今回は「ストリップは心の避難場所」というお話をします。

 

我々ストリップ・ファンというのは、日常のストレス解消を目的に、ストリップ劇場という竜宮城で絶世の美女の裸体を楽しむ。非現実的な空間であるからこそ、現実回避の効果は大きく、心は癒される。

では、踊り子さんの側はどうだろう? 

先日、ある踊り子さんがストリッパーになった自分の経緯を話してくれた。切実な内容で胸に迫るものがあったが、プライベートなことなので内容は割愛する。ただ、話を聞いて、踊り子さんもストリップの場を一種の心の避難場所として、生活の場にしているんだなぁと共感するものがあった。他の風俗のように身体を触られるのは嫌だけど、ヌードを見せるのはOKとなれば、ストリップが最適。まぁ、いろいろあってストリップの場に流れてきている方も多いだろう。

であれば、ストリップ劇場というのは、踊り子さんにとっても、お客にとっても、お互いに心の避難場所であり、限られた時空間の中で心を癒し合っていると言えそう。

 

話は変わるが、最近、あるスト仲間に「太郎さんが夢中になって応援する踊り子さんはすぐ辞めちゃうねぇ~」と言われ、かなり胸に刺さった。

TSの神谷もえさんがブログの中で、次のミカド公演(H24年6月頭)で踊り子を辞めることを考えていると発言したのがきっかけ。もえさんの気持ちは既に手紙にて聞いていて、私なりにアドバイスしている。私のことを信頼して相談してくれたことはファン冥利に尽きる。まだ悩んでいて結論が出ているわけではないようだ。しかし最後は彼女が決める問題。

彼女以外にも、私が皆勤するほど夢中で応援していた踊り子さんが次々と辞めている。この一年を振り返ってみると、初めて10日間皆勤した東洋の藤森由夏さんには、正直いまだにショックを引きずっている。彼女に会いたくて大阪遠征が始まったほど。いつも会えると思っていたのが何の前触れもなく突然いなくなってしまい、心に大きな空隙ができた。同じ東洋では、最近の涼川ゆきのさん。TSでは、昨年のYAYOIさんがショックだったし、最近の憂さんも残念でならない。

思えば、彼女たちは皆、すごく優しい性格で、気弱な精神面を持っている。ストリップという仕事を続けていくにはもっと精神的に強くなければやっていけない。だからこそ、ストリップの父を自認する私は彼女たちを守ってあげたくて必死になった。男というのは、弱い女性をほっとけない本能が働く。そして、それが彼女を想う愛につながっていく。

初めて彼女たちのステージを見たとき、ストリップの妖精が現れたと思い小躍りして喜んだ。しかし、ファンタジーの世界の妖精が、清く美しい反面、儚く、脆く、壊れやすい存在であるのと全く同じ。

彼女たちが心の避難場所として辿り着いたストリップの世界も、現実は厳しいものであり、心が折れてしまう。せっかく出会った縁でもって、私ごときが必死で支えようとしても、力が及ばない。残念なことではあるが、最後は彼女の判断に任せるしかない。

 

長く頑張ってくれる方もいるが、こうやって儚く消えていく方もいる。これがストリップなのだと思う。ただ、一時の心の避難場所でお互い出会った意義は大きいと信じている。彼女たちの心の隅にでも私の存在が残ってくれれば幸いだ。もちろん彼女たちとの美しい想い出は私のメモリアルに鮮明に記録されている。

人との別れの辛さは人との出会いによって癒すしかない。お付き合いの長短や濃淡はあるにせよ、別れの想い出は、新たな出会いや今現在の方々との想い出を積み上げていくことで埋めていくしかない。

今夜も新たな想い出を求めて私は劇場を彷徨っている。

 

 

平成24年4月