最近、ストリップにおけるマナーとエチケットについて考えている。
もともと、これを考えるきっかけはブログ等での踊り子さんへの誹謗・中傷。根も葉もないことを書き込んだり、嫌がらせをしたり、目に余るものがある。
私は基本的に踊り子さんのブログや悪口サイトは見ないことにしている。踊り子さんとコミュニケーションしたければ、ブログで書き込むより、こうやって直接お手紙を渡したほうがいい。ブログは公の場なので他の人に見られ、それをあれこれ言われる可能性があるが、手紙はあくまで踊り子さんとの一対一の会話に限定できるから安心して話すことができる。それに、仕事以外に時間を見つけて、こうした手紙やエッセイの文章を書くにはかなりの時間がかかり、しかも書きたいことがたくさんあるため、毎日がいくら時間があっても足りない状態で、とてもブログなどをのんびり覗く余裕がない。よく色んな踊り子さんのブログ情報を自慢げに話すストリップ・ファンがいるが、本当に暇なんだなぁと内心思ったりしている。
ともあれ、踊り子さんの中には、このブログでの誹謗・中傷にかなり強い精神的ダメージを受けている方が多い。
顔が分からないことをいいことにホント滅茶苦茶なことを書き込んでいる輩がいる。悪口を書き込むことで、自分が優越感をもつ、ストレスを解消する、苛めを楽しむなど、人間として最低の、絶対にやってはいけない恥ずべき行為をやっている。いや、これは犯罪だ。名誉毀損であり、精神的な傷害罪に該当すると考えられる。憲法で保障されている表現の自由どころではない、こういう行為はきっちり取り締まるべきだと思う。
親しくしてもらっている踊り子さんも、このことで悩んでいたが、次のように話している。踊り子という人気稼業でブログを開くということは、良いことが多い反面、こういう悪いことも覚悟しなければならない。物事はどんなに良いことでも、必ず悪く捉えようとする者がいる。人間に嫉み・嫉みなどマイナスの感情がある限り無くならない。むしろ、こういう悪口は人気が出て注目され始めた証でもある。また、悪口を言う者は往々にしてステージを観ていない部外者。ステージの素晴らしさを知っている者はそんな悪口は決して言わないもの。
前置きはこのくらいにして、マナーとエチケットの話に移る。
ところで、このマナーとエチケットの違いはなんだろう。どちらも辞書には行儀や作法といった意味が書いてあるが、なんとなくニュアンスの違いを感じる。ではこれら2つ、具体的にはどういう違いがあると説明されるのだろうか。
語源からひも解いてみよう。 マナー(manner)は英語だが、ラテン語で「手」を意味するmanusが語源。もとは手の使い方を始めとする作法のことで、ある場所や場面において決まった立ち振る舞いを指す。例えば食事中のマナーと言えば、ナイフやフォークの使い方などを意味する。
エチケット(etiquette)はフランス語。エチケットの言葉の由来は、ルイ14世の時代にヴェルサイユ宮殿の庭で所構わず用を足してしまう(ヴェルサイユ宮殿にはトイレがなかった、と言われている)ので、頭に来たスコットランド人の園丁が立て札をしたことからだそうで、この立て札が「エチケット」で、「エチケット」を守る→礼儀作法を守る、になった、とのこと。(本場のフランスでは「生活の智恵」と言うそうですが)宮廷に入るための通行札、庭に入るなという立て札、ここに汚物を捨てるなという立て札が語源とされている。こちらはある状況下での心配りや気遣い、思い遣りから来る行為や態度を指す。食事中のエチケットと言えば、食事中に汚い話をしないとか、ゲップをしないということである。
マナーは公共とか、他人一般に対するもの。客観的に評価されるもので、最低限の社会的ルールと云える。
その点、エチケットはあくまで個人に対しての気遣い。それは自分に持ち合わせるべき常識というか、個々人の「たしなみ」の領域とも云えそうだ。
例えば、彼女をデートに誘うにも、デートに相応しい場所があるはず。いくら競馬が好きでも競馬場に誘うようなことはしまい。相手や場所に失礼のない言動がマナー。それに対し、出かける前の服装を気にしたり、口臭を気にしたり、財布の中身を気にしたり等、自分でできる「事前」のマナーがエチケット。キスのエチケットは、事前に口臭などを気にすることであり、キスのマナーは、舌をツヨク噛まないとか、つまり、そういうことである。
話が長くなりましたが、これから本題に入ります。
私もストリップ歴10年になるので、少しはストリップにおけるマナーとエチケットを意識した言動をとるべきと感じるようになりました。他人の言動を見て感じていましたが、改めて他人の振り見て我が身を振り返ると、反省すべき点が多くて、自分であきれるほどです。
まずは、ストリップのマナーについて述べます。
大切なことは、ストリップは公共の場であるから、他人の迷惑になることは厳禁。ルール違反は言うまでもありませんが、多くの方が不快に思う行為も慎まなければならない。
思いつくまま例示していく。
