2009年6月16日。仙台ロックでの出来事。
従業員の川田さんが私のところに一枚のポラを持ってきました。
「今まで大変お世話になりました! 太郎さんとのお手紙のやりとりが楽しかったです。 最後にお会いできないのが残念ですが、ご多幸をお祈りしております。」
彦乃さんのポラだった。3月頭に新宿ニューアートで預けたポラを、わざわざ仙台ロックまで送ってくれた。
噂では聞いていたが、やはり引退は事実だったのかぁ~
1月頭に川崎デビュー、1月結に仙台ロック、少しあいて穴埋めながら3月頭のSNA、その後京都DX東寺、4/21~5/10に浅草ロックと続いて、次の公演がなかなか決まらないなぁと心配していました。
川崎ロックでデビューした時、応援している矢島愛美さんのかわいい後輩ということもあり一緒に応援し、その後すぐに仙台ロックにのってくれて仲良くなりました。
とくに印象に残っているのが次のふたつ。
仙台ロックの時にトップだったので、私は3回目に間に合わずに4回目から入ることが多かったのですが、4回目ステージでポラを買ったら「今日は朝からポラが一枚も売れなくて、太郎さんが最初の一枚なんです」と言われたことがあった。売れなかった悲しさと私が買ってくれた嬉しさが入り混じったような表情でした。ホント抱きしめてあげたくなりましたよ。
3月頭のSNAに新人さんの穴埋めで急遽出演し、会いに行きました。私はいつも通り朝早くから劇場前に並んでいた。ふと彦乃さんが劇場の入口に入るのを見つけた。私服の彼女はほんと普通っぽくて踊り子さんには見えない(失礼!)。すると列にいる私を見つけて「太郎さん!」と言って私のところに駆け寄ってくれた。他のお客の手前、恥ずかしかったが凄く嬉しかった。
私は「ストリップの父」として必ずこの子を応援しようと誓いました。彦乃さんには父性本能をくすぐられるところがありました。
浅草ロックに晴れ舞台を観に行った。安藤アゲハさんと一緒にちびっ子コンビ(失礼!)で、いや二人とも大人っぽい雰囲気を出して一生懸命踊っていた。彦乃さんは私のことを見つけて「あれっ! 観に来てくれたのね」という顔をしていた。
「浅草観てもらえて嬉しかったです。一生一代の大舞台!! 感想が聞けないのが残念です。。」と今回のポラ裏に書いてあった。
先に見せたとおり、私は感想を書いて渡すつもりでいた。彦乃さんが改名したことを題材に童話まで書いていた。もう本人に渡せないのかぁ~淋しいなぁ~
そんなこんなを想い出すと涙が出てくる。
最近の私はやけに涙もろくなった。年のせいかなぁ。お気に入りの踊り子さんが辞めただけで、無性にセンチメンタルな気分になる。
まぁ、そのせいか、ここ数ヶ月たくさん童話を書いた。なんか神様が勝手に私に童話を書かせたみたいで、ただただ感じるままを文章に落とし込んでいった。
これまでも、そしてこれからも、たくさんの踊り子さんと出逢い、そして別れていくのだろう。今回の彦乃さんの浅草レポートや童話は大切な記憶として残ることだろう。いままで書き残してきたたくさんの手紙(エッセイ)や童話がきっとステキな思い出として輝いてくれるものと信じている。
彦乃さんのポラの最後に「いつまでもストリップファンでいてくださいネ」とあった。
正直、先のことは分からない。単身赴任が終わったら、今のような頻度でストリップ通いはできない。でも、この十年間の思いは消えない。劇場通いの頻度が落ちても、心からのストリップファンでいることに変わりはない。
彦乃さんが新しい人生を元気に歩き続けてくれることを、ファンの一人として祈りたい。
H21年6月 仙台ロックにて