あるベテランの踊り子さんが「お客さんが新人ちゃんのポラを買いたがる気持ちはよく分かるの。だからこそ、これだけ長い私のポラを買ってくれるみなさんには本当に感謝×2なんです。お客さんに支えられてると実感してます」と言っていた。
たしかに新人さんのポラが売れるというのはヌード目的が大きいが、何度もポラを買っている踊り子さんに対してはもうヌード目的というのはなくなり、純粋にその踊り子さんが好きだからという感情に変わっていく。ベテランの踊り子さんがいつもポラを買ってくれるお客に対して感謝する気持ちというのはよく分かるし、またそういう気持ちでお客に接することはとても大事なことだと思う。
以前話したかもしれないが、「ステージあってのお客ではなく、お客あってのステージ」だと思う。どんなにいいステージをしたって、お客がだれも観なかったらステージは成り立たないわけだから。ステージで食べているという自覚があれば当然そうなる。
さて、踊り子さんはそうしたお客に対する感謝を何でお返しするかというと、やはりステージで返すということになる。いいステージをして、お客に元気を与える、これがステージの目的なのである。きつい言い方をすると、どんなにいいステージをしていてもお客が満足しなければ、それは自己満足に過ぎず、いいステージとはいえない。
「ステージとは、お客の人生への応援歌である」と思うことがある。
いつも健康でステージを観に来てほしい、当たり前だが病気になったりすれば観に来れなくなる。仕事などで疲れていたりストレスが溜まっていたら、劇場で発散して元気になってほしい。劇場に遊びに来るためにも、仕事はしっかり頑張ってほしい。などなど、これらは生きることへの応援なのだ。
私はご存知のように踊り子さんにお手紙を書いている。ある新人の踊り子さんから、これほどストリップに対して熱い気持ちをもっている方を初めてみました、と言われたことがあるが、まさにストリップに対する熱い気持ちというか、こんなことを考えたんだよとついつい話してみたくなる。踊り子さんによっては、内容が濃過ぎるのでもう少しサラッと書いたらとアドバイスしてくれる方もいる(笑)が、私が文章によって自己表現するという趣味に対して頑張って書いてねと励ましてくれる方も多い。その言葉にすごく元気になる。
たとえばリボンさんも同じじゃないのかな。私なんかから見るとステージも観ないであんな面倒なリボン巻きをせっせとして好きな踊り子さんに奉仕しているわけで、その踊り子さんから感謝されなかったら立つ瀬がない。もちろん本人も自分の技能を発揮できて楽しんでいるものと思うが、やはり踊り子さんからの「ありがとう」の一言が元気の素だろう。
つまるところ、ストリップというのは人間対人間の遊び、つまり人間に興味がないと成り立たない遊びなのだと思う。
ストリップというのは女性のヌードを見たくて劇場に来るのだろうが、最後にはその踊り子さんに興味がなくなったら足を運ばなくなってしまう。
たとえば歌手に興味がなくなったら、その人の歌は聞かなくなる。本も同じで、作家に興味がなくなったらその人の書いた本を読みたいとも思わなくなる。時間の無駄とまで思ってしまう。
本当はそうじゃないのかもしれない。食わず嫌いしたため、もしかしたら素敵なことを得たり吸収できたのに逃してしまったのかもしれない。
しかし、人間には好き嫌いという感情がある。こと人間がやることは、人間に興味がないとなかなか受け入れないものである。
吸い込まれるような魅力的なステージがあるが、そうしたとき我々ファンはその踊り子さんに人間としてすごい興味をもって望んでいる。
踊り子さんが、そういうお客に対して関心をもち、そのお客の人生に応援できるようになって初めて、お客は長くファンとして応援し続けるのだと思う。