あおいさんから新人さんの処遇を聞いて驚きました。

 私も長くストリップ通いしているので沢山の新人さんのデビューを見てきましたが、ほんとうに定着率が悪く、すぐに辞めてしまう方がほとんどです。そのため、私なりに思う事をお手紙に書いて、励みにしてもらおうとしているところです。

 一番最初に渡した手紙の中に、新人さんがなぜ辞めていくのかを私なりに徒然考えて次のように列記しました。

・   華やかなイメージがあったが、最初に思っていた世界と違う。

・   踊りは好きだがおぼえるのも大変だし、上手く踊れる自信がない。

・   オープンやポラができない。

・   お客さんの態度が悪い。野次られてへこむことが多い。

・   女の世界なので難しいところがある。

・   風俗なので世間体が悪い。     などなど・・・        

ところが、あおいさんの話によると、踊り子さんのステージに対する戸惑いではなく、もっとベース部分にあたる処遇に問題があるようですね。

 

あおいさんが指摘する点を改めてひとつひとつ確認してみます。

①    新人さんは仕事が一度に多く入って休めない 

②    会社の扱いが雑 

③    自分より有名な新人さんがデビューする時に会社が出すお金に目にみえた衣装の差があり、有名じゃない新人さんは落ち込む。一番多い理由だと思います。差があるのは仕方ないですが、あまりにあり過ぎると女の子は自分は期待されていないと落ち込みます。正直。そこの扱いがすごい下手だと思います。私は会社にはっきりNOは言えますが、言えない子も多々いると思います。

④    デビュー以後は、交通費や衣装代は全て自分持ちです。

 

①「新人さんは仕事が一度に多く入って休めない」

 たしかに新人がデビューする時には、次と次々回くらいはスケジュールされているのが多いですね。いったんデビューさせたのだから、そこまではノルマだという経営方針みたいです。

 問題は間隔じゃないのな。新人さんは緊張の連続で精神的にも肉体的にもかなり疲労しているはずです。それを連続でのせるというのは横暴。後で話すけど、同じ東洋の先輩、姫乃りおさんも休み無く働かされ腰を痛め辞めざるをえなくなってしまった。

 新人を働かせ過ぎるのは絶対にマイナス。踊り子さんは宝であり、とくに新人は金の卵。

この業界の発展のために経営資源を大事にしなければならないのは当然の理です。

 ロック系を見ていると、客寄せのため関東でデビューさせるが、次はたとえばここ仙台ロックのような地方劇場でのんびりステージになれさせるなんていうのもよくあるようです。 

 

②「会社の扱いが雑」

 これも全く同様のことが云えますね。

 以前、東洋のある新人さんからこんなことを聞き驚きました。「私はストリップは何かも分からず「大阪に行く」と事務所で言われ、夜の11時に大阪に着いて、そこで『ストリップの先生』が待っていて、朝までわけもわからず練習…。10時から本番という・・始まりは過酷でした。けれど、どういう形であっても、自分を表現していけるこの世界は、素敵だなって思います。一度入ったからには、納得がいくまで、やりたいです。」 頑張って続けてくれるかなと期待していましたが、彼女も三ヶ月ほどで舞台にのらなくなりました。

 これは一例でしょうが、一事が万事、会社の扱いはこんなものなんでしょうね。

 会社の対応の仕方が変わらないことには、新人はなかなか定着してくれないと思います。

 

③「他の子との差別」

 これも分かるような気がします。是非ステージにのってみないかと説得され一大決心して出演してみたものの、他の子と比較してみたら、全く違う。だんだん嫌気をさし、また落ち込んだりするのでしょうね。あからさまに対応が違うとたまらなくなりますよね。気持ちは分かります。

 ただこの点は、どの世界にもあります。見方によれば、優遇される子にはそれなりのプレッシャーがあります。いきなりトリをはらされてお客を呼べない責任を感じさせられ、それが嫌で続かない子もいます。

 一番大切なのは、ストリップを好きかどうかで、好きで始めたからには自分が納得するまで頑張ることです。他の子がどうかではなく、お客さんが自分をどう見てくれるか、すべてはそこに収斂していきます。そのためにも自分の気持ちを強くもつことです。長く頑張った人には最後に必ず神様(お客様?)が微笑んでくれます。

 

④「金銭面の処遇」

 えぇ~っ、交通費まで自分持ちなんですか。。。

 これはあるストリップ仲間から聞いたのですが、踊り子さんの日給は3万円ぐらい、トップクラスでも5~6万円か。実際に劇場が事務所側に払うのはもっと多いが、トップクラスでも10万円がせいぜい。

 本当かどうか分かりませんが、あまりに少なすぎて驚きました。私の感覚では日給10万円、月10日間で100万円、年間1200万円。頑張ればもう少し稼げて、世間一般の部長クラスの年収になる。一見高そうでも、この仕事は長くできる保証はないので、若い時期にがっちり稼ぐためにはこのくらいの金額は欲しいところ、と思っていた。

 現実このくらい稼ぐためには殆ど休み無い状態で働かなければならなくなる。

 

 これも本当かどうか分かりませんが、従業員のボーナスも踊り子さんが出す?

  衣装代が大変という話はよく聞いていました。先輩の踊り子さんが若手の子によく衣装を回したりしています。結構なことだと思います。

 それにしても、こんな処遇では、貧乏暇なし状態。こんな「ストリップ貧乏」ではいい新人も入ってきませんよね。

 

 私が声を大にして言いたいのは、劇場経営者側の問題ですね。経営の仕方がなっていないから集客が悪く、それがひいては踊り子さんの処遇改善につながらないのだと思います。一般の企業では組合があって経営側と労使交渉をするものです。この業界には踊り子さんの組合なんてありませんからね。まぁ組合を作る必要はありませんが、経営側は踊り子さんによって自分たちの生活ができているんだということを自覚して、もっと真剣に経営に取組んでいくべきだと思います。

 ストリップファンとして、この業界がますます発展していくことを願って止みません。

 

 

平成19年6月                          仙台ロックにて