今日は、今回の東日本大地震の話をさせて頂きます。

 

 長年ストリップ通いする中で、これまでも台風、火事、警察ガサ入れなど色んな災難に遭遇してきたが、今回の地震はメガトン級の衝撃。

数年前、仙台に単身赴任していた時も仙台の地震に遭遇したが、そのときは土曜日で東京に遠征していたため直接地震に遭わず、仙台のアパートに戻ったら部屋の中が散乱していた程度で済み、ストリップ通いには影響がなかった。

ところが、今回の東日本大震災ではストリップをかなり制限させられた。

 

 平成23年3月11日午後3時頃、東北地方太平洋沿岸でマグネチュード9.0という日本観測史上最大規模の大地震が発生した。

 私はその当日正午過ぎ、木更津からアクアラインを渡り東京に出てきていた。その週は行きたい劇場があったので、早く仕事を終わらせて劇場に行きたいなと内心思っていた。東京事務所で打ち合わせをしていたら、急にビルが揺れだす。揺れは激しくなり、ロッカー上の段ボール箱が落ちだした。揺れがなかなか収まらないので、慌てて五階から降りて外に飛び出す。すでに沢山の人が道路に溢れていた。

 しばらくしてビル内に戻って仕事を続ける。そのときには仕事を終えたらまだ劇場に行けると思っていた。ところが余震が続いたため、交通機関がすべてストップ。復旧の見込みはないという。職場の人は帰るに帰れない。17時の就業時間が過ぎ、職場の人たちが会議室に集まり、「酒でも飲むか」ということになり買い出しにいきお酒を飲み始めた。その後一部の人は帰宅を始めた。時間はかかるが歩いて帰れるという。遠くから来ている人はあきらめて職場に泊まることにした。女性も二人いた。

 たまたま東京に来ていたために帰宅難民になっちゃったね、と東京の同僚から慰められる。この際だから、土日出勤しなくてもいいように仕事を仕上げようと同僚が言い出して、私と彼は徹夜で資料を仕上げた。少しアルコールが入っており、また細かい数字の集計ではあったが、仕事そのものは順調にはかどった。久しぶりの徹夜だったが、疲れは感じなかった。

 一部の地下鉄は真夜中から再開しだした。何人かはそれを確認して帰りだした。

 一緒に仕事をしていた同僚と私は、そろそろ始発が走っている頃かなと、早朝五時半頃にビルを出た。根詰めて仕事をしていたせいで、外に出たら、朝の空気はとても清々しかった。

 すぐに東京駅に向かった。しかし、JRはまだ再開していなかった。私はJRで帰宅するつもりはなく、丸ノ内線でまっすぐ池袋にむかった。

早朝六時過ぎにミカド劇場に着いたものの、もちろん誰もいない。寒々とした中、さて本日は開演するのかと不安になった。しかし、インターネットで昨日の公演状況を確認したら、ロック始め殆どの劇場は二回公演で終了。ただTSはラスト四回目までやったらしい。さすがTSだ。台風などの時も他の劇場は閉めてしまっても、TSだけはいつも頑張っていた。TSは今回の地震にも負けなかったか、と内心嬉しくなった。同時に、ここミカドも昨日は三回目まで公演したとわかったので、同じTS系になったミカドに期待した。

 私は劇場入り口に場所取りをして、インターネット喫茶で時間を潰し、9時半頃に劇場に戻ったら、お客さんが一人並んでいた。名古屋の方から遠征してきた、川中理紗子さんのファンの方。

 彼は昨日もここミカドに来ていて、今日も公演することを従業員に確認していた。それを聞いて私はホッとした。そして、彼は昨日の地震の状況を話してくれた。2回目のトップ、天羽夏月さんのときに揺れ始めたが、天羽さんは動揺を見せずにステージを努めていたようだ。さすが夏月さん。「そーなのよー。しかも天狗やってるトキで。音が止まらない以上は踊るのが当たり前と思いつつもやっぱり怖かったですー」 その後、揺れが止まらなかったので一旦お客全員を劇場の外に出したらしい。そして、ミカドの新社長しげちゃんが客を前にして「みんな、地震よりストリップをとるかー!」と叫んだら、お客がみんな「ストリップがいい~」と答えたという。この掛け合いは最高だな。やはり、エロ・パワーはすごい!!!

