ストリップは選ばれた絶世の美女ぞろい。彼女たちと仲良くなりたいという夢を抱く。
しかし、いつも思う。「自分は何のとりえもないダメな男だ。女性に好かれるはずがない。」と。自分の容姿を見るに、どう見ても彼女達に相手をしてもらえる感じがしない。
しずかちゃんを想うのび太の気分。しかも、自分には助けてくれるドラえもんはいない。
私には一体何があるのだろう・・・
久々にこんな童話が思い浮かんだ。
題名は『ミツバチの手紙』・・・
どこまでもどこまでもお花畑が広がっていた。その中に小さな小さな林があり、また、その林の中に一本の大きな大きな木が立っていた。
木には、ミツバチの城があった。城には一匹のかわいいお姫さまが住んでいた。いずれ女王蜂となる彼女も適齢期をむかえ、城をあげてのお披露目式が盛大に行われた。
彼女の相手となる働き蜂達は平等に求婚できる権利を与えられた。しかし、ミツバチ世界にも階級制、すなわち上働き・中働き・下働きの三つに区分され、実際にお姫さまに求婚できるのは上働きのミツバチに限られていた。
案の定、上働きのミツバチであるA蜂が求婚を申し出た。役人バチ達が彼のお目通りを認め、お姫さまの前に通した。少し小太りで貫禄十分のA蜂はミツバチの間で権力者として名が通っており、たくさんの下働き蜂達を使って、多くのハチミツを集めさせ、それをお姫さまにプレゼントすることができた。
しかし、べらべらと自慢話をするA蜂に対して、お姫さまは全く関心を示さず、目を合わせようともしませんでした。
上働きのミツバチの中で、もう一匹求婚したのが、財産家のB蜂。彼は金に糸目をつけずに沢山の光物を揃えた。その上で、お目通りを認められ、お姫さまの前に通された。B蜂も、自慢げに光物をどうやって手に入れたか、それぞれがどういう謂れや効用があるかを理路整然とお姫さまに説明し出した。
しかし、キザでインテリっぽいB蜂に対しても、お姫さまは一切こころを開こうとはしませんでした。
そんな中、一匹の下働きのC蜂がお姫さまのお披露目のときに、一目で心を奪われてしまいました。C蜂は身分も低く、お金もなく、他にも何も持っていません。でも、お姫さまに対する熱い気持ちだけは誰にも負けません。
「背も高く、かっこいいミツバチがたくさんいる。それに比べ、自分は背も低く、顔も悪い。外見が悪いうえに、他にもなんの取り得もない。ぼくにあるのはあなたを想う強い気持ちだけ・・・」
悩んだあげく、彼は一通の手紙をお姫さまに贈ることを考えました。彼はそれを書くために何日も何日も時間をかけました。しかし長々と書いたわけではなく、簡潔に自分の気持ちを伝えることに徹しました。
彼はそれを持って、お城を訪れました。何度も何度もお姫さまへのお目通りを懇願しましたが、頭の固い役人蜂達が絶対にお目通りを許しません。役人蜂の一人が、彼の真摯な態度に好感を抱き、こっそり手紙をお姫さまに渡してくれることを約束してくれました。C蜂はお姫さまに会えず、泣く泣くお城を後にしました。
その手紙は、親切な役人蜂のお陰で、運良くお姫さまの手元に届きました。
お姫さまはその手紙を開いて驚きました。なんと文字が輝いているのです。愛する人に短い文章で心を伝えるとき、言葉は光を放つと言われます。
更に不思議なことが起きました。彼の真心のこもった言葉たちが手紙から飛び出し、お姫さまの耳元で優しく語り始めました。言葉は心地よいメロディを醸します。お姫さまは愛されている喜びを感じ、心が和んでいくのが分かりました。次に言葉たちは、お姫さまの手をとって踊り出しました。お姫さまは嬉しくなり一緒にダンスを楽しみました。・・・
お姫さまが目を覚ましたとき、外はもう朝になっていました。お日様が彼女ににっこり微笑み、そよ風が優しく彼女の心を誘いました。
お姫さまの心は決まりました。
お姫さまは急いで城を抜け出し、C蜂のもとに走りました。C蜂を見つけたお姫さまは彼に向かって叫びました。
「あなたを私の王子様にお迎えに参りました!」
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ときに踊り子さんから、ステージの上から熱い目線をいただけることがある。その見つめ合えた瞬間、踊り子さんの目には私だけが写っている。どんなに短い時間であろうが、その踊り子さんの目を独占できた満足感が走る。
手紙というのは、読んでいただけた瞬間に直接踊り子さんの心に入っていく。そして、その間は踊り子さんの心を独占できる。手紙にはそういう効用がある。
だから、手紙を読んで頂ける踊り子さんとはすぐに親しくなれる。私は手紙を受け入れてくれる踊り子さんを大切にしたい。
私は手紙のお蔭でストリップにはまっている。手紙は踊り子さんとの会話であると同時に、自分自身との会話である。自分がどんなことを話してくれるかを楽しみにしながら、いつもパソコンに向かっている。
平成21年7月 川崎ロックにて