踊り子というのは、4~5曲という20分程の短い時間で自分の魅力をすべて出し尽くす必要がある。
そのために何が必要かというと「ステージへの集中力」がとても大事な要素になる。
集中力のあるステージは観客を引き込む。ベッド・ショーでの目つきを見ているだけでも、演技に集中しているときには眼差しは虚ろになり、観ている我々もうっとりしてくる。新人の大空あかねさんのベッド・ショーを初めて観たときに、「新人だけど、この娘はいい目で演技している。きっといい踊り子さんになれる」と即座に感じた。ステージに完全に集中しているいい目だった。
一方、集中力がなくなったときは、動きに切れがなくなり、ステージ全体がだれた感じになってくる。
ステージの上で踊り子さんは何を表現するのか?
まずは「素の魅力」。持って生まれたヌードの美しさ。これはそのままで美しい。若いということもそれだけで初々しい美しさを発する。
もうひとつは「年季の魅力」。年季というと年をとったように捉えられると心外で、私はむしろ季節を感じられる年季という表現が好き。いくつかの季節、年月を積み重ねて、磨き上げた美しさがある。仕事の出来栄えは、時間を与えることにより更に良くなることが多い。素晴らしい仕事をやり遂げ、実績を積み上げることによって、「培われてくる技能」が表現力になる。それがステージという一瞬の場に表れる。私の身近な会社の例でも、一緒に仕事をしていて本当に凄いなぁと思える人というのは「瞬間の集中力」、つまり一瞬の判断、捌きの素早さに出てくる。これは一朝一夕で身につくものではなく、まさに年季が必要になる。
一瞬の美しさを表現するために、踊り子さんは常に練習しているのだと思う。
また、集中力を養うためには「余計なこと」を考えない、ということも大事かな。
中には、お客の変な行動に気をとられたり、時にお客の服装、髪型まで気になってどうしようもなくなっている方がいる。こういう状態でいいステージができるはずがない。
まずは、自分のステージに全力集中すること。そうすれば、いいお客は自ずと寄ってくる。ふだんの生活でも、常にいいステージをしたいと考えていれば、街角で耳にする音楽でさえステージに使えないかとか、友達のさりげない仕草まで踊りの振りに参考にしようと思ってしまう。まぁ、ひとつの職業病かな。でも、このぐらいにならないと本物ではない。
練習ひとつでも集中力があって初めて身につくものである。