今回は「マイケルが死んだ!?」という話題です。

 

 ストリップ常連の一人、マイケル君(しょぼくれマイケル)が突然のように劇場に来なくなった。彼は言うまでもなく、エロポラで有名、新人さんが大好きで毎日のように劇場通いしていた。土日は早朝六時前に来て場所取りをしていて、私とよくバッティングした。とにかく熱狂的なストリップ・ファンであり、エロポラ・マニアとしてスト仲間内で知らない人がいないほど有名な存在であった。

 その彼が、ぱったりと劇場に来なくなったのだから驚きである。

 最後に彼を見かけたという情報は、9月中のDX歌舞伎と新宿ニューアート。DX歌舞伎に出演していた東洋の中谷あいみさんを気にいって通っていたらしい。あいみさんは長期休養から復帰したばかりで随分久しぶりの関東公演になる。私はデビューした10年近く前から拝見しているが、マイケル君としては初めてらしい。相変わらずのお人形のような可愛さに一目で参ったようだ。また、新宿ニューアートではALL新人大会をやっていたので、新人好きのマイケル君が当然のように現れた。ところが不思議なことに彼は一枚もエロポラを撮らなかったという。その奇怪な行動に周りのスト仲間が訝った。それがまた噂になってスト仲間に広がった。彼を劇場で見かけたのはそれが最後という。それ以降、劇場で彼を見かけた人はいない。

 

 仲間内で消えたマイケル君の話題がよく出た。みんな好き勝手なことを言っている。

 急に来なくなった理由として、ついにお金が底をついた、悪口を言われ嫌になった、別の風俗に走った、急に転勤になった、彼女ができた、等々。中にはマイケル・ジャクソンと同じで「死んだ」という人もいるほど。根暗な性格だから彼女もできないんじゃないか、悪口を言われたぐらいで今さら気にする玉でもないだろう、等々いろいろ反論も出る。

 面白いと思えたのが、海外に転勤して「世界のマイケル」になろうとしてるんじゃないかという冗談。

 

 彼は、悪口サイトでずいぶん叩かれていたようだ。私はそういうことに一切興味がないので見たことはなく、スト仲間内の井戸端会議から耳に入る。早朝から劇場前に並ぶので、長い井戸端会議になり、そこでいろんな情報が入ってくる。劇場や踊り子さん情報が多いのだが、こうしたスト仲間の噂話も多い。その中で断トツに登場するのがマイケル君の話題。彼が今週どの劇場に出没して、どの踊り子さんのポラを撮った等という細かい情報が逐一聞こえてくる。マイケル君が気に行ったかどうかで、新人さんの容姿やポラでオープンするしないの有無が分かるという有様。まるで新人情報=マイケル情報のごとく。私も新人情報に敏いが、私の場合、容姿以上に自分との相性、手紙の反応で評価するので私が気にいった新人さんがスト仲間全般に共通するとは限らない。だから、私よりマイケル情報の方にみなさん関心がいくようだ。

 マイケル君は無口で殆ど話さない。以前、並んでいる時に話しかけたことがあるが無視されて嫌な思いをしたので、それ以後は話しかけようとも思わない。ほとんどの人が同じ体験をしているので、彼は陰口を叩かれる対象になっている。

 しかし、そういう根暗なタイプこそが本来ストリップ・ファンになりやすいと思う。私としては席取りでライバル的存在だが、それ以外はバッティングすることもなく、無害な存在である。ただ新人さんがエロポラ強要され嫌な思いをしないか心配なだけ。劇場側としては毎日のよう通ってくれて、ポラ代をたくさん落としてくれるのだからアリガタイ存在だと思う。

 マイケル君がいなくなって、いろんな劇場スタッフから彼の消息をよく聞かれる。特にTSのしげちゃんから「お友だちはどうしてるの?」と挨拶代わりに尋ねられるが、そもそも私は彼とは友だちでないし、とにかく全く会っていない。

 

 11月に入って、TSスタッフから「マイケルを映画館で見つけた人かいる」という情報が入った。正確性が高いと言っている。矢沢永吉のドキュメンタリー映画「E.YAZAWA ROCK」とのことだが、ちょうどマイケル・ジャクソンの映画「THIS IS IT」も上映中なので、私にはそれとかけたジョークのようにも受け取れた。

 ちなみに、この「THIS IS IT」はマイケルジャクソンが予定していてロンドン公演のリハーサル風景を中心に展開する記録映画でかなり感動ものらしい。これを見たある人の感想が気にいった。

< やはり、泣けてしまいました。ただ、気がつくと3種類の涙でありました。
(1)「ああ、この目の前で歌い、踊っている人は、もう、この世にいないんだなあ」という単純な悲しみの涙。
(2)「ここまでして全員で最高なものを作ろうとしていたのに、未完成のままこの世去ったのは、さぞ無念だったろうな」という悔し涙。
(3)でも、映画の最後にはこう思ってました。「きっと神様は、マイケルジャクソンという稀有な人物には、常により良いものを追求させたくて、公演の完成をさせないまま、天に召したのかも」「そうして、リハーサルを繰り返しているマイケルジャクソンの姿がファンの心に残るようにしたのかも」と思うと、崇高な気分と、でも、なんだか切ない感じが混じった涙が出ていました。>

私と同じ50歳で天に召されたマイケル・ジャクソンに改めて合掌したくなる。


  ともあれ、マイケル・ジャクソンも最近は悪意のみえるゴシップが極めて多かったことを考えると、マイケル君に通じるものがあるなぁ~。

 心あるスト仲間と話すと、「マイケルは悪口を言われるほど悪い奴ではない。むしろ悪口を言っている奴らの方がもっと陰険だ!」という同情的な話になる。私もそう思う。
 マイケル同様、ストリップ界から惜しい人をなくしたものだ。

 

平成21年11月