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今回は、「三年ぶりの仙台ロック」という話をします。
H24年12月15日(土)に三年ぶりに仙台ロックを訪れた。
先週は雪が降っていて寒かったようだが、この週は運よく小春日和のようにポカポカ暖かかった。
午後7時半過ぎに劇場に到着したら、受付に懐かしい従業員(ブッチャー)の顔。「お久しぶりです」と笑顔で迎えてくれた。社長から私の話を聞いていたようだ。また一段と太った感じ。社長もいたので手土産を渡してご挨拶した。電話の後で私のことを思い出したようで、笑顔で迎えてくれた。
場内に入る。さすがに土曜日で客入りが多く。私は入口近くの末席に座る。
懐かしい藤咲茉莉花さんが踊っていた。三回目三番手。ずいぶん押しているのかなぁと思ったら、今の仙台ロックは以前と比べて開始が1時から2時と一時間遅くなっているとのこと。当然、終わりも23時半から24時半と午前様になる。昨年の東日本大震災を機に、仙台には多くの復興労働者が集まり、仙台ロックも賑わったため、復興労働者が仕事帰りに寄りやすいように、そういう時間に変更したらしい。ところが、そういう時間帯だとラストまで観れないために常連さんが離れていっているようだ。復興景気も一段落して、時間帯を戻そうとしたら浅草ロックの本部からころころ時間帯を変えるな!と反対されたらしい。実情を一番よく分かっている現場の声を聞こうとしなくなると経営はダメになるね。
我々のような遠征組も、この時間帯では、深夜バスで帰るとしても、ラスト4回目は観れない。以前はギリギリ観てから帰れたのに。そう言えば、京都DX東寺で会った成島りゅうさんファンの方に声を掛けられた。「お久しぶりですね。今はトリのaiさんの追っかけをやっているんです。」彼も新幹線で東京に帰るからと3回目ラストのaiさんのステージを観れずに帰っていった。すごく残念そうだった。
平日は午後4時半からの3回公演になっているし、この3年間で色々システムが変わったようだ。しかし基本は相変わらずの仙台ロック、私は懐かしさに浸った。
さて今週のメンバーは次の通り。①小宮山せりな、②星野あずさ、③藤咲茉莉花、④雪見ほのか、⑤ai(全員ロック)〔敬称略〕。
新人好きの私としては今回の①②⑤は楽しみだったし、仲良しのほのかさんと茉莉花さんが揃った今回の香盤は3年ぶりに相応しい最高のメンバーだった。
最初に新人三人の話をして、最後にベテラン二人の話をさせて頂く。
トップの小宮山せりなさんとは、大阪東洋8月結の公演初日に1ステージだけ拝見していた。そのときに手紙を渡したが、ポラ・サインを頼めなかったので、手紙の反応を確かめることは出来なかった。
今回4か月ぶりの再会になるが、私のことは忘れていると思っていた。ところがところが、1日目ラストステージでポラを撮ろうとした瞬間、私の顔を見て驚いたように「東洋でお会いましたよね。あの童話の方ですよね。」と話し出した。逆に私の方が驚いた。手紙を見て思い出してくれる方はよくいるが顔まで憶えているとは。「東洋の時に一番印象に残ったお客さんが太郎さんだったんです。」 私の子供エッセイの童話『蒼いうさぎ』がせりなさんの心に響いてくれたようだ。今回持参した童話も喜んでくれた。そして私の感受性を絶賛してくれた。私はまた相性の合う踊り子さんを見つけ有頂天になった。私の童話をもっとたくさん読みたいと言ってくれるせりなさんがとても愛おしかった。私は、せりなさんと仲良くなりたいと心から思った。
今回の仙台ロック公演では二個出し。そのひとつはビートルズ・ナンバーもの。私もビートルズが大好きなので観ているとノリノリ♪ ダンス・センスもよく、楽しいステージをしてくれる。ヌードもとても奇麗でうっとり♡ ポラ対応もよく好感度が増す。
せりなさんは仙台出身。以前、私が仙台に単身赴任中、デビューしたばかりの仙台出身の踊り子さんが仙台ロックにのったことがあった。親は承認していたのだが、心無い同級生が彼女のことを誹謗中傷した。私は手紙で彼女の相談にのったことを思い出した。気にしてはいけない!と話したが、結局彼女はすぐに踊り子を辞めてしまった。そのことを思い出しながら、せりなさんは大丈夫かな?と心配になった。
ともあれ、また一人応援したいロックの踊り子さんが出現してくれたことが嬉しかった。
二日目最後に、丁寧なお返事を頂いた。「せりな、また会いたいし童話も読みたいし!楽しい1日をくれてありがとう。また会える日が待ち遠しいです。」嬉しくて泣きたくなる。
二番手の星野あずささん。
11月にデビューしたばかりの初々しい新人さん。まだステージ慣れしていない感じであるが、それが私には新鮮で父性本能をくすぐられる。チャーミングだし、応援せずにいられない。小柄な雰囲気から、あるお客さんが見た目を元マラソン選手の松野明美さん(ニコニコ堂)に似ているなぁと言っていたが、私は3年前のラスト・仙台ロックの時に出演していた安藤アゲハさんに似ているなぁと感じていた。もちろん性格は二人とは違うけどね。
一生懸命に踊り、一生懸命にポラでお客さん対応していたのに、すごく好感を覚えた。また、私が渡した手紙や童話をすごく真剣に読んでくれて、とても丁寧な返事を頂いた。これには感激した。ロックの踊り子さんはどうしてこんなにいい娘が多いんだぁ~!!!
