H21年1月結、きりしまひなさんの引退週に仙台から東京(新宿ニューアート)へ三日ほど応援にいきました。なんか、ひなさんって涙を誘う顔をしているよなぁと感じてて、きっとステージを見るたびに涙するかなと思っていましたが、たまたまその週は五年前に同時デビューした杏野るりさんとのチーム・ショー(ネコロボRH)もあり、なかなか涙する暇がありませんでした(笑)。でもやっぱりラストステージでは胸に迫るものがあり涙してしまいました。最終日は手紙を渡しませんでしたが、私の涙が言葉以上に語っていました。ひなさんはステージから私の涙を見て頷いてくれました。

引退週楽日、ひなさんのラスト・ステージは深夜24時から始まり深夜2時半まで続きました。ファンのポラ撮影が延々と続きました。これは間違いなく記録! いかに、ひなさんがたくさんのファンに愛されてきたかを示す証拠と云えるでしょう。

 

さて、ひなさんとの思い出を忘れたくないので、以下、引退週にひなさんと交わした手紙を記録しておきます。一緒に惜別の想いを共感してくれると嬉しいです。

 

次は引退週の初日に、私がひなさんへ渡した手紙です。

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きりしま ひな 様

 

いよいよ引退週になりましたね。

12月のDX歌舞伎ぶりになります。

前回DX歌舞伎公演の最初にお渡しした手紙の中で、ひなさんの引退を知ったとき、ステージを観ながら過去の自分が浮かびあがり、その像に対して涙が滴り落ちたという話をしました。しかし、DX歌舞伎のときにひなさんのステージを観て更に涙しながら、いやもっと違う感情だと感じました。もう一度自分の心に問いかけました。

 

私は五年程前から踊り子さんに手紙を渡し始めた。書くのが好きだったこともあり、ストリップに新たな楽しみを覚えた。いまだにストリップ熱が冷めないでいるのも手紙のお陰でもある。

私のように口下手で根暗な男にとって、手紙というのは女性と親しくできる最高の手段になることが初めて分かった。ストレートに、しかも確実に相手の心に届く。スナックやキャバクラに行ってもこうはいかない。しかも、手紙というのは私以上に私自身である。口で話せないことを手紙では正直に表現できる。童話を始め、その内容や表現によっては私の作品とも云える。

ポラ代は踊り子さんに手紙を渡すための切手代となっていく。以前はエロポラも撮っていたが、ポラの目的が変わり自然とエロポラは撮らなくなった。

問題は、踊り子さんが私の手紙を読んでコミュニケーションしてくれるかどうか。全く関心を示さない方もいる。中には手紙を読んでくれているのだろうが、全く反応がなく、コミュニケーションにならない方も多い。そもそも活字が嫌いという方は長い文章を読もうともしないだろうし、筆まめでないと返事はなかなか書けないもの。

私にとってストリップの最大の楽しみは、踊り子さんと擬似恋愛を楽しみ手紙を通じて会話が弾むこと。その期待に答えてくれる方は少ない。

一番大切なことは、私が踊り子さんのステージに関心を抱くのと同じように、踊り子さんも手紙を通じて私自身に関心を示すこと。ある意味、私が踊り子さんのファンになるのと同時に、踊り子さんが太郎ワールドのファンにならないとこの関係は続かない。こういう関係になるのは簡単にはいかない。

そういう中で、ひなさんと出会い、お手紙交換によって長い間仲良くしてもらった。ひなさんは間違いなく、私の文章を、そして私自身を愛してくれた。そのことを私の心が訴えている。私の心がひなさんの心を感じ、ひなさんの優しさを思い出しては泣いている。ひなさんに対する感謝の気持ち、惜別の思いが胸をしめつけ、涙が滴り落ちる。私には心が流す涙を止められない。。。

 

私は淋しがりやで弱い人間である。幼い頃に小児麻痺を患い左足が不自由でもある。だからコンプレックスも強く、昔からまったく女性にもてない男である。数年前に若松劇場前でひなさんとすれ違った時に、ひなさんは初めて私が足が悪いのに気づき驚いていましたね。でもそれ以後もなんら変わらずに仲良くしてくれました。

今の私は、運よく伴侶と出会い、家族に恵まれている。なのに何故にストリップにはまったのかと考えると、過去の女性にもてなかった「業」、青春時代に残してきた心のうずき、なのかなとも感じている。ストリップで女三昧の気分を味わいたいのか・・・しかも、見るだけでは満足できずに擬似恋愛のレベルを欲してきた。そして、それを可能にしたのが手紙の効力だった。

 

ただ、やはり親しくなるのは最後は相性なのかなと思う。ひなさんと接するたびに本当に楽しかった。ひなさんは綺麗だし、努力家でいつも素晴らしいステージをたくさん観せてくれ、踊り子としても超一流だった。たくさんのファンに囲まれるのも当然である。さらに私はひなさんの優しさやさっぱりした性格に惹かれた。私は身障者であるがゆえに、人の優しさに対するアンテナはかなり高感度だと自負している。ひなさんのように素敵な女性と親しくさせていただいたことは奇跡であり、本当に幸せなことだった。振り返るたびに、なんてステキな縁であったかとしみじみ思う。

ひなさんのことは私のストリップ日記に記録されると共に、私の思い出の中にしっかり刻み込まれている。ひなさんは決して忘れることのない踊り子さんになりました。

今回の引退公演、心置きなく応援させていただきます。

 

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私の手紙に対して、ひなさんからのお返事がまた私を泣かせました。

「今日も遠くからありがとうございます。ついにラストステージですね。まわりを見てみると本当に長い間応援して下さった方がいて・・・。私は本当一人でやってきたんじゃないんだなっと思いました。こんなに皆が会いに来て下さると思ってなくてけっこうすぐ涙でそうになります。太郎さんもデビューから見守ってくれて引退も見届けてくれて・・・。

