今回は「三年ぶりの仙台ロック」(その4)として「雪の思い出~暖かい雪~」を観劇レポートします。このシリーズも四回目(仙台ロック再訪五回目)を重ねる。

 

 

H25年2月23日(土)に仙台ロックに遠征した。再訪してから五回目の公演になる。

 深夜バスが早朝六時前に仙台駅東口に到着。暖かいバス内から出ると、外気は肌を突き刺す冷たさ。目の前に銀世界が広がっていた。まさに今回の遠征を暗示する象徴的な場面であった。

最近の関東も晴天にもかかわらず風がやたらと冷たく寒い日が続いていたが、雪が降ることは殆どない。やはり東北の寒さは違うなとしみじみ感じる。三年程前まで仙台に住んでいて、毎週のように東京まで遠征して、こうやって深夜バスで仙台に戻り、そのまま仕事場に向かったのを懐かしく思い出す。あの当時は親しくなったタクシーの運転手がいて、前の晩に連絡して、いつも深夜バスが到着する時間帯に待機してくれていた。だから、到着と同時に深夜バスの後ろに来てタクシーに乗れた。手荷物までトランクに運んでくれるほどの丁寧なサービスに、単身赴任の身としては優しさや親切心が心に沁みたもの。それに対し今回は、重い荷物カバンを持って、滑りそうな雪道に気を付けながら、東口ロータリーをぐるりとタクシー乗り場に移動しなければならなかった。

 改めて、踊り子さんの魅力に引っ張られて、はるばる仙台まで足を伸ばしてきたなぁと思う。寒い寒気に震えながらも、心の中は大好きな踊り子さんに会える喜びでぽかぽかしていた。

 すぐにタクシーで、いつものように、仙台ロックに近い晩翠通りのドンキーの上にあるインターネット喫茶BOSSに直行。九時間コースの1800円+シャワー代600円を支払う。そして前回の仙台ロック観劇レポートを仕上げる。

日が高くなって開演するころには路上の雪も解け始め、気にするほど歩きにくくはなかった。

 

 今週のメンバーを紹介する。①小宮山せりな、②板野舞、③瀬能優、④木村彩、⑤鈴木ミント(全員ロック)〔敬称略〕。

 順アトランダムで踊り子さんの話をする。

 まずは、木村彩さん。

 つい二週前の二月頭の若松で四日ほど通い、次は仙台ロックで会おうね!と約束していた。今回のメンバーで私が仙台にいたときの事を知っているのは彩さんと瀬能優さんだけ。優さんから「なんか、仙台に太郎さんいるとホッとします♪」、彩さんも「仙台のかぶりに太郎さんが座ってるの懐かしいね(笑)。でも当時より仙台は人が入るようになりましたよね~」と言ってくれ、あの頃がすごく懐かしく蘇る。

 女教師とお掃除の二個出し。「仙台にはコミカルなのが私はいい気がしている」

 二日目の二回目に、知っている客Oさんがやってきた。挨拶したら彩さんとのツーショットポラを撮ってほしいと頼まれ八枚も撮る。Oさん曰く「今、彩さんに夢中なんだ。広島で会って、大和に行き、この仙台で三回目。」この雪の中に、わざわざ仙台まで遠征してきたらしい。彩さんの人気も健在だね。

 

 次は、板野舞さん。

 昨年八月頭のDX歌舞伎ぶり。舞さんとは昨年五月頭に広島で初対面してから今回で15日目になる。かわいいお顔が曇っているなと思ったら、新人さんによくある悩みを抱えていた。踊り子を続けるかどうか。手紙で相談にのり何度も励ました。彼女の香盤を見つけるたびに、踊り子を続けていることに安堵していた。

 今回は二個出し。「出し物は①ガールズ(アイドル) ②成人式(着物)」

 以前の新人ブルーが完全に払拭され、晴れ晴れとした表情をしていた。「少しレベルアップの出し物をやりましたが~どうですかね!?(笑)」 少しは成長したでしょうか?との質問に、「ステージというのは本当にそのときの踊り子さんの感情がよく表れるもの。悩みを払拭したお蔭で、舞さんのかわいさがステージで爆発しているよ。素敵なステージに感動したよ。」と答えた。舞さんからのポラ・コメントに「私はお客様の笑顔が好きなの~(笑) 笑ってくれると凄く癒されるので~そして~まいまいも何やっても自信をもってできるのです!」 これから踊り子として飛躍していく舞さんが楽しみである。

 

 今回の一番のお目当ては、小宮山せりなさん。

 せりなさんとは今回で五日目と、会っている日数は少ない。ところが会うたびに一日一日と強く惹かれていった。その四日間の軌跡をレポート(いや、ラブレターかな?!)にして今回渡した。凄く喜んでくれた。また別途レポートさせてもらうね。