  そんな話をしていたら、劇場に向かってきた女性から「あらっ! 太郎゜さん」と声を掛けられた。マスクをしていたが、すぐに藤森由夏さんだと分かった。TSから1か月ぶりの再会に感激。由夏さんは、昨夜は電車が不通だったので、同じ東洋の坂上友香さんと一緒に歩いて帰宅した話をしてくれた。片言話した後、彼女はすぐに朝食に行ってしまった。

 開場時間の10時半近くなって、ようやく客が来始めた。しかし土曜日といえども昨日の地震の影響で、客は4~5人といつもより全く少ない。新社長のしげちゃんが居て「みなさん、帰宅難民ですね」と話しかけてきた。みなさん苦笑い。実際、私を含め、朝から来ていた客のほとんどが昨日は自宅に帰れなかったようだ。

 私は、昨日劇場に来れなかった憂さを晴らすように、当日はラストまで観劇していくつもりだった。お目当ての藤森由夏さん、仲良しの白雪恋叶さん、東洋の坂上友香さん、久しぶりの天羽夏月さんとメンバーは良かったし。ところが、当日は三回公演になってしまった。

 

 今週また来ようと思っていたら、なんと週明けの月曜日から計画停電が始まり、交通手段が完全に遮断されてしまった。総武線の上下線がストップしたため、ストリップどころか、会社にも行けない。車も運転できないし。これには参った!!!

 月曜日は結局会社を休んだ。ただ、劇場はやっていたようだ。車が運転できていたら劇場に行けたのになぁ~残念無念!!!

  翌日の火曜日はどうしても出勤する必要があった。しかも、東京に仕事の用事がある。しかし、会社に向かう内房線は昨日に引き続き運休。東京方面は動いていたので、一旦東京に出てそこからアクアラインバスで会社に向かうことにした。3時間半かけて木更津に行き、そして、また午後からアクアラインで夕方の東京での打ち合わせに向かった。仕事が終わったら劇場に行きたいと思ったら、その日から全ての劇場が計画停電の影響で休館になっていた。これにもがっかりさせられたが諦めざるを得ない。今週はもう週末の土日に行くしかない。

 地震のため、私と劇場のタイミングが全く合わなかった。今週は、行きたい劇場に行けないもどかしさを何度も感じさせられた。

 

 しかし、被災地のことを考えるとそんなことは言ってられないなぁ~。

 仙台に住んでいる学生時代の仲間からたくさんのメールを頂き、安否を確認できた。一年半前まで仙台に単身赴任していた私としては他人事ではない。もし仙台に残っていたら、多かれ少なかれ被災していたと思うとぞっとする。

 仙台ロックは地震当日の一回目で完全休館となった。私が仙台に居たら、もうストリップは観れなかった。しかも、交通手段がシャットアウトされていて土日に東京遠征することもできない。聞く話では、新幹線がストップしているために、今は高速バスが一度に7台も運行しているという。ところが客が殺到して予約が取れないらしい。私は毎週土日に夜行バスを利用して東京の劇場に遠征していたが、今回の地震だとそれは出来なかったと思う。それを考えると、今回のストリップ制限ぐらいは十分我慢できる。とにもかくにも、仙台の単身赴任から東京に戻ってきていて本当に幸いだった。

 

 大好きな踊り子さんといつものように会えないのはとても残念だが、仕方あるまい。免停の件もあるし、しばらくはストリップ通いを控えねばならないと感じているこの頃。

 しかし、こういう暗いニュースが続くからこそストリップで元気をもらいたいと考えているファンがたくさんいる。実際、地震による休館明けの劇場は大入りだ。

 私も休館明けの土曜日にまた池袋ミカドに足を運んだ。立ち見がでるほど劇場はにぎわっていた。計画停電への協力で三回公演にはなっていたが、ゆっくり回すと終演時間は結局いつもの四回公演とあまり変わらないようだ。

 ミカドでは1ステージが終わる毎に合同ポラとフィナーレがあるが、今回その間に踊り子さん全員で募金活動をしたのに感心した。それに関して、白雪恋叶さんから頂いた手紙を読んで感動した。「こんな時だけど、私たちは私たちにできるコトをやっていこうと思います。今日はみんなステージを見てリフレッシュ&元気チャージしてもらえたら嬉しいです☆ 私には笑顔しか分けてあげられないけど・・・精一杯ステージ努めます。 また被災地にはプロが行ってるので、募金を集めて赤十字に送ることにしました。」

 私は前に、震災地でチャリティ・ストリップをやったらどうかとエッセイに書いたことがあるが、まぁ~それは別にしても、ストリップでみんなに活力を与えられたら最高だ。

  ストリップ・パワーは地球を救う!!!

 

平成23年3月