ステージを華やかにする決め手は何か?

  と問われると、衣装とか照明などの舞台装置、あるいは踊り子さんの美しさなどと答えがちだが、私はあえて「踊り子さんの自信である」と言いたい。

 

 H19年5月、川崎ロックで水野美香さんが一周年を迎えた。久しぶりに彼女のステージを拝見して成長ぶりに目を見張った。なによりも彼女の表情に「自信」が漲っていた。

 彼女の一番の特徴は172cmの長身にある。均整のとれた抜群のプロポーションとルックスの良さだけでも十分お客を喜ばせられるが、彼女はずっとステージにこだわってきた。デビュー当時はまだ自信なげでステージがこじんまりしてしまい、いろいろ試行錯誤を繰り返していたのを見てきたが、今やその長身がまさにダイナミックに舞いスケールの大きいステージを演出していた。

自信というのは自分を信じると書く。まずは自分を知ることが大切。美香さんは自分の特徴を生かすことでステージを輝かせることができた。

 美香さんはデビュー当時から成長願望が人一倍強かった。私もよくステージの感想を求められた。しかも、褒めるだけでなく、悪い点・気になる点を指摘してほしいと言われた。そこで、私が以前話した点も含めて、今回私なりにひとつひとつステージを確認してみたら、驚いたことに以前私が気づいた点は全て改善していた。

・   ステージではお客の目を見て反応を感じること。→しっかりお客の目を見ていた。特にベッドでのお客へのウインクと投げキッスは最高だった。まさに目でお客を殺していた。

・   ベットでは盆の中央よりも、むしろ盆の縁で演技する方が、お客に近いため、お客は迫力を感じる。→長身の女体が迫力満点に迫ってきた。

・   オープンも同様で、なるべく盆の縁でお客に近いところでやった方がお客も喜ぶ。→オープンでは客の鼻先をかすめるほどにサービス満点だった。

細かい点まで一つ一つ改善していった彼女の努力に脱帽させられた。自信の裏づけには必ずこうした努力の積み重ねがある。

 

 ステージを華やかにするものとして「自信」という要素が大きいなと感じていたとき、さらに「自信」に裏打ちされるとステージそのものが語りかけてくることに気づかされた。

 ちょうど同じ頃、別の劇場で久しぶりに東洋の川村あいねさんのステージを観た。フラメンコと和物の二個出しをしていたがどちらも素晴らしい出来栄えだった。

 最近は彼女のステージを拝見するたびに、いいステージだなぁと感激することが多い。デビューから四年半になり円熟期に入っている。新人の頃から知っているが、その成長ぶりには目を見張るものがある。

 なによりも「自信」に満ち溢れているステージだと感じる。そのためか、踊っている身体がいろんなことを私に語りかけてくる。これまでどんなに苦労して練習してきたか、今回の出し物をどういう気持ちで創り上げてきたか、・・・そんな声が聞こえてきそうなステージだった。

 

 自信のないステージが一番ステージをダメにする。新人でも、例えば自分の可愛さはお客の心をつかめるという自信があると華やかになってくる。最初は空元気でも自己満足でもいい、自信無げに踊るよりはずっとお客の心に響いてくる。

 自信の対象はなんだっていい。スタイル、ルックス、美しさ、かわいさ、笑顔、ダンスの上手さ、・・・なんだっていい。

 先ほど、「自信」は自分を信じることと云ったが、これは簡単にできることではない。「信」は人が言うと書くぐらいだから、人から言われると自信につながる。そこで、私は新人さんがデビューしたら彼女のいい所を見つけては褒めることにしている。私の一言で元気をつけてもらったり、時にこの仕事を続ける決心がついたなんてことになったら私としては本望だ。

 

 キャリアというのは自信を一つ一つ積み上げていく過程なんだと思う。デビュー当時はダンスの振りが飛んだりすることもあるが、次第に上手にごまかすことだって出来るようになる。それだって自信のひとつ。お客の対応も同じ。最初は泣きたくなることもあるだろうが、次第に上手にあしらうこともできる。全てのことが自信への足掛かりになっていく。

 ファンとして自信に満ち溢れたステージをたくさん観たいものだと常に願っている。