今回は「ストリップの父」という話をしてみたい。

 

 ウルトラマンにはウルトラの父とウルトラの母がいる。だから、ストリップにもストリップの父とストリップの母があってもおかしくない(笑)。

 では、ストリップの母とは何か?  ストリッパーとしてデビューさせてくれたもの、それは事務所とか劇場とか、かつその関係者ということかな。踊り子さんの中には、憧れの方とか、踊りの指導を親身にやってくれた方などを母親と思っている人もいるだろう。

 次に、ストリップの父とは何か? ストリップの母が産みの親ならば、ストリップの父は育ての親。それはファンが対象と言えまいか。踊り子というのはファンあってのもので、ファンが見守ることによって続けられる商売なのだと思う。いくら綺麗な方でも、最初のデビュー時には客引き効果があるかもしれないが、綺麗なだけではすぐに飽きられてしまう。ポラも最初は売れても、一通りエロポラとか撮り終えると、後は固定ファンが付かない限りポラは売れ続けない。ポラが売れないと劇場から呼んでもらえなくなる。つまり、踊り子さんをステージで輝かせ続けるのはファンの力以外のなにものでもない。だからファンこそが踊り子さんの育ての親と言っても過言ではないだろう。

 

さて、自分のことを少し述べる。

最近の新人さんで私のことを『お兄さん』と呼んでくれる方がいる。彼女に言わせるとこうらしい。「太郎さんは、私のお兄さんですね・・・この世界では先輩の事は『お姐さん』『お兄さん』と言うそうなので・・・」

 以前、ある踊り子さんの手紙に「太郎さんとは兄弟のような、頼れて何でも話せます。」とあったから、私はお兄さん的存在に思われやすいのかな。

 しかし、私はけっこう高齢。お兄さんというよりはお父さんに近い。私の息子は今年22歳、娘も20歳になる。新人の踊り子さんに近い年齢である。お兄さんと言われると、どこかこそばゆい感じがするので、やはりお父さんの方がしっくりくる。なにせ親父ギャグが大好きですから(笑)。

 私もストリップ歴10年になる。頻繁に通い出して10年であり、初めてストリップを観たのは30年前になる。そういう意味での経歴は長いので、新人の踊り子さんを指導する術を多少は心得ている。

 私が新人の踊り子さんに渡す手紙は、ここ10年間で培ってきたノウハウであり、新人ストリッパーとしての心得、ポラ対応、笑顔や目線の置き方などステージでの初歩段階のことを書き連ねている。私の手紙を励みにして何回も読み返してくれている方もいるようだ。私の手紙をストリップ・バイブルのように扱ってくれるなんて望外の喜び。ある踊り子さんが「太郎さんの言葉には踊り子を元気付ける魔法の力がある」と褒めてくれましたが、私もせっかくデビューした踊り子さんがすぐに辞めないように最善の働きかけをしているつもり。私の応援で踊り子を続けるきっかけにしてくれたなんて、それこそファン冥利に尽きるというもの。

 ということで、私も「ストリップの父」として少しは役立っているのかなと自負している。

 

 新人さんがデビューする。まるで産まれたてのヒナがオギャー(ピヨピヨかな?)と誕生。ヒナは私のことを親と思い込んで、私が示唆するように付いてくる。中には最初から付いてこないヒナもいるが、それは縁がなかったわけ。私は縁があったヒナだけを大切にする。

 ヒナを育てようと思うも、途中でいなくなってしまうヒナもいて虚しさや寂しさを感じたりしながらも、中には立派なニワトリに成長してくれるヒナもいる。どの新人さんも立派なニワトリになれるよう期待している。

新人さんが踊り子を続ける限り、私は父なる愛をもって見守っていきたい。