今回は『ハシゴの楽しみと心配り』という話をします。

 

 私の知っているあるスト仲間Aさんは、年間500日劇場に通う男として有名。彼は平日は二劇場、休日にはなんと三劇場をハシゴするので、そう呼ばれている。彼を見ていたら、おっ!踊り子Xさんのポラを買っていたと思ったら、ポラが終わったらいなくなり、またXさんの出番の時には戻っている。その間、別の劇場に行って他の踊り子Yさんの応援に行く。関東圏内でせっせと移動しているらしい。ご苦労さんなこと。

 と言いつつ、私自身も、ハシゴは以前からよくやっている。仙台にいる頃には、せっかく東京に遠征している二日間、できるだけお目当ての踊り子さんに顔を出したい願望に駆られ、幾つかの劇場をはしごしていた。

 お気に入りのお姐さんのところを回るわけだから、喜びも二倍三倍になり、非常に効率的に楽しめたという自己満足や達成感がある。せっかく遠征しているんだからと、限られた時間内でできる限り楽しみたい思いから、幾つかの劇場を駆け回る。一種の義務感も含め(?)、知っているお姐さんに挨拶回りするわけだが、ところが実際の話、これは疲れるうえお金も何倍とかかる。

 正直なところ、ひとつの劇場でゆっくりステージを楽しみ、お気に入りのお姐さんとのやりとりを楽しむのがベストだと感じている。関東に戻ってきてからは平日も劇場通いできるので、無理してハシゴはしなくなった。経済的にも、体力的にも自然こうなる。ところが、ストリップの魔力に誘われて、時に自分でも異常な行動に駆られるときがある。

 

 先日、ある週に10日間で20劇場を回った。これだけ回るのは私にとって異常なこと。その週、精力的に応援したい踊り子さん三人が三劇場に分散出演していて、どうしても複数の劇場に顔を出したかった。結果、10日間で四劇場、DX歌舞伎9回、TS7回、渋谷道劇3回、池袋ミカド1回と計20劇場を回った。新宿のTSとDX歌舞伎は近かったので掛け持ちができた。渋谷道劇と池袋ミカドは距離的に離れているので掛け持ちはできず2ステージのみと区切って移動した。

その週は夢中で回っていたので疲れは感じなかったものの、かなり大変だったのは事実。TSとDX歌舞伎は掛け持ちしていたので、お目当ての子に合わせるための時間調整が1番難しかった。両劇場ともステージの進行状況によりダブル、トリプルを平気でやるため、予定が組みにくかった。そのうえ、DX歌舞伎は外出時間が一時間と制限されていたので必ず一時間以内で行き来しなければならず、忙しいことこのうえない。TSと新宿ニューアートは外出の時間制限がないからまだいいが、外出時間制限がある場合はハシゴは基本的に無理だぁ~。

 

ハシゴする上で留意しなければならないのは、お目当て以外の踊り子さんのこと。その点にいかに心配りできるかが、はしごのポイントかもしれない。

 TSでは、いつも応援している方のステージが観れたり観れなかったりした。ポラだけ買うこともあった。ベテランのお姐さんだったので正直に話して、今週はじっくりステージを拝見して応援できない旨を話して了解してもらった。

 問題はDX歌舞伎の方で発生してしまった。お目当てのお姐さんのステージ前に戻るわけだが、前のお姐さんのステージの途中になる。そのお姐さんも素敵な方なのでついついステージの途中から、確保していた盆周りの自分の席に着いてステージ鑑賞した。そして何もなかったようにポラも買っていた。ところが一二度ならいざしらず何度もステージ途中で戻ってくる私に対して「私のステージもしっかり見てよ!」とポラにコメントされてしまった。配慮が足りなかったと猛省させられた。ステージの途中なら、盆周りの席に着かずに、後ろの方で応援すべきだった。すごく失礼なことをしたと頭が下がった。

 ハシゴの時は、ステージ途中から観劇することは止めるべき。ポラだけ参加する等も含め、中途半端な応援はしないよう割り切るべきだろう。しかし、私の場合は、おそらく来場したこと自体、他の踊り子さんに伝わるだろう。応援しないと気に障ることだろうし、それはそれで失礼なこと。そうこう考えたら、掛け持ちはすべきでないと思っている。

 

 はしごをしている時は、お気に入りの踊り子さんのことに夢中になっていて、時間に追われるあまり、周りへの配慮がなくなる。他の踊り子さんのことは当然。

 また席を占領することも問題。他の客はいい席が空いているのを見ると頭にくるだろう。いくら料金を二倍払っているからといって、あまり自分勝手なことは慎むべし。席を外している間は他の人に席を譲ってあげたらいい。劇場はみんなで楽しむ場であることを十分配慮したうえでハシゴすることを心がけたいもの。

 劇場側もお金を落としてくれるので大目に見てくれているが、やはり好ましいとは思っていない。

 自分のことを棚にあげてこんなことを言うのもおこがましいが、ハシゴはするときは、掛け持ちはせず、席は占領せず、荷物を持参で外出すること。一日で複数の劇場を回りたいときは例えば前半・後半に区切って回るようにすべき。劇場にも、踊り子さんにも、他のお客さんにも迷惑をかけないように楽しむのがストリップを楽しむ大原則であることを肝に銘じたい。