踊り子さん自身は、ストリッパーになったということを「夢が叶った」と捉えているのだろうか?
小さい頃から人前に立ち注目されるのが好きだった。大好きな踊りを披露し拍手を浴びたかった。自慢の美貌でたくさんの男性を魅了してみたかった。・・・などなど、こういう願望があった方にとってはストリッパーという職業は夢の実現ということになろう。
つい、こんなことを考えたのは、ある人の趣味を垣間見たことによる。
その方は私のストリップ仲間なのだが、劇場でたまたま横に座っていたら、小さなプラスチック製の車の模型を大事そうに持っていた。あまりにもちゃちい感じのおもちゃを見て、「なんでそんなもの持っているの?」と尋ねた。すると彼からの回答が興味をそそられた。
彼は小さい頃にグリコのおまけが欲しくてたまらなかったが、子供だからお金がなくて買えなかった。今ようやく小金持ちになって買いたいものが買えるようになった。だから、昔欲しかった車や怪獣などのプラモをたくさん集めているんだ。自分の他にも、こういうミニ蒐集家はたくさんいるんだよ、と。
そうか、彼は子供の頃に思うにまかせなかった気持ちを後生大事に抱え、その「ささやかな夢」を今大人になって実現しているのか・・・とても素敵なことだと思った。
子供の頃の体験というのは、大人よりもはるかに繊細な子供心に、とてもセンセーションナルな記憶として鮮明に残る。それは懐かしいセピア色でもあり、センチメンタルな調べに浄化している。そういう感情を大人になっても大切に抱えている人は魅力的だと思う。
また、そういう感情は、大人になって時に無意識に表出してくることがある。
私がストリップ通いする背景にそんな感情があるような気がする。
小さい頃、憧れの娘がいた。子供心にも好きになれば、いつも見ていたいという気持ちが募る。でも、なかなか近づけないし、仲良くなれなかった。女性のヌードにも興味があったが、小さい頃は雑誌の写真ですら容易に見れない。そうした子供の頃にできなかった悶々とした気持ちが、ある意味、ストリップではスキッと解消できる。お金だって小遣いの範囲内で可能。まさにストリップは「小金持ちである私のささやかな夢の実現」なのかなと思う。
どんな形でもいいから、ささやかな夢を実現できた人は幸せだ。