  新しい恋人ができた気分♡ 毎回デート感覚でステージが楽しめた。次は関東のDX歌舞伎か若松で会えたらいいなぁ。

 

 初日土曜日は、遠征客も多く、けっこうな客入りだった。ポラも売れ、押し気味で進行。

終わったのが深夜12時半。

 その夜は、仙台ロックに近いカプセル・ホテル「リーブス」を予約していた。久しぶりに味よしラーメンのみそチャーシューで満腹になり、深夜一時に入った。ポラの整理とストリップ日記を付けていたら深夜三時近くなる。

 翌朝八時前に起床して、朝風呂でさっぱりして、ホテルを出た瞬間に驚いた。大雪で一面銀世界。早朝にかなり雪が降ったようだ。仙台だからこれもありかとは思う。滑らないように気を付けながら歩いて、近くのインターネット喫茶BOSSに行く。

 ストリップ日記をせっせと書いて、お昼12時過ぎに喫茶を出た。驚くほど雪が激しく降っている。傘もなく近くの仙台ロックに急ぐ。川田さんがすぐ来て、「この雪だと今日は公演できないかもしれませんよ」と心配気な顔で話す。雪で在来線が走らなかったら中止になる。ただ今日はビンゴ大会の予定で景品も買ってあるので困ったなぁ~。いずれにせよ、社長に判断を仰ぐと言う。「中で待ってて下さい」いつもなら開場するまで外で待つのだが雪が降っているので中に入れてくれた。昨日から遠征していた客が集まってきて、みんな心配そうな顔。私は、昨日観劇できたのだからまぁいいや、万一中止になったら新幹線で東京に戻ろうと腹をくくった。

 開演前には、雪は幾分小降りになってきた。在来線も間引き運転ながら走っているらしい。雪に強い新幹線は多少の遅れもあるようだがしっかり動いていた。

 結局その日は、時間通り開演した。

 二日目に大好きな踊り子さんの顔を見れただけで私は十分満足。雪は相変わらず降り続いた。深夜バスが予定通り走るかどうか不安になる。二回目のビンゴ大会が終わった段階で、バスの運行状況を確認し、ダメなら新幹線で帰ろうとも考えた。明日の仕事を休むわけにはいかないし。

 ステージは普段通り始まった。日曜日ではあるが雪のせいで客は十人位と少なかった。ずっと劇場内にいる踊り子さんは外の状況を全く分かっていなかった。「寒いわね。外は雪が降っているの?」というので「開演するかどうか心配されるほどに降っているんだよ」と教える。

 

 次は、トリの鈴木ミントさんの話をする。

 ミントさんのデビュー。ちょうど私の単身赴任が終わる一ヵ月前で、そのデビュー週に、私は仙台から新宿ニューアートに遠征し一目で魅了された。これからのロックはミントさんと成島りゅうさんの二人が新しいスターとして引っ張っていくだろうと感じていたほど。りゅうさんは既に引退してしまったが、ミントさんは期待通り頑張ってくれている。今回の仙台ロックにもミントさんのファンがたくさん遠征していた。

 今回、新しい作品を二個出し。ひとつは、この寒い冬にぴったりな白いコートを着る。まるでミントさんが白い雪の妖精に見える。ミントさんこそ、ストリップの妖精だと改めて思えた。

 今回、この仙台ロック公演で、最近創ったMY童話を踊り子さん全員に披露した。それぞれの踊り子さんに合う作品を選んで渡した。ミントさんからポラ時に「(他の踊り子さんに渡した)『ネバーランドの美人コンテスト』を私も読みたい~♪」と言われる。楽屋で私の童話が話題になっているようだった。私は凄く喜んで、それを次の回に渡した。そうしたら「この作品、とても面白いですねっ♪ 太郎さんはただ思うまま書いているのかもしれませんが、とても教養があり知識も深いんだなぁと感心してしまいました!」この感想は私を狂喜させた。

 ミントさんの二つ目の出し物は、リボンを使った中国風の踊り。二つのお団子頭がとてもかわいく似合っていた。このイメージから私はMY童話『天女降臨』をプレゼント。これに対する感想も私を喜ばした。「天女のお話ステキですね。太郎さんって、とってもロマンチックなんですね。素敵です♪」

 私は自分の文章でもってストリップを“感動とメルヘンの世界”にしたいと常に願っている。そして今回、MY童話で踊り子さんをメルヘンの世界へ誘うことができ、最高の気分を味わえた。

 

 

 最後に、瀬能優さん。 

優さんは大ベテランだが、ステージは若々しく、かっこよく踊る。ベリーダンス系の腰の振りが艶めかしい。今回の演目は何?と聞いたら「演目のタイトルは特になく・・・」との回答(笑)。

