今回は、踊り子さんに対する私の「愛シェアリング」(私の造語)という話をしてみます。
長年仲良くしているベテランの踊り子さんに「太郎さん、踊り子さんへの愛情は平等にお裾分けしてね」と笑顔で言われた。もっと応援に来てね!というメッセージに、思わず苦笑してしまう。
ところで、「ワーク・シェアリング」という言葉が最近よく使われる。直訳すれば、仕事の分配という意味。高齢化社会を迎え、年金受給開始年齢が65歳になることもあり、会社としても60歳定年となった社員を更に65歳までシニア雇用する義務を負うようになった。仕事を確保するため、これまで一人でやっていた仕事を二人でやるようにする。そうした仕事の分配をワーク・シェアリングという。当然、一人分の仕事を二人でやるわけだから、一人一人の仕事の報酬も少なくなるという痛み分けも出てくる。会社全体、ひいては社会全体でワーク・シェアリングへの取組みが行われている。
さて、以下、私の造語ではあるが、踊り子さんに対する私の「愛シェアリング」という話を展開してみるね。
今の私はどういう時間配分で踊り子さんの応援をしているのか?と問われると、新人さんに対する時間がかなり大きい。私の‘新人さんLOVE’はみなさん周知の事実?(笑)
スト仲間に、あなたが一番お気に入りの踊り子さんは誰ですか?と問われると、「これから出会う新人さんです」と冗談で(本気かな)答えるほど。
新人さんの魅力については、これまでも色々と述べてきているが、何といっても、出会いの新鮮さ、初々しさだろう。ベテランの踊り子さんは既に特定のファンに囲まれているため今から自分の存在価値を高めることはなかなかできないが、こと新人さんの場合は今からの応援次第でいくらでも自分の存在価値を高められる。仲良くなれる可能性が大きいので、期待に胸がふくらむ。仲良くなれればもちろん劇場通いが楽しくなる。
私の場合、新人さんとの擬似恋愛による心のときめきこそがストリップ究極の喜びと感じている。ここまで仲良くなれれば最高。あるベテランの踊り子さんから「太郎さんはストリップ界のプレイボーイですね。恋多き男性は魅力的です。」と言われ大感激したことがある。私は新人さんの素晴らしさに目敏く気づき、長所を褒め、気付かせ、自信を持たせる。それを手紙という手段で瞬時に行う特技がある。合わせて、私はすぐに相手を好きになる特技も持っている(笑)。というか、好きにならないと本気で応援できない。恋愛パワーこそが私のストリップ・エネルギーの源であり、私の若返り薬。
新人さんは初々しい魅力に溢れている。一生懸命だし、すごく素直に反応してくれるので相手をしていて楽しい。「鉄は熱いうちに打て」ではないが、新人のうちに仲良くなれれば一気に自分の存在価値も高まり、そのまま長くお付き合いができる。
実際、一部ベテランを除いた今の踊り子さんの殆どは私の手紙で薫陶を受けた私の娘と云える。私がスト業界で有名な客の一人であるのは、新人のうちに私がファンになり、かつ彼女が太郎ワールドのファンになってくれたから。踊り子とファンとしての信頼関係みたいのが自然とできており、私の顔を見つけるとみなさん笑顔で迎えてくれる。特定の方のみ追いかけるわけではないので「みんなの太郎さん」として定着。私ほど幸せなストリップ・ファンはいないと豪語できる。
また、新人さんは、これからのストリップ業界を担っていく宝物。彼女たちが頑張って多くのストリップファンを獲得してくれることでストリップの発展に寄与していく。新人さんの存在があるからベテランも刺激を受けて頑張る。ベテランさんばかりだとどうしてもマンネリ化してしまうし、もちろん新人さんだけでは成り立たない。やはり、ベテランと新人さんの適度な割合が大切になる。
ところが、先日スト仲間内で、最近は新人好きのお客さんが少なくなったねぇ~という話になった。以前は新人がデビューすると、すぐに新人さんを取り囲み、我先にファンとして立候補する方が多かった。特にリボンさんは熱心。ロックにはまだそういうリボンさんが少しはいるが、こと私がホームにしているTSではデビュー週から熱心に新人さんをサポートする方は私ぐらいしかいない。TS常連ですら、デビュー週は様子を見て、その新人が辞めないようだと確認してからぼちぼち応援しようかと腰を上げるといった感じ。お金が無いから無駄な投資はしないというのか、辞めない新人さんに絞って着実な応援をしたいというのか。これではストリップ熱を全く感じないなぁ。ストリップ人気の衰退を象徴するひとつの現象だと心配になる。
