくる。

 一方、私はこの年齢にもなれば輝きを失い、輝くのは薄くなった頭だけ(笑)。でもストリップ通いしている私としては、若い踊り子さんと接することで、多少なりともオシャレに気を使っている。意識しないと単なる汗臭い親父にすぎないから香水も必ず持参している。

 ストリップというのは、若さの輝きを堪能するところ。我々歳をくった男性が、踊り子さんを観ることで若さに接し、若さの輝きを少しでもお裾分けしてもらう。ストリップ劇場は若返りのための秘殿なのである。

 

 踊り子さんは美を見せるのが仕事。

 若さだけで輝ける人もいるが、たいていは美を維持するためにオシャレに苦心していることでしょう。ただ、オシャレというのは心を悩ますものではなく、本来心を楽しくさせるもの。踊り子さんがオシャレを楽しみ、それを見て客も楽しむというのが楽しい構図。

 踊り子さんは仕事柄、オシャレ感覚を磨けると最高だと思う。昔は舞台にあがるのに完璧なお化粧を要求され、原型が分からないほど白粉を塗ったという話も聞くが今はそんなことをすべきでない。もともと素材がいいのだから、素材が光る化粧をしてほしい。また髪型なんかも思い切ってチャレンジしてほしい。髪型が変わってチャーミングになっていると我々も心がときめく。

ただ、オシャレがド派手になったりブランド志向に走るのはどうかと思う。年齢不相応なモノを身につけると不自然だし、服装や装飾品が輝きすぎると相対的に本人が見劣りする惧れだってある。だからオシャレとは難しい。

また内面のオシャレも大切。本当のオシャレとは人間がもつ本来の輝きをよりよく見せるとこにある。ほとけ様のように後光がさす人はほとんどいないが、少しでもそういう光を発したいもの。人間的に魅力のない人のオシャレは薄っぺらに感じるからね。

 これ以上、私のオシャレ論を聞いても仕方ないだろうから、もう止めるね。

 最後に一言。踊り子さんには、まさに自分がブランドになるよう努力し、そしてステージで輝いてほしい。