 優さんは私の一番の古女房。ストリップ界で一番長く応援して、仲良くさせてもらっている。若松で一年三ヵ月前に一度しか会っていなかったので、この再会をすごく楽しみにしていた。「会えました!! 変わらずお元気で安心しました。若松でお会いしてから会わなかったので心配してました。」「仙台復活おめでとうございます!! 本当に良かったです。ちょっと安心しました。これでまたお会いできますね。」優さんが喜んでくれて本当に嬉しかった。

優さんも私の童話の愛読者。「童話いつもゆっくり何回も読みたいので終わってからホテルに帰ってゆっくり読みますね♪ いつも楽しみなので久しぶりの太郎ワールド、今夜楽しみ!」

 話したいことが山のようにある。たくさんの手紙を同封させてもらった。丁寧なお返事がすごく胸に染みた。優さんが今のストリップ界で最も私のことをよく理解してくれている、まさに古女房的な大切な存在。引退なんかさせないぞー!(笑)

「太郎さんの笑顔は優しい感じで好きですよ~ なんか、仙台に太郎さんいるとホッとします♪」「みんなの分のお手紙もあるのにいっぱい書いてくれて楽しいです。」

「太郎さんはみんなのアイドル的存在なので、これからも太郎ワールドで素敵な笑顔を見せにいっぱい劇場に来てね♪」嬉しい言葉である。

 

 二日目のステージが進むにつれ、私は途中で帰る気持ちは消えていた。それくらい、ロックの踊り子さんと過ごす時間は楽しかった。

 劇場内はすごく寒かった。外は雪が降っているからね。もちろん場内ではエアコンが力いっぱい暖かい風を出す。ところがエアコンの能力が高くないためか、暖め過ぎると逆にエアコンが自分自身を冷やそうと冷風を出す有様。だから、場内がなかなか暖まらない。

 それに反して、私の心はぽかぽか暖まる。大好きなロックの踊り子さんの素晴らしいステージ、素敵なヌード、そして手紙を通じての心の触れ合い。それらが暖風になり、私を包み込む。まるで劇場全体がストーブに化す。こんな居心地のいい場所を離れたくないよぉー。絶対に、最後までいるぞー!そんな気分になる。

雪が降りやまない中、三回公演にすることが決まる。夜行バスで帰っても四回目の最初位で帰らなければならないので、三回も四回もあまり変わらないか。

二回目終了後に予定通りビンゴ大会をやり、その後で遠征組はほとんど帰った。十人以上の客が残ってはいたが殆ど地元の人ばかり。

 私は電話でJR高速バスに運行状況を聞き、間違いなく今夜出発することを確認し、安心して三回公演まで観ていくことにした。

10時頃に終演。トリの鈴木ミントさんがステージから笑顔で別れ惜しそうに手を振ってくれる。

タクシーで仙台駅東口へ。外はしんしんと雪が降っていた。タクシーはバス停近くまで行けず少し離れたところに止まる。私は積もっている雪を踏みしめるようにバス停まで歩く。バス休憩所の中には深夜バスを待つ客がたくさん待っていた。ひどい雪の中なのに皆よく夜行バスが走ると信じて待っていたなぁ。しかも夜行バスは満席。北の交通機関は雪に強いね。予定通りドリーム正宗は23時50分に発車した。

 

暖かい雪・・・雪は冷たいけど、私の心の中はほんわかとした「雪の思い出」を積み上げられて暖まっていた。本当に楽しかったなぁ~♪ 私はバスの中で、今回の仙台ロック公演の余韻を味わっていた。

ロックの踊り子さん、素敵な思い出をありがとうね!

 

 

平成25年2月                           仙台ロックにて  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『北のストーブ劇場 ~劇場の妖精たちの集い~』 

 

 

 寒い寒い冬の北国。そこに一軒の劇場がありました。

 雪がしんしんと降りしきる中、たくさんの妖精が集まってきました。

 

 光の妖精が言いました。「私が劇場を明るくします。劇場内のスポットライトも、外の看板もね。そして、お客さんの心も明るくするわね。」

 

 音の妖精が言いました。「私が心地よい音楽を提供します。お客さんを時に心躍らせ、時にしっとりと感傷に浸らせてあげます。」

 

 火の妖精が言いました。「私が寒い劇場内を暖かくさせますね。そして、お客さんの心にも火を点けてポカポカにしてあげます。」

 

 水の妖精も現れました。「寒い冬には水は合わないかしら。でも、お客さんの心をしっとり濡れさすことはできるわよ。」

 

 最後に、風の妖精が現れました。「私は何をしようかしら。この時期は風が吹いたら寒いので迷惑よね。う~ん、そうそう、私は淋しいお客さんの心のすきま風に入っていって、元気にさせてあげるわね。」

 

 雪の妖精は、迷惑をかけないように、お外で待機。みんなが幸せな笑顔になれるように、劇場内の様子を眺めていました。

 

北の劇場は、たくさんの妖精の協力を得て、お客さんの心を暖めるストーブ劇場になりました。

 

                                    おしまい