新人さんにとってデビュー週というのは物凄く特別な意味をもつ。右も左も分からない世界に飛び込み不安でいっぱいの中、笑顔で迎え、自分のことを気に入ってくれ、何度も通って応援してくれる客がいるというのは、心強い安心感と勇気を与えられる。極論すれば、デビュー週というのは、この仕事を続けていこうかorもう辞めようかの分水嶺にあり、背中を押すように応援してくれる人が一人でもいると全く違ってくる。その点において私の存在は新人の踊り子さんにかなり大きな存在感を与えていると思っている。
だから最近の私は特にデビュー週を大切にして劇場通いしている。可能な限りたくさん通って、応援してあげる。デビュー週以降もまめに応援し、ある程度固定ファンがつくまではしっかりフォローしてあげたい。
私と出会ったお陰で、踊り子を続けようと思ってくれる方もいるようで、私としては‘ストリップの父’としてスト冥利に尽きる。娘たちがたくさん活躍してくれれば私としては楽しい事この上ない。毎日劇場に娘たちの笑顔を見に行きたくなる。これが劇場通いに忙しい私の現状である(笑)。
確かに、ベテランのお姐さんになかなか愛シェアリングができていないのも事実。本当に申し訳ないと思っているが、決して馴染みの踊り子さんのことを忘れているわけではない。期待するほど応援に行けてないかもしれないが、できるだけ時間を見つけて応援に行っているつもり。
ただ最近はストリップにおける自分の役割みたいなものを強く感じてもいる。新人さんを守ってあげたい、いつも新人さんの味方でいてあげたい、と強く思うようになっている。新人さんを応援する条件としては、新人さんLOVEはもちろんのこと、まめに劇場に通えることが一番大切。そのための多少の経済力も必要。そうした条件に一番マッチしているのが自分であり、新人さんにとっても私の存在は小さくないと感じている。
最近は、ホームのTSで新人がデビューすると精力的に応援している。先日、まだ一周年経っていない海宙まみんさんと新人の憂さんがダブルポラなどで一緒に共演していた。まみんさんが「私のデビューのとき、太郎さんがたくさんいらして下さり心強かったので憂ちゃんもそうだと思います。」 新人の憂さんを応援してあげてね!という先輩としての熱い心遣いに打たれた。
デビュー週ラストに、応援を感謝され、踊り子を続ける決心をしたと言われるほど嬉しいことはない。「不安が沢山あった中で、今回のお姐さん、そして太郎さんとの出会いで、心が和らぎ、とてもありがたいデビューになりました。太郎さんには感謝してもしきれません。とっても心強かったです。ありがとうございました。 10日間やってみて、これからも続けようという気になりました。頑張ります。これからも素敵な笑顔で見守って下さいね。」 これこそが‘ストリップの父’としての私の真の役目ではないかと感じている。
もうひとつ付け加えると、新人さんのデビュー週楽日ラスト・ステージには、物凄い感動的な場面が待っている。心を決め踊り子デビューして10日間をやり切ったという達成感や満足感など様々な思いが交錯し、新人さんが感激で胸を振わせ号泣するシーンに出くわす。観ている私まで感動でもらい泣きしてしまう。しかも、通った日数に比例して感動共有度が違ってくる。だから多く通いたくなる。この瞬間は、彼女にとって一生に一度の大切なもので、このシーンを見られただけでストリップ・ファンとして最高の贅沢。最近の私はこの瞬間を味わいたくて新人さんを追いかけていると言っても過言ではない。
というわけで、なかなか時間的に愛シェアリングできない私をお許し下され!
ただ最後にあえて言わせてほしい。
親は、どうしても生まれたばかりの赤ん坊に手をかける。そうしないと赤ん坊は生きていけないから。しかし、だからと言って、親は上の子のことを愛していないはずがない。親の愛はすべての子供たちに平等である。私はストリップ界の娘たちをすべて愛シェアリングしていると自信をもって答えたい。
平成24年