今回は「笑いの効用」について話してみたい。

 

あるベテランの踊り子さんがポラ・タイムでお客と接しているときに必ず笑い声を出していることに気付いた。もちろんそれはさりげなく自然にではあるが。

そういう目で他の踊り子さんを観察していたら、ほとんどの踊り子さんは微笑みをもって客の応対をしている。これを一歩進めて、ポラ・タイムの短い間にどんなお客に対しても必ず笑い声を出している踊り子さんはどのくらいいるのかなと思ったら、けっこういる。最近見た中で例をあげさせてもらうと、瀬能優さん、香坂ゆかりさん、若林美保さん、小泉まなさん、長谷川凛さん、成瀬美穂さん、矢崎茜さん、相馬ルリさん、、、みなさんベテランで実力と人気を兼ね備えた方ばかり。

つまり、長い間人気を保つ秘訣のひとつにこの「笑いの効用」があるのかもしれない。

 

「笑う門には福来たる」という。笑いのある踊り子さんにはポラ客が集まる。

 客は、踊り子さんに安心感/親近感がないとなかなか近づき難い。なにせ、女性にもてないストリップ客が高値の花に近づこうとしているわけだからそれなりに勇気が要る。優しく受け入れようとする雰囲気作り、それが笑顔であり笑いなのだ。常連さんもどんなにつまらないことを話しかけても、踊り子さんが笑って受け入れてくれれば安堵感をもって接することができる。

 客は大好きな踊り子さんと接することが癒しであると同時に、踊り子さんの笑いも最高の癒しとなる。客のかかえているストレスを踊り子さんの笑い声が吹き飛ばしてくれる。

 

 私自身、よく劇場で見知らぬ客から声を掛けられる。ニコニコ(いやニヤニヤかな?)しているから声が掛けやすいのかもしれない。そのせいか、踊り子さんだけでなく、ファン仲間の間でも私はかなり交流が広がっている。

 職場でもどこでも、まわりの雰囲気をよくするのは笑いである。選挙演説やスピーチなどでユーモアやジョークのセンスが人の心をつかむ。つまり、笑いは人間関係を潤滑にし、イライラをなくし、仕事の効率をアップさせる効用がある。さらに最近、笑いは心身にもよい影響を及ぼすことが医学的にも明らかにされている。笑いによる感動は前頭葉を刺激し、脳の血液循環を良くし、脳細胞が元気になる。脳神経外科医が盛んに、笑いを脳梗塞後のリハビリに取り入れている。

 

 こんなにいいことづくめの笑いであるからには、笑いの絶えない毎日を送りたいもの。ではどうすれば可能か。

それには笑いの天才である赤ちゃんのことを考えればいい。赤ちゃんを笑わすのは実は簡単で、赤ちゃんに話しかければいい。赤ちゃんは自分に関心をもっている人に満面の笑顔を見せてくれる。逆に無視されれば泣くじゃくる。

人間関係の潤滑油が笑顔だとすれば、その笑顔を引き出すためには、こちらがその相手へ興味、関心をもつことがその第一歩になるのかもしれない。相手を笑わすことができれば、自然に自分自身も笑いの耐えない毎日を過ごすことができる。相手がいなければ笑うことができないのだから。

 

平成21年10月                            SNAにて

 

 

【閑話休題】

 人間だけが笑うのかと思いがちだが実は動物だって笑う。動物も相手に敵意がないことを伝えるときに笑いに似た表情をするらしい。

 詩人の金子みすずさんは、さらに植物だって笑うと書いている。「ぱっと花火がはじけるように、おおきな花がひらくのよ」と。

 でも、この世の中で、人間こそが一番上手に泣いたり、笑ったりできるものと信じたい。

 

「わらい」 金子みすず作

 それはきれいな薔薇いろで、

 芥子つぶよりか ちひさくて、

 こぼれて土に落ちたとき、

 ぱっと花火がはじけるように、

 おほきな花がひらくのよ。

 

 もしね泪がこぼれるやうに、

 こんな笑ひがこぼれたら、

 どんなに、どんなに、きれいでせう。