私、踊り子って仕事でもあるけど趣味なんです。お客さんが私のファンであるのと同時に、私もお客さんのファンなのです。だから心を大切にしたいと思って接してきました。太郎さんも自分のスタンスで思う存分ストリップを愛し楽しんで下さい。いつもお手紙に応援ありがとうでした。」 

ひなさんは最後まで私のことを励ましてくれました。私の文章を喜んでくれ、いつも返事を書いてくれた。また私の童話を一番たくさん読んでくれたのもひなさんだったし、いつも褒めてくれた。最近、童話を書き始めたのも、ひなさんがいっぱい褒めてくれたからだ。ひなさんの励ましがどれほど心強かったことか・・・。

そこで、最後にひなさんへの感謝の気持ちをひとつの童話にしてプレゼントさせてもらった。

 

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最後に、拙い童話が浮かんだので贈らせてください。

題名は『ハトの恩返し』・・・

 

 

 ある公園に1人の老人がいました。彼は、毎日その公園に来ては、持ってきたパン屑をハトにあげていました。もう十何年もの日課。

ハトたちはその老人が来ると、周りに群がります。 ポッポッポッ♪

老人は、ハト一羽一羽を区別できました。いつも、それぞれのハトに声をかけながらパン屑を与えていました。

「花子は元気でいいなぁ。今日も声の張りがとてもいいよ。」

「太郎はいつも食欲旺盛だな。いっぱいお食べな!」・・・

 老人は、相手がハトであろうと全ての生き物には声をかけることで心が通じることを知っていました。

 

 ある日のこと、その老人がぱったりと公園に来なくなりました。

 ハトたちは、きっと病気になっているんだと老人のことを心配しました。そして、自分たちの調査網を駆使して、老人の家を探し当てました。

 案の定、老人は病の床に伏していました。老人は床の中で、ハトたちのことを心配していました。自分がえさを与えないとハトたちが飢え死にしてしまうんじゃないかと。。。

 

 こつこつ!

太郎は老人の部屋の窓を口ばしで叩きました。

老人は太郎に気づきました。しかも、太郎の後ろに、公園のハトたちが木々の枝いっぱいに並んでいるのが見えました。ハトたちは懸命に老人のことを呼んでいました。花子のきれいな声も聞こえます。まるでハトたちの合唱です。ポーッポーッポーッ♪

 ハトたちの合唱が老人の目に涙を誘いました。

 老人は気づきました。自分はこれまでパン屑を与えることでハトたちを養ってあげていたと思っていたが、それは違う! 自分こそがハトたちのお陰で生かされてきたんだと。

 老人はハトたちから生きる勇気をもらいました。

 

 しかし、老人はかなり弱っていました。高齢でもあり、病がかなり進行していたのです。

 太郎は老人の身内に知らせてあげようと思いました。太郎は以前公園で老人から一人娘の写真を見せてもらったことがありました。奥さんと離婚してしまって、それ以来会っていないんだと語る老人の口もとから、太郎はその意味を察していました。ところが、肝心の娘さんへの連絡先が分かりません。

 太郎は老人から娘さんの写真を預かり、それを他のハトたちに見せました。ハトたちは全員まさに伝書鳩になって探しました。雨の日も、風の日も。大好きな老人のためにたくさんのハトたちが全国を探し回りました。そして、とうとう娘さんを見つけたのです。

ポッポッポッ♪ ポッポッポッ♪

 ハトの必至の気持ちが娘さんの心に伝わりました。彼女はハトに案内されて老人のもとに駆けつけました。老人は娘の顔を見て涙をこぼしました。

 老人は娘さんと大好きなハトたちに見守られながら天国に召されていきました。

 

                                    おしまい

 

 生き物の種別を超えて心は触れ合うことができます。たくさんの優しさを感じとれる人は幸せです。

ハトには高感度のセンサーが搭載されて空を飛んでいると言われます。われわれ人間も優しさを感じるセンサーは常に高感度にしていたいものですね。

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この童話は、老人をひなさんに、ハトをファンに喩えて、老人とハトの心の交流と別れを書いたものです。

ある意味、ポラは私の踊り子さんへの伝書鳩なんです。

これに対するひなさんからのラスト・レターがまた心に響きました。

「お手紙ありがとうございました。多分これが最後のお手紙になってしまうと思います。この五年間本当にファンの方々に支えられてきたと思います。1人1人の顔を思い浮かべるととてもつらくなります。今まではどこかでまた会えるというのが頭にあって・・・。でもこういうコトに耐えて成長していくのかな? 今はあまりにつらくて、この先の楽しいコトに胸を膨らませる努力してます。

ストリップのお客さんは本当にみんな優しい。ラストはもっと冷たくしてくれれば楽に辞められるのにと何度も思いました。私はもうこんなつらい引退をしたくないので復帰したくないなぁと思いました。 

太郎さんと出逢ってもう5年、色々なコトがありました。でも結果、今の状態を幸せに感じてるので全てOKなのです。そこまで支えてくれた太郎さん始め全ての人にありがとうって言いたいな。そして、これからもよろしくって思います。」

ひなさんが優しいから、周りに優しい人が集まるのです。人と人の間にはカガミの原理があります。微笑みで相手に接すれば微笑みが返ってくるし、怒りで相手に接すれば怒りが返ってくるものです。ひなさんがファンから与えられた優しさを感じ、それ以上の優しさを返したからこそ、ファンは優しさを与え続けることができたのです。

ひなさんの周りには優しさのイオンがたくさん飛んでいました。それがたくさんの人に反応して、優しさのスパイラル効果が働いていたのだと思わずにいられません。

 

 

平成21年1月                             SNAにて