今日は、ファン心理というものをこっそり話してみたいと思います。

 

 ある踊り子さんが、「いつも応援に来てくれてた方が急に来なくなることはよくあること。その人にもいろいろ事情があるだろうから仕方ないわね。ただ、いつもポラを撮ってくれてた方が急に撮ってくれなくなるっていうのは悲しい想いがするわ」と言ってました。

 ファンというのは気まぐれなもの。すぐに夢中になることもあれば、逆にちょっとしたことで冷めてしまうこともある。

 

 心理学用語で「自己愛」という言葉があります。人間というのは自分しか愛せない。ある異性を愛しているということは、その異性をおもっている自分に満足しているということ。本当に相手のことを愛しているなら、自分のものにしようなどとは考えず、むしろ自己犠牲をもって報いなければならなくなる。

 この考え方によると、ファンはあくまでその踊り子さんに夢中になっている自分自身に満足しているわけで、相手のちょっとした言動が気に入らなくなると簡単に離れてしまうということなのでしょう。

 自分自身を振り返って考えてみると、私は気に入った踊り子さんにお手紙を書いたり、自分の作品であるエッセイ&童話を贈ったりしますが、それに反応してくれると望外の喜びを感じます。逆にまったく反応してくれないとがっかりしてしまう。これは究極、踊り子さんを愛するということより、自分が踊り子さんに愛されたかどうかという事象に重きをおいている、つまり「自己愛」なのではないかと思えてきます。

「自己愛」の考えを前提に、ファンを維持しようとするなら、「あなたのことを想ってますよ」という仕草をして、ファンの心を刺激すればいいことになります。

 

 同じような考え方で、生物学にも「利己的な遺伝子」という有名な学説があります。リチャード・ドーキンスが唱えたこの説の内容とは、人間の本質であるDNA(遺伝子)は自己増殖こそが使命、したがって人間とは自分のコピーを作るための単なる乗り物に過ぎない、というもの。

 この説によれば、男女の恋愛なんて自己増殖の単なる手段ということになってしまう。

 たしかに、人間とは利己的な生き物であると思う。キリスト教における原罪、仏教における我欲という思想は明らかに人間が利己的であることを認めているところでもある。

 最近では「自己チュー」という言葉が流行していますが、まさに人間は自己中心的だなぁと感じることって多いですよね。

 

 難しい話になってごめんなさい。つい、私も単なるエロ親父でないという片鱗を見せたくて・・!?

ともあれ、「自己愛」とか「利己的な遺伝子」の理屈は分からなくはありませんが、この考えはなんか淋しい感じがしますよね。

 そもそも人は一人では生きていけません。人との関わりの中で生きていかざるをえない存在です。であるなら、自己中心的なことばかりで生きていけるはずがありません。

 DNAは螺旋状に絡み合う構造をもっていますが、これは他人との関係と絡み合わずに生きていけないことを象徴しているのだと私は思います。

 ストリップというものを媒介にして、踊り子とファンという関係ができました。これも、ひとつの縁です。「縁を楽しむ」という発想が大切なのだと思います。

 

 

 話を戻して、どうすればファンの心が離れないようにできるのか、を考えてみましょう。

 ファンは、踊り子さんに対して、「変わってほしくないもの」と「変わってほしいもの」の両面を求めています。

「変わってほしくないもの」とは、最初にイメージされた美しさ。できれば、初ステージの頃の初々しさ、一生懸命さ、たとえば初めてポラを買ってもらった嬉しさみたいなものをずっと維持しているような感じの人は接していて気持ちがいい。これは男の身勝手な想いですが。

ファンが喜ぶように、常に美しい存在でなければいけないって結構プレッシャーでもあるでしょうが、逆にやりがいとも云えるのでしょう。

次に、「変わってほしいもの」とは、一言でいうとステージ・パフォーマンス。

ステージがマンネリになりだすと、踊り子さんも気持ちの張りがなくなり、それがファンにも伝わります。

踊り(ステージ)を常に向上していこうとする意欲が大切です。これが励みになります。お客を楽しませるステージを心掛けている踊り子さんはいつも輝いています。そこに、自分自身もお客も満足できるのだと思います。

 

ここで大切なことは、「努力し続けること」です。

外見を磨くとともに、やはり踊りを上手くなるように努力する。いや、努力し続けることです。

これがファンの心を掴んで離さないポイントと私は思います。

「努力し続けること」についてはもう少し言及したいのですが、長くなったので次回のテーマで話してみたいと思います。

 

 

平成17年3月中                       川崎ロックにて