今回は、最近のダブル・ポラについて話してみます。
劇場によってポラロイドを重視する劇場とそうでない劇場がある。
TSミュージックはポラ重視が明確。11時から開演するこの劇場は、踊り子の出演数も多く約8人くらい、少なくても7人は出演し、1回目は各人がきっちり持ち時間のステージをこなすも大体3時を過ぎるので、次の2回目はダブルとかトリプルを行って必ず6時前に終わらせる。その際、ポラを省略することはない。ダブルとかトリプルだからこそ、踊り子の組み合わせを楽しんでポラ撮影するお客もいる。
特徴的なのは、集合ポラ。フィナーレ恒例であり、これを定常的に行っているのはTS系だけ。1枚1000円だが毎回売れている。
集合ポラが終わればすぐに個人のポラ撮影になるが、その際、ステージではポラを行わない踊り子さんがけっこう人気。TSの千堂あやかさん、芹沢直美さん、もう引退したが大信田ルイさん等TSの看板娘は毎回よく売れている。嬉しいのは、普段ポラをやらない他劇場の踊り子さんまでサイン・ポラをやってくれること。東洋の森田久恵さん等。
他劇場で1000円の踊り子さんがここTSでは500円になることもあり、ポラ好きのファンがここTSにはよく集まってくる。接写レンズ0Kも効いてるか。ともあれポラ重視がここTSのひとつの特徴といえる。
同じようにポラ重視を前面に打ち出しているのは、渋谷道頓堀劇場。ここは以前はストリップ・ミュージカル中心でポラ撮影がなかったのだから、この路線変更は画期的。ここも踊り子の数は多く常時7人、多いときは8人の香盤。最初からダブル、トリプルをやってるのだが、土日はポラが押し殆ど3回公演になってしまうほど。ここも押したからといってポラの省略はしないし、時間制限もせず、撮りたいだけ撮らせるという方針。うまいやり方と思うのはポラ回数券の販売。11枚綴りで5000円なので1枚分得するとあって、ポラ好きの人は必ず買っている。回数券になるとお金から単なる紙になるため、お客が財布の紐を意識させなくなるという絶大な効果があり、ポラは馬鹿売れ状態。しかも、全踊り子さんが一律500円のため、他の劇場で1000円の踊り子さんのポラは特によく売れる。ここのポラ戦略は大当たりしていると感心する。
私がよく行くDX歌舞伎とか若松劇場も、ポラ重視の劇場であることは間違いないが、ひとつクレームを言わせてもらうと、ダブル、トリプルのポラのときに撮影時間制限されるのが困りもの。たとえばポラ撮影時間10分間となる。こうなると1人しか撮れなくなってしまう。お目当ての子がダブってしまい、がっかりすることがままある。
一方、上記の劇場に比べて、ポラを重視していないのがロック系列の劇場。
新宿ニューアートに会社帰りの遅い時間に行くと、たまにポラが省略されて撮れなかったことがたびたびあった。四回目のステージは全員ソロとか、または3回目と4回目で奇数・偶数別にポラを撮らせるなど。こういうときはポラ・ファンはがっかりしてしまう。遠くから観に来た人なんかもショックが大きいだろう。
ところが最近、ロック系の劇場もずいぶんポラ重視に路線変更してきている。時間調整のため、浜劇でダブル・ポラをやりだしたら、次は川崎ロックでも実施。先日9月の新宿ニューアートでは初めてトリプル・ポラを実施していた。でもその時の4回目ステージは相変わらず全員ソロになっていたが・・。
ステージの進行上、一番時間が狂うのはもちろんポラ・タイム。時間が押した場合にとる手段としては、ロックのようにポラをカットする方法、ポラをカットしたくない場合はステージのショート・バージョンへの切り替え、オープン・カットなどがある。渋谷道頓堀劇場ではよくオープン・カットをやるが、私としてはこれは凄く残念。やはり一番いいのはダブル・ポラ。ポラの遅れはポラで取り返すのが一番。またポラを撮らないお客にとってポラ・タイムがだらだら長すぎるのは疲れる。ポラ・タイムを効率的に進める上で今やダブル・トリプル・ポラは不可欠というのが常識。
にもかかわらず、ロック系がなかなかダブル・ポラに踏み切れなかったのには事情がある。これはあるストリップ・ファンに聞いたのだが、ロック系の踊り子さんのプライドの問題という。なるほど、ベテランの踊り子さんと若手の踊り子さんが一緒にダブル・ポラをやって、若手ばかりが売れてベテランが売れなかったら格好がつかない。売れずに先に引き上げるときに惨めな思いをさせてしまうのを回避するという目的か。これも理解できる。ベテランになってポラの売れ行きが悪くなったら1000円を500円にしたらいいのにと思うことがあるが、踊り子さんのプライドとして500円に値下げさせないという話を聞いたこともある。しかし、昔からファンでもない限り、あまりプライドの高いベテランの踊り子さんの1000円ポラはなかなか売れなくなっているのも事実。難しいところ。
にもかかわらず、ロック系もダブル・ポラ導入というポラ重視に踏み切ったという方針変更も、やはりポラ収入源の大きさからなんだろうな。東の横綱劇場とはいえ、今やポラ収入の占める割合は経営上無視できなくなってきているんだと思う。
西の横綱劇場である大阪東洋劇場もポラに対する対応が変わってきたと聞く。以前は、いくらお客が並んでいても数人でポラを打ち切ったり、ポラ・サインもしない等、ポラはどうでもいい存在だったようだ。それが今は、いちおう並んでいるお客は全員、かつサインも1枚まで認めてくれたようだ。いずれにせよ、大阪東洋劇場はラウンジでのピンク・サービスなどもあって、収入源全体に占めるポラの割合は小さくポラ軽視の考え方は変わっていないようだが。
いずれにせよ、今や、踊り子さんにとってもポラの売れ具合で劇場に呼んでもらえるかどうかが決まるとか、ましてやポラ撮影をしない踊り子さんは呼んでもらえなくなり、どんどん少なくなってきている。昔はソロしかしない踊り子さんも沢山いたのに。また私がストリップに興味を持ちはじめた20年少し前は1枚200円だったと記憶する。それと比較すると、今の500円、1000円のポラというのは劇場側の収益の大きさが推し量れる。入場料よりもポラ収入の方が大きくなってきている。
総じて、ストリップ業界にとってポラ重視の方向は避けようのない現実と云えよう。