仲良しのストリップ仲間Fくんから、ストリップにおける愛の葛藤劇を聞かされた。

Fくんは、特にお気に入りの踊り子さんが2人いる。この2人の応援を中心に劇場を回っており、彼女が出演する劇場が西は福山だろうが東は仙台だろうが必ず追いかける熱心なファンである。

この2人の踊り子さんRさんとMさんは、所属も違うのでお互いFくんがファンであることを知るはずがない。とFくんは信じていた。ところが、いつのころからか2人のポラ・コメントに相手のことが記されるようになったとのこと。例えば、関東の劇場に出演中のRさん目当てで連日通っているFくんに対して、Rさんが「土日も来てね」と言うと、「わるいけど、土日は用事があって来られないんだ」とのFくんの返答。それに対して「土日は福山に行くんでしょ?! だったら平日はずっと来てね」とのRさんのポラ・コメント。Mさんは福山に出演中なので、Fくんは土日に福山に遠征を考えていた。Rさんは完全にMさんのことを意識している。Fくんは別に2人を応援しているのを隠そうとしていたわけではないが完全にばればれ状態。

女の感って鋭いよね。踊り子さんって、自分のことを熱心に応援してくれるファンの方が、他のどの踊り子さんも応援しているかってことをちゃんと把握しているんだね。

 

Fくんの話は続いた。ある週、TSミュージックにRさん出演、新宿ニューアート(SNA)にMさん出演となり、新宿の二劇場をはしごすることになった。ところが2人の出番に合わせて掛け持ちするのも、なかなか大変。TSでRさんのステージを終わって、急いでSNAに行くと、Mさんのポラ・タイム。「どうしてステージを見てくれなかったの」とMさんに睨まれちゃった。

以前、大阪東洋で2人が同時出演したことがあったとのこと。そのときはダブルポラ進行だったので、2人が重なったら大変だと思っていたが、当日はRさんが4番目で、Mさんがラスト6番目だったので重ならず助かった。2人が一緒だったら身を引き裂くことになったよと苦笑い。大阪東洋では、最後に合同写真があるが、そのときも自分の横に誰を置くか悩み、結局RさんとMさんと別の子の3人に囲んでもらい撮ったと言っていた。おそらくこの時点でばればれだったのではないかと聞いていて思った。

以上、この話は酒の肴として話されたので、愛の葛藤劇というより、愛の滑稽劇に近かった。

 

FくんはRさんもMさんも同じくらい愛している。おそらく、RさんもMさんも、自分のことを一生懸命に応援してくれるFくんのことをすごく愛していると思う。その気持ちは別の踊り子さんの存在があったとしても揺るがないんじゃないかな。ストリップというのは、一般の恋愛沙汰と違い、どろどろした愛憎劇まで発展しないところがいいのだと思っている。Fくんがそれに嫌気をさしたら単に応援に行かなければいいわけだから。

 

二股なんか止めて、どちらか一人を応援すべきじゃないのか、という意見もあろう。

一般の恋愛なら当然そうだと思うが、ことストリップはそこにこだわる必要はないと私は思っている。

例えば、ある新人さんがデビューし、一目ぼれして、恋に落ちてしまい、その週は毎日通ったとする。しかし、その新人さんが次にまたステージにのってくれるという保証はない。その悶々とした気持ちを引きずっていたら、会えない辛さで気が狂いそうになる。踊り子さんに恋をするのは構わないが、あくまで擬似恋愛を楽しむくらいの割り切りをもたないと気持ちがズタズタになってしまう。純粋であればあるほどに・・・。

 

小さい頃は、好きな女の子がたくさんいて、みんな同じくらい好きなんだって言えた。子供心にも、それぞれの女の子の良さが分かり、等しく評価できた。

ところが、大人になるにつれ、みんな同じくらい好きというのは許されなくなる。その中の一人だけを選んで、自分の恋人そして伴侶にしなさいと強いられる。

ところが、ストリップというのは子供の心に戻ってもいい世界かもしれない。お金と時間さえあれば何人でも応援していい。お金といってもポラ代+αなので小遣いの範囲で何人でも応援できる。踊り子さんにとっても、なにも自分が一番でなくても常に応援してくれると嬉しいはず。むしろ、そういうさらりとしたゆるい関係の方を好む方も多い。踊り子とファンの間にはそのくらいの適度な距離がちょうどいい。

だからこそ、「みんな同じくらい好きという子供心」でストリップを楽しんだらいいと思っている。

 

平成21年10月                           仙台ロックにて

 

 

【閑話休題】

 最近、金子みすずの詩を読み返している。その話をある若手の踊り子さんにしたら、小学校の教科書に載っていた次の詩が好きで今でも暗誦できると言っていた。娘に聞いたら、小学校六年の国語の教科書上(1996年4月から掲載)にあるとのこと。

「わたしと小鳥とすずと」

 わたしが両手をひろげても、

 お空はちっともとべないが、

 とべる小鳥はわたしのように、

 地面(じべた)をはやくは走れない。

 

 わたしがからだをゆすっても、

 きれいな音はでないけど、

 あの鳴るすずはわたしのように

 たくさんのうたは知らないよ。

 

 すずと、小鳥と、それからわたし、

 みんなちがって、みんないい