2011年は、うさぎ年。
うさぎは、ぬいぐるみのように愛らしいので今やペットとしても大人気。しかし、元々はキツネや狼など猛禽類、野犬などから狙われやすく、人間からもハンティングの的とされてきた弱い草食動物。仏教世界では献身のシンボルともされた。これは仏教説話ジャーカルの中に、自分の身を火の中に投じて仙人に布施する兎の物語(ササジャーカル)から来ている。ちなみに月面の模様をうさぎに見立てるのもこの物語が発祥。
うさぎの特徴と云えば、長い耳と早い逃げ足がすぐにイメージされる。欧米では、うさぎの足は幸運のお守りとして使われてきた。動きの速いものの象徴として自動車メーカーのメルセデス・ベンツにも採用されている。また狡猾でいたずら好きなトリックスターとして寓話の中にもよく登場する。いずれにせよ、人間に身近な存在として親しまれてきたのは疑うべくもない。
ところで、もうひとつ面白い特徴として性的誘惑シンボルとしてのイメージがある。ご存知、バニーガール。うさぎには発情期というのがないため、年中生殖行為ができ、そのため繁殖率が極めて高い。これが弱い草食動物でありながら生存競争に勝ち残った、うさぎの生き残り戦略なのである。このため、西洋では、うさぎのことを多産、豊穣のシンボルとされている。アメリカの成人誌プレイボーイのキャラクターであるラビットヘッドの由来もここにある。
さて、こんな童話が浮かんだので、記念にプレゼントさせていただきます。
題名は『林檎の好きなウサギ』・・・
あるところに、うさぎの国がありました。
うさぎの城には、かわいいうさぎ姫が住んでいました。うさぎ姫は林檎が大好きでした。いつも城の窓から林檎の木々を眺めているせいか、林檎のように真っ赤なお目目をしていました。
ある日、うさぎ姫は城を抜け出し、木から直に林檎を取って食べようとしました。
必死で木に登ろうとしましたが、うさぎは木に登れません。うさぎ姫は木の下で、真っ赤な目を更に真っ赤にして、木の上の林檎をじっと眺めていました。
その様子を見ていた小鳥がうさぎ姫に声をかけました。「私が林檎を落してさしあげましょう。」
小鳥は甲高い声を出し、仲間を呼びました。集まった小鳥は総勢七羽。
七羽の小鳥たちは林檎の小枝をくちばしでトントンと突つき落としました。
「小鳥さん、ありがとう」 うさぎ姫は林檎をほおばりました。なんて美味しいんでしょう。みずみずしい甘酸っぽさに、おもわずうっとり。
ところが、夢中で林檎を食べている最中、つい林檎をのどに詰まらせてしまい、そのまま仮死状態になってしまいました。
さぁ~大変!! 七羽の小鳥たちは大騒ぎ。
ちょうど、その時、隣の国のうさぎ王子が近くを通りかかりました。
うさぎ王子は、小鳥たちが鳴き騒いでいるのに気付き、林檎の木の下に倒れているうさぎ姫を見つけ驚きました。と同時に、うさぎ姫のあまりの美しさに一目で心を奪われました。
うさぎ王子はうさぎ姫を抱きかかえ、そして彼女のかわいい唇にキスをしました。その瞬間、のどに詰まっていた林檎がぽろりと出てきて、うさぎ姫は息を吹き返しました。
うさぎ王子も林檎が大好きでした。キスをしたときに、うさぎ姫の吐息から林檎の甘酸っぱい香りがしました。さらに、うさぎ姫の下腹部をちらりと見たら、真っ二つに割れた林檎の芯が見えました。うさぎ王子は激しく心がときめきました。
うさぎ姫はうさぎ王子をじっと見つめて言いました。
「助けて頂きありがとうございます。お礼をさせて下さい。私にできることならなんでもさせていただきます。」
うさぎ王子はポツリとつぶやきました。「あなたの林檎が食べたい・・・」
二人(いや二匹)は林檎のように甘酸っぱい関係になりました。
そして、結婚して、いつまでも大好きな林檎を食べました。とさ
めでたし めでたし