今回は「ストリップ疲れ」という話をしてみたい。

 

 朝から晩までストリップを観ていれば、当然のことながら疲れる。2ステージ観るのが限界だと言って帰っていく客がほとんどである。一日中、同じ姿勢でいるわけだから肉体的に疲れるのは当たり前のこと。にもかかわらず、一日中粘れるというのは肉体的疲労以上に満足できるものがあるから、ということになる。

 私の場合、仙台から夜行バスで上京し、また夜行バスで仙台に帰り、翌朝そのまま会社に出掛ける。当日は間違いなく仕事の効率が落ちている。ただ、肉体的疲労は精神的満足感で紛れている。林泉水さんが「バスで帰って、次の日の仕事って、体はつらいけど心は元気!!って感じになったりするよね。学生の頃とか、どうしても行きたいLIVEがあって、新幹線と夜行バス使って、フツーに学校行ったことあるけど充実してたなぁ・・って思ったものなので。」と話してくれたが、まさにそういう気分である。

 

 私にとって、ストリップによる疲れは「ここちよい疲れ」と云える。

 早朝一番(夜行バスで6時に劇場に到着)から並んでラストまでいるとすれば、1日18時間もストリップに拘束されることになる。この間で、一番クライマックスを感じるときはラスト4回目のステージ。大好きな踊り子さんと1日中共に過ごせた満足感、たっぷり応援できた充足感がじわじわ~っと味わえる。踊り子さん側も自分のために1日中応援してもらえた満足感を享受してくれていると思う。特にラストの子は、自分のためだけに深夜遅くまで残って応援してくれる真のファンに対して感謝の気持ちでいっぱいになっていることだろう。そういうファンと踊り子の一体感がラスト・ステージに満ち溢れ感動を呼ぶ!

この感動が味わえれば、疲れなんか吹っ飛んでしまい、まさに「ここちよい疲れ」に変わっている。むしろ、この「ここちよい疲れ」を味わいたくてストリップ通いをしていると言えよう。

 

 仕事にも同じことが云えるかもしれない。

 仕事をすれば確かに疲れる。しかし、仕事には「達成感」という喜びがある。この爽快感を味わいたくて日々頑張っていると云っても過言ではない。

 一番つらいのは無意味な仕事である。会社には無駄な仕事なんて無いから、嫌な仕事でも誰かがやらないといけないのだが、先の見えない仕事とか他人の尻拭いのような仕事は本当に嫌になる。以前、いい加減な経理処理をしていた方が辞め、その後の仕事を引き継いだことがあるが、帳簿が全く合わず、休日返上で毎日毎日過去のミスを追及していく必要があった。二ヶ月ほど続くと、ほとほと疲れ、こんな仕事をしているくらいなら会社を辞めようかと思ったほど。創造的な仕事は頑張れるが、後始末的な仕事は私の性格上ダメ。最後は上司に相談し親会社から大勢応援を頂き処理した経験がある。

 昔、シベリア拘留された人々は朝から晩まで、穴掘りをしてはまた土を戻すという作業を繰り返しさせられたという。こういう意味のない仕事は人間を発狂させる。精神的に耐えられなくなり自殺に追い込まれた人がたくさんいたと云う。肉体的疲労より精神的拷問がいかに人間をダメにするかよく理解できる。

 

 仕事をすればそこに必ずストレスが生ずる。ストレスは肉体的疲労より精神的疲労から生じる。思うように仕事が進まない、上司や同僚との人間関係など、多かれ少なかれストレスは発生する。

 だからといって、他人や家族に八つ当たりするなんてもってのほか。

以前、会社の社宅に、非常にバイタリティ溢れる奥さんがいた。もと体育教師だったらしく、そのバイタリティ度は並みではなかった。彼女はたくさんのパートを掛け持ちしていた。ひとつの仕事をじっくりやった方が肉体的に楽じゃないの、と他の奥さんから言われるも、「私はひとつのパートでたまったストレスを次のパートで晴らすことができるの。だからいくつものパートを掛け持ちできるの」と平然と言い放ったらしい。これならお金も稼げるし、非常に前向きなストレス解消法である。

 人にはそれぞれ色んなストレス解消法がある。自分なりに上手にストレスと向き合わなければならない。ストレスをどう対処していくかがその人の生き方につながる。

 生きるということは、自己エネルギーを燃やすということ。ガソリンを燃焼することで車が走るように。効率よく燃やさないと排気ガスがたくさん出る。ストレスとはまさに排気ガスであり、必ず出るものなのだが、人に迷惑かけないよう最小限に抑える必要がある。

 先の奥さんの例ではないが仕事の中にストレス解消を見出した人は幸せである。楽しんで仕事ができるわけだから誰もかなわない。人に迷惑をかけずに飲食、ギャンブルや風俗を楽しむのもいい。ストリップもそのひとつ。自分の趣味に打ち込むのもいい。それが自己表現につなげられれば最高の喜び。私はこうしてストリップを楽しみながら文章を書いているのが幸せ。これが今の私のストレス解消法となっている。

 

 ストリップを楽しいと思う気持ちさえあれば、そして仕事の後でストリップを観に行けると思えば仕事もつらくなくなる。それは遠足を待つ子供心でもあり、長距離恋愛を楽しむ大人心でもある。

ストリップを明日への活力としたい。

 改めて、ストリップがあること、そしてそこで働く踊り子さんたちに感謝したい。先日、上海に出張したが、中国にはストリップがなく、日本に住んでいる幸せを実感できた次第。ストリップほど楽しいストレス解消はない。少なくとも今の私にはそう断言できる。

 

 

平成21年3月