あるストリップ仲間とこんな話をした。
「自分はストリップにはまる前は熱狂的な格闘技ファンだったんだよ。プロレス観戦なんかも随分したよ」
そんな彼がなぜに今度はストリップ・ファンに変わってしまったのか?
「そりゃ、男も年頃になれば、男の裸より女の裸の方がいいに決まっているだろ!」
なるほど・・・???
格闘技ファンの踊り子さんもいる。杏野るりさんは趣味で格闘技をやっていると聞いたことがある。なるほど彼女のプロポーションは引き締まった筋肉質体型になっている。相馬ルイさんもプロレス・ファンで、そのせいか北斗晶に似ているとよく言われるそうだ。そう言えばたしかに似ている(笑)。
ところで、格闘技の団体戦では、先鋒、次鋒、中堅、副将、大将という順番がある。この言葉はよく聞いたことがあるだろうが、人数が変わった場合、呼び方はどう変わるか?
3人の場合は、先鋒、中堅、大将。
4人の場合は、先鋒、次鋒、副将、大将。
5人の場合は、先鋒、次鋒、中堅、副将、大将。
6人の場合は、先鋒、次鋒、三鋒、三将、福将、大将。
7人の場合は、先鋒、次鋒、三鋒、中堅、三将、福将、大将。
8人の場合は、先鋒、次鋒、三鋒、四鋒、五鋒、六鋒、福将、大将。
9人の場合は、先鋒、次鋒、三鋒、四鋒、中堅、五鋒、六鋒、福将、大将。
10人以上の場合は、先鋒、次鋒、三鋒、四鋒、五鋒、・・・、福将、大将。
奇数の場合は必ず、中間に中堅が入るのがポイント。
さて、今回はストリップの香盤を格闘技の団体戦になぞらえてみてみよう。
最近はお気に入りの踊り子さん目当てでストリップに通っているが、最初の頃はストリップそのものに興味があり、香盤全体を通してストリップを観賞していた。そういうときには、香盤全体の構成というのは重要。3時間ほどの長丁場を、客を飽きさせないように、踊り子と客が一緒に盛り上がっていかなければならない。ある意味、いかにステージに客の目を惹きつけるかの、踊り子と客との戦いである。だから格闘技の団体戦になぞらえる意味がある。もちろん、劇場側はそれを意識して香盤順を考えている。私も今では出演メンバーを見た瞬間に香盤順がほぼ当てられるようになった。つまり、香盤順にはそれぞれ意味がある。
仙台ロックは5香盤なので、これをベースに見てみよう。
1番手。格闘技では先鋒、つまり切込み隊長。ストリップのトップ・バッターはステージを盛り上げる役割をもつ。お客に人気があって、元気のいい踊り子さんが最適。
踊り子さんにとって一番手というのは、ラスト回で早く帰れる利点がある。遠くから通っている踊り子さんは最終電車の関係もあり、一番手を望む人もいる。
ただ中には一番手を嫌がる子もいる。確かにトップは緊張もするが、なによりもトリが終わる度にお客がガクンと減ってしまいノリが悪いのが原因。
2番手。格闘技では次鋒。あまり人気や実力にこだわらずに、1番手と3番手をうまく繋ぐ役割といえるかな。
2番手は新人向き。期待が少ない分、プレッシャーが少ない。新人好きの客にはここが楽しみな香盤になる。
3番手。まさに中堅どころ。しっかり踊れる方で香盤全体を引き締める役割をもつ。
ここがいいと観ていて中だるみせず、その公演全体を通じて満足感が残る。
4番手。格闘技では副将。全体の中でトリ前をはる重要な役目がある。ここが今一だと全体がしまらない感じになってしまう。私個人とすれば、ここにトリをはれるクラスをもってきてツートップな香盤構成だと興行全体が華やかになり最高だと思っている。
最後の5番手。まさに大将格、本公演の目玉。劇場関係者に云わせると、客入りの大半はトリの良し悪しで決まるともいう。責任重大な厳しい役割であるが、その分ギャラも高く、一番やりがいのあるポジション。誰でもトリをはれるわけではなく、選ばれた方のみが任される。トリは人気・実力が備わっていないといけない。
4回目ラストのステージは深夜遅くなるので、本当にトリの踊り子さんのファンしか残らない。そのため、踊り子とファンの一体感でステージが盛り上がる。私的にはトリがお目当てならばラスト・ステージを観てこそ初めて本日観に来た意味があると考えている。踊り子さん自身、最後まで残って応援してくれた方は間違いなく本物のファンだという認識を持ち、彼らに感謝の意を示す。だから、ストリップ・ファンの中には踊り子に対して自分の存在を誇示するために、ラスト・ステージだけ花束をもって駆けつけて来る方もいるほどだ。
ストリップは踊り子と客の美しい格闘なのかもしれない。だからこそ、そこに爽快感がある。
平成21年5月 浜劇にて