今回は、エッセイ「ストリップを楽しむ心に国境はない」を語ります。

 

 

新宿のストリップ劇場三館には、外国人のツアー客がたくさん訪れる。

私のホームTSには、ツアーのひとつのルートになっているようで、毎日のようにツアー客がやってくる。アベックの女性客が多いのが特徴。十人前後の客数が一度に入ると、狭いTSだと一瞬場内が溢れかえる。わいわいはしゃいでいる。しかし、長居はせず、一時間ほど見学して帰って行く。ツアーが帰ると場内が静まり返る。まるで津波が押し寄せて引いていく感じ。以前、私はこれを「潮の満ち引き現象」と称してエッセイを書いた記憶がある。

 

最近は、アジアからのツアー客が多い。一時は、中国人が圧倒的に多かったが、尖閣諸島問題で激減している。今は、台湾、韓国、東南アジア系が多いのかな。

彼らは、ストリップのマナーやエチケットを知るはずがない。一番困るのは、席に荷物が置いてあれば、それをどかして座ってしまう。慌てて、「この席は私の席だ」と説明する。説明すればたいがいは納得してくれる。

ベッドショーのときのお喋り、携帯電話の使用などマナー違反はたくさんあるが、丁寧に説明すれば納得してくれる。彼らにはそのくらいの常識は当然ある。

ストリップ常連の中には、席をとられて怒り、蹴飛ばすようにどかせる方もいる。「あいつらは話しても分からないから」と言う。ツアー客は驚いたように席を外す。しかし、丁寧に説明すれば彼らは分かってくれる。

以前、リボンさんが端の席に積んでいたリボンを崩してしまったツアー客がいた。リボンさんは喧嘩腰に「表に出ろー!」と叫んでいた。せっかく作ったものを崩されたリボンさんの気持ちは分かるが、これはリボンさんが悪い。ツアー客は驚いて委縮していた。

ツアー客は、旅行として日本文化に触れに来た。余興のひとつとしてストリップに寄っているわけで、楽しい思い出を作ってほしい。それなのに、こうした日本人の態度は彼らに悪い印象を残してしまう。

 

先日、我がホームTSでこんなことがあった。四回目ステージに外人客が入って来た。アメリカ系か、とても陽気な仲間数人。女性が一人いた。陽気で綺麗な方で、仲間の一人の奥さんらしい。最初は、座っていない席の荷物をどかして座ったり、ステージ中すごく煩(うるさ)い感じ。説明したら女性の方が申し訳ないと席を立ち、他の席に移ってくれた。話したら紳士的な対応をする。彼らは単に陽気にストリップを楽しんでいることが分かり、出演中の時咲さくらさんは彼らとフレンドリーに接していた。ポラにも快く応じた。外人客はTS常連からタンバリンを借りて楽しそうに叩いていた。

さくらさんのお蔭で、外人客がストリップを楽しむ。いい光景である。ちなみに、私はさくらさんのポラのときに、「ストリップを楽しむ心に国境はないね」と話したら「太郎さん、いいこと言うねぇ~」と喜んでいた。

欧米にはポールを使ったストリップのイメージがあるので、ストリップの文化があるはず。昔は欧米のヌードダンサーがたくさん日本に来ていた。最近は全くいなくなったなぁ~。どうしてかな。ストリップがポラ中心になってきたからかな。

これに対して、アジアにはストリップの文化はないようだ。女性のヌードを鑑賞するのは世界共通の楽しみのように感ずるが、不思議にアジアに根付いていない。前に上海に一週間ほど出張したときにストリップがないのを知り、私はストリップ禁断症状が出た(笑)。私はストリップなしに生きていけないよぉ~♪

いずれにせよ、日本のストリップ史は日本固有の独特な発展を遂げている。

 

ツアー客が落とすお金は馬鹿にならない。団体割引で多少安くしていると思うが、人数が多い分、劇場収入のかなりの部分を占めるはず。

今や、経営的に、ツアー客の存在を無視できない。マナー違反がないように一緒に来ている旅行会社の人がしっかり説明すべき。客とのトラブルは、直接、ツアー客に文句をいわず、従業員を通じて旅行会社の人と話すよう徹底すべき。ツアー客が不愉快な思いをしないよう工夫すべき。

ツアー客が楽しめる工夫ももっとすべき。よく踊り子さんがポラを買ってもらえるように、中国語、韓国語、英語のプラカードを持って舞台を回っている。一歩進めて、中国語、韓国語、英語で、ストリップを楽しむ要領やマナーを記載したチラシを配ったらどうだろうか。相手によって中国語、韓国語、英語別に分けてチラシを配る。そうしたらいちいち説明する手間も減り、トラブルが激減するはず。それを旅行会社が事前にツアー客に配っておくことである。

ツアー客に旅行のいい思い出としてストリップを味わってほしい。ストリップは観光であるとともに、大切なひとつの文化交流と考えたい。

 

 

平成26年5月                       TSミュージックにて