・ポラのときに、踊り子さんが嫌がるポーズを強要するのは当然ダメ。有名なマイケル君が何も知らない新人に対してオープンを強要して嫌がられているのは周知の事実。これで辞めてしまう新人もいるというからこれはルール違反に近い。新人でも喜んでやる方もいるから難しいが原則禁止したほうがいい。踊り子さんがOKしたポーズのみ認める。
だっこちゃんも有名だが、お触り願望見え見えで、周りから見ても不愉快。本人は他の踊り子さんがしてくれたと敢てポラを見せてお願いしている。ポラを売りたくて受ける踊り子さんも多いが、今後の新人さんのことも考えれば原則禁止にすべき。
・ポラのポーズをとるのに時間をかけすぎるのは迷惑。有名なマイケル君もよく従業員に注意されている。彼が椅子ポラで時間をかけ過ぎたために椅子ポラを禁止している劇場も多くなった。
・ステージ、ベッド中に客同士話すのは迷惑。これはルール違反だな。
一方、ステージ、ベッド中に曲に合わせて歌っている客がいる。カラオケ好きの私も実は18番がかかると歌っている(笑)。本人が気持ちよく見ているのでなかなかダメとは言いづらいが、調子外れで歌われたらステージが台無しになるから、これも基本はダメ。
ポラ撮影時に、「5・4・3・2・1、発射!」とか「はい、チューズ!」と大きな声を発する客がいる。騒音なので基本的にダメと思うが、お客が苦笑いしながら認めてくれれば許されるだろう。皆が認めれば、これも客の個性に変わる。
・手拍子のリズムが合っていないこと。これは私のことだが、特にベッド時に、無意識ながら、つい勝手に盛り上がって叩いていることもあるようだ。ベッド時に手拍子されるのは踊り子さんは嫌がるし、仙台ロックの従業員からも手拍子・手振りともに厳しく注意されている。しかし、ステージに夢中になると無意識に手が動いていることがある。困ったことである。
次に、ストリップにおけるエチケットについて。
これは話し出したら切りがないので、自分のことに限定して話す。
・ステージ中に酒を飲んだり、飲食するのは控えたい。お腹がすくと、ついパンを食べたり、アルコール類をふるまう劇場もあり、ついつい飲んでしまう。踊り子さんからはよく見えるだろうから出来るだけ慎みたい。(できないときはゴメンナサイ!)
・座席の下にごみ屑、空き缶を置いたまま帰らない。自分で出したゴミは自分できちっと捨てる。いくら料金を払ったからといって、最後に掃除をする従業員のことを考えてあげるべし。ストリップ常連としての常識。
この辺までは言うまでもない常識の話だが、問題は、自分でストリップを楽しもうと作り上げてきたスタイルが、自分ではよいと思ってやっていることでも他人から見ると迷惑に思えること。それに自分で気づかないというのがちと困る。仲間から指摘・注意されたりしてハッと気づくこともある。
・私はステージでは元気に拍手・手拍子しているつもり。私の手拍子の仕方について、ある人が「回転チョップ」と命名してくれているようだが、他人からは随分奇異に見えるようだ。なぜ、こういう手拍子になったか別の機会に話したいが、踊り子さんによっては面白がってくれる方もいる。ある踊り子さんは、ステージの幕が上がり観客席の顔は全く判別できなくても、手拍手の様子で私がいると気づいたと言ってくれた。ともあれ、ステージ前方で派手に回転チョップをするのは控えたい。
・応援しない踊り子さんのステージで席を外すこと。
一般に応援しない踊り子さんのときに食事に行ったり一服したりする客は多い。私もラウンジで手紙を書いたりしていることが多い。入場料を払っている限り、見る見ないの自由は客のほうにある。応援している踊り子だけ見たいんだから、どこが悪い。そう考えている客も多い。しかし、はたしてそうだろうか。
先日、仙台ロックで、応援していない踊り子さんのときに席を外し、戻ってきたら席に置いてあった荷物がなくなるという事件があった。踊り子さんが自分のステージを見ない客に怒り、かぶりに置いてある荷物が目障りと袖に持っていってしまった。いくらなんでも、腹いせに客の荷物を持っていくことはあってはいけないこと。仙台ロックの社長が荷物を取り戻してくれ、平に謝ってくれた。しかし、一方的に踊り子さんを怒る気にはなれない。これは自業自得だ。仙台ロックの場合、私は以前お付き合いで全員のポラを買っていたこともあり、ステージを見るからにはポラを買わないといけない雰囲気がある。しかし、一枚1000円ではとてもお金がもたなくなり、気に入った踊り子さんに限定してポラを撮るようになった。自然、ポラを撮らない踊り子さんのステージは気まずさから観なくなる。いや、観たくなくて観ないのではなく、観れなくなったのである。それなのに、かぶりに荷物を置いているから目障りになる。確かに私にも責がある。割り切ってステージだけ観るか、観ないときにはかぶりに荷物は置かないようにしようと思っている。これは踊り子さんへのエチケットだろう。長くストリップに通うと踊り子さんとの人間関係もでき、ファンをやめるにも簡単にはいかない。一般の男女関係ほどどろどろはしていないが、一定のエチケットは守っていくべきだと反省している。
平成21年10月 SNAにて