今回は「ニヒルなストリップ」という話。

 

 H21年6月26日(金)、マイケル・ジャクソンの急死のニュースが世界を駆け巡った。TV報道を見るたびに、改めて凄いスーパースターだったと再認識する。

 ストリップ界にも有名なマイケルがいる。同じ名前で呼ぶことがジャクソンさんに失礼な気がする。まあ、ストリップの方は誰かが勝手に名付けたわけで本人に非はないのだが・・。

 急死の翌日(土)、いつものように早朝のTSに行ったらスト仲間たちが面白がって「マイケルは死んだ」と話していた。当日、肝心のマイケル君はSNAとTSをはしごしていて、途中からTSにひょっこり入って来た。従業員が面白がって「マイケルは死んだ」とマイクで囃し立てていた。しかし、そういうことに全く動揺しないのがさすがマイケル君。

 

 ストリップ界のマイケルについては前にも書いたことがある。

 彼はとくにエロポラで有名。とくに新人大好き。しかしエロポラを嫌がるような新人さんは相手にしない。むしろ要領が分からないため言われるままにエロポラを撮らせてくれる新人さんを、局部をオープンさせてはエロポラを撮りまくる。椅子を使って撮ることが多く、別名を「椅子くん」とも呼ばれている。さらに、局部オープン撮影時にもっともっと左右に大きく開くよう踊り子さんに要請するので、両手を水かきするような格好から「平泳ぎ」ともあだ名されている。局部オープンを強要すると特に新人の踊り子さんの中には嫌がる方が多いので、劇場従業員からマイケル君は要注意人物と目されている。「まだ新人ですから、あまり無理なポーズはさせないで下さい」といつも従業員に言われている。でも彼はそんな言葉は気にしない。だから、先ほどのTS従業員のように囃し立てたりされるわけだ。

彼はいかにキレイにオープン・ポラを撮るかに異常なほどこだわる。カメラにもこだわり、一般的なインスタックス200を嫌がり500タイプを好む。500タイプは機種として高級感・安定感がある。ベテランの踊り子さんはファンから贈られて500のマイカメラを持っている方が多い。そこで、マイケル君はときに新人さんにお姐さん達から500を借りてこさせて撮るほどの徹底ぶり。

 彼は有名人であるから、ほとんどの踊り子さんは知っている。適当にあしらわれることもあるため、彼の狙いは新人さんだけ。新人さんは彼の評判を知らないから真摯に対応してくれるからだろう。

 

 ふつうポラをたくさん撮ってくれる方は踊り子さんにとって有り難い存在なので、エロポラであっても、仲良くしてくれる踊り子さんが増えるもの。ところが、彼はまったく踊り子さんとのコミュニケーションはとらずに黙々とエロポラを撮るのみ。会話が苦手なのかもしれないが、おそらく彼はオープン・ポラだけに固執するマニアックなファンなのだろう。写真だけにこだわるなら、本来なら個撮でデジカメ撮影した方がはるかに綺麗に鮮明に撮れる。個撮はしないところを見ると、一対一の撮影は苦手なのかもしれない。とにかく、ポラ撮影だけに興味を示し踊り子さんと仲良くなろうなんて考えない。

 その点、私は踊り子さんと仲良くなることが目的で、ポラは踊り子さんとのコミュニケーションを図るためにお手紙を渡す手段でしかない。だからエロポラは撮らない。

 私はお気に入りの踊り子さんのステージは精一杯手拍子するし真剣に見ている。そして時にステージ感想を渡す。その点、マイケルはうつろな眼差しで見ていて拍手もしない。時にベテランの踊り子さんに拍手を催促されたりしている。