私は心を込めて拍手しステージに見入った。その気持ちがストレートに伝わったのだろうか、私の応援がすごく嬉しいと何度も何度も話してくれた。そして、その本当の意味を最後に知った。
二日目ラストに頂いたお手紙に私は胸が震えるほどの感動をもらった。一部引用させて頂く。「昨日、大好きな祖父を亡くしました。最愛の人でした。もうこの世にいないのは悲しくて悲しくて苦しいです。」「踊りを楽しそうに観ている太郎さんが、昔に私のバレエの発表会を観ている祖父と重ねてしまいました。すみません。太郎さんを観てすごく私も幸せになり、楽しかったです。ありがとうございます。」
あずささんは翌日から休んだ。祖父のお葬式だろう。
たった二日間ではあるが、この二日間は私とあずささんにとってひとつのドラマだった。彼女の祖父が亡くなるのが少しずれていたら、あずささんとは出会えなかったかもしれない。そう思えば一期一会を覚える。そしてステージを通して気持ちが通じた。ストリップの父を自認する私の真骨頂、そして思い出深い一場面になった。
最後に「またお会いしましょう。私は踊りを観ている太郎さんの姿がすごく好きです。」という返事を頂き、嬉しくて泣けてきた。
本公演トリのaiさん。
非常に評判が良く、是非とも拝見したいと思っていた踊り子さんだった。今回その神秘のベールが脱がされた。予想以上に素敵な踊り子さんだった。私はステージを観た瞬間に一目で彼女に魅了された。
かわいらしいルックス、ナイスなプロポーション、華麗なダンス・センス、サービス満点のセクシーさ、しかも男心をくすぐる性格の良さ。これだけ揃っている新人さんはいない。この娘は踊り子になるべくしてなった、まさに「ストリッパーの申し子」だと感じた。たくさんのファンが彼女を追いかけて仙台まで足を伸ばしているのも頷ける。間違いなくロックの看板をはれる逸材である。
私は新人三人全員が気に入って応援したくなった。しかし、追いかけて応援することはできないもどかしさで胸がいっぱいになる。aiさんからも手紙で「応援してくれたら嬉しいです。」と励まされる。嬉しくてたまらない。
次に、ベテラン二人の話をさせて頂く。
藤咲茉莉花さんも雪見ほのかさんも、デビューから応援させて頂いており、長い会付き合いだ。私はストリップ日記を付けていて、100日超お会いした踊り子さんは、私のストリップ殿堂入りと称している。ロックの踊り子さんとは付き合いが長いのと、単身赴任中の仙台ロックがあったお蔭で、十人以上殿堂入りしている。茉莉花さんもほのかさんも殿堂入りのメンバーである。100日超お会いしていると気心がしれるし、顔を見た瞬間にホッと落ち着くものがある。
今回の公演は、まさに私が理想とする‘新人さんへのときめき’と‘ベテランの方へのやすらぎ’がほどよくバランスされた最高のものだった。
三番手の藤咲茉莉花さん。
昨年のDX歌舞伎以来なので一年半ぶりになる。茉莉花さんは相変わらず美しいなぁ。また会えて嬉しいよ~!いつまでも美しく輝いていてほしいな。
天女の舞のような出し物を見ながら、私はMY童話「天女降臨」をプレゼントさせてもらった。
四番手の雪見ほのかさん。
彼女のかわいさも全く変わらない。年をとらない感じだが、いつの間にか楽屋では年長になることが多くなったと言っている(笑)。
今回初出しの新作クリスマスものがとても良かったよ。
思えば、3年前のラスト・仙台ロックの時も雪見ほのかさんがいてトリを飾ってくれたなぁ~としみじみと思い出し、感傷的な気分にさせられた。ほのかさんは、今回の仙台ロック再訪の象徴的な存在になってくれた。
これだけのメンバーが揃ったのだから、楽しいうちに、土日の二日間があっという間に過ぎていった。
私は満足して、懐かしい東北急行の深夜バスに乗り込んだ。
仙台ロックが選択肢に入ったお蔭で、これからのストリップLIFEがまた幅広く楽しめそうだ。
平成24年12月 仙台ロックにて