以前、ロック系の某踊り子さんがデビュー三週目でDX歌舞伎のトリを務めた。一週目二週目はロック系の劇場で香盤前半に出演していたので突然のトリに彼女の当惑は手にとるように分かった。ロック系以外のベテランお姐さん方に囲まれてかなり緊張気味。フィナーレのときもトリなのに一番最後に動き出し、盆ではなく、ステージの端で遠慮しながらオープンをやっていた。

私は一週目二週目とも応援に行っていたので彼女とは顔見知り。ポラタイムのときに、「デビュー三週目でトリになるなんて凄いね」と話し掛けたら、「なんで私なんかがトリになっちゃったのかな? ベテランのお姐さん方がたくさんいるのにね」と言ってました。私はとりあえず「トリの子はね、フィナーレのときは先頭を切って盆前に進んでファン・サービスするんだよ」とアドバイスした。「分かったわ。盆前にいる太郎さん目掛けて行くわね」と彼女は言ってくれた。

当日、ロック系は彼女だけだったので、彼女がトリを飾るのはある意味で当然。やはりロック系は横綱劇場で、きっとギャラも高いんだと思う。劇場としても彼女を今回の香盤の売りと考えているわけだ。

 

トリの責任について、先日、仙台ロックのラウンジで、ママさんと新人の従業員さんの次のような会話が耳に入った。

明日からの興行では、水橋ミクさんが仙台ロック初来演することで話題になっていた。

「まだ、ミクさんから連絡が入らないの? たいていの踊り子さんは初来演するときは前日までに『明日からお世話になります。よろしくお願いします』との連絡が入るものなのにね。」とママさん。

「まだ入ってませんねぇ~」と新人の従業員さんがとぼけた返事。

「そういうときは、こちらから連絡しなくちゃダメじゃない! 彼女はトリなんだから、万一来れなくなったら大変じゃないの」とママさんが怒った口調。

「そうなんですかぁ~」彼はまだ十分意を解していない。

 ママさんが「トリというのはとても大切なのよ。客入りはトリで決まるほどなの。分かったら早く連絡しなさい!」とピシャリと言い切った。

 私はそれを聞いていて、トリは客入りの責任までもつのか、、、ある意味、ずいぶん厳しい言い方でもあり、またそれだけトリをはるということは凄いことであり名誉なことでもある。もう少し、話を進めてみよう。

 

 客入りが香盤によって左右されるのは当然。劇場側にとって、香盤決定こそが最大の仕事だろう。

 そのときに、トリをはれる子だけを選ぶわけにもいかない。当然、出演料が高く収益が見合うかどうか分からない。

 香盤には組み合わせのバランスがあると思う。

 最近よく耳にするのが、新人を入れないと客が集まらないということ。ベテランの踊り子さんだけだと常連にとってはマンネリ化してしまうので香盤に新鮮味を出すために新人を入れる。もちろん新人はデビューに限らず初来演でも構わない。

 しかし、だからといって、新人だけでもうまくいかない。前に、新宿ニューアートでALL新人大会なる企画をしたものの途中で頓挫したことがあった。始めから本当にできるのかなと訝っていたが、当の従業員は必ず新人を集めてみせると張り切っていた。しかし、結果的には実現せず。最後に従業員曰く、新人は未知数なので確実にお客を引っ張れるか分からない、その点、ベテランの踊り子さんの場合は固定客をもっているのである程度客入りの計算ができる、ということだった。なるほどと納得。

劇場側から云わせれば、新人でもベテランでも客を呼べるのが一番ということかな。

 

 一見さんはやはり話題性で劇場に来ることが多い。有名なAV女優などがトリをはると客入りが増える。

 私のような常連は応援している踊り子さんに引っ張られる。また、新人さん見たさもある。

 香盤というのは、ベテランと新人とそしてトリの組み合わせバランスがとても大事であることは疑いない。劇場側は企画と香盤に大いに頭を悩ませてほしいものだ。