 このように私と正反対のように見えるが、似ているところもある。かぶりつきで見たいために早朝から並ぶ。こだわりの席がカブルこともあり、まさに私の天敵。

エロポラが好きで、かぶりつきで見たいところから考えると、彼は本当にエロに徹しているんだなと思う。女好きという点では私と共通する。

ただ、彼は同じ踊り子さんを撮り続けない。仲良くなれるほど沢山撮るのに、ある程度撮ると興味を失うのか、次にまた新しい踊り子さんを求める。彼ほどの新人好きはおらず、デビューする全ての新人をチェックしている。しかし全ての新人さんを均一に相手するわけではない。好みははっきりしていて、自分の好みでないと全く興味を持たない。

またパンプレに異常な執念を燃やす。TSのパンプレ時は最前列に座り、お気に入りの踊り子さん(特に新人さん)のパンティを必ずGETする。あれだけ背が高く手足の長い彼が覆い被さるようにするので殆どの新人は気押されてパンティを手渡してしまう。H20前半だったかなマイケルはTSで、ある事件を起こした。ある新人さんが投げたパンティを最前列にいたマイケルともうひとりの客が摑んでお互い離さない。お互い意地でも手を離さないという状態が続いたので、あきれた葉山瑠菜さんが「あんたたち、いいかげんにしなさいよ!」と割って入った。その瞬間、もうひとりの客が手を離しマイケルがパンティを手中にしたのだが、マイケルの手かなんかが瑠菜さんの手をかすって傷つけた。激怒した瑠菜さんがマイケルからパンティを奪い取り、そして従業員が間に割って入ってマイケルに注意した。それ以降、その公演期間中は、マイケルは瑠菜さんが出演している間はフィナーレであろうが入場禁止になった。それ以来、マイケルにとって瑠菜さんは天敵になり、彼女が出演している劇場には行かなくなった。

その事件を機に彼を劇場出入り禁止にしたらとの話があったようだが、なにせ毎日劇場通いしてポラ代を落としてくれる、ある意味「お得意さま」なわけで、劇場関係者としては彼を出入り禁止にするわけにはいかないようだ。

ほんと彼のことを語るに話題に事欠かない。ストリップ仲間が集まれば、必ずマイケルが今週はどこの劇場の新人さんを狙いに行っていたなどという話になる。

 

以上、どちらかというと批判的な口調でマイケルのことを書いてきたが、ここからトーンを変えてみる。

ある時、ステージを見ている彼を見ていて、マイケルはニヒルなストリップ愛好家ではないかと思えてきた。ステージを見るときの目は魚の死んだような目をしているのに、エロポラを撮るときの目は異様な光を輝かせている。不思議な存在だ。

気に入った踊り子さんだけをかぶりつきで見て、興味のない踊り子さんのときは席を外している。エロポラが撮れればそれだけでいい。エロだけを満足できれば、煩わしい人間関係なんていらない。

ストリップなんだからエロに徹しても悪いわけではない。ポラを撮らない客に比べれば、エロポラだろうが撮る客の方がありがたい。彼のようなストリップの楽しみが否定されるべくもない。

 考えてみれば、踊り子さんにもニヒルな方がいる。煩わしい人間関係はご勘弁。私はヌードを提供しているのだから勝手に眺めてくれればいい。ポラも好きなように撮ればいい。そのかわり、ポラ・サインなんて面倒なことはお断り。どうしてもと言うなら、名前と日付しか書かない。それでどうかしら。。。

そういう人のことを私は「クール・ビューティ」と呼んでいる。つまり、美しいが氷のように冷たい感じがする。時に事務的な感じも受ける。あえて名前は書かないが、そういう方はけっこういる。今はどちらかと言うと、癒しを求めている客が多いので、そういうクール・ビューティは少数派ではあるが。

マイケル君はそういうクール・ビューティな方を好む。ならば、ニヒル同士でストリップを楽しんだらいい。

 一方、私はどんなにキレイな方でも心を感じない方はファンにはなれない。私がマイケル君を困るのは、せっかく性格のいい子がデビューしたのにエロポラを強要して辞めさせることかな。そうでなかったら、ニヒルにストリップを楽しむこともありかなと思っている。

 

 

平成21年6月