今週はSNAへ通うこと5回目。たくさん小雪さんを見ていて感じるものがあったので個人的に話させてもらいますね。

前に、私は小雪さんの魅力を「はかなさの美学」という観点から述べましたが、今回は「懐かしさのもつ魅力」という観点で述べてみたいと思います。

 

 

 H22年1月結に仙台ロックで初披露したという今回の新作「さなぎベッド(?)」は懐メロのオンパレード。

 1曲目は、往年の山口百恵の名曲「ひと夏の経験」(1974年6月にリリースされた山口百恵の5枚目シングル)をカバーした曲。私はいきなり中学時代に引き戻された。当時、山口百恵は前年にデビューしていた森昌子、そして私の同郷秋田出身の桜田淳子との中三トリオとして一世を風靡。私の一年上で、まさに我々世代の青春アイドル。私の親友も熱烈な百恵派と淳子派に分かれて、いつも集まっては彼女たちの話題で盛り上がったもの。その頃のことが脳裏に鮮明に思い浮かんだ。この曲に合わせ、小雪さんは、ピンク色の花の刺繍がされている乙女ちっくなドレスで可憐に舞う。

 2曲目は、おにゃん子クラブの1985年の大ヒット曲「セーラー服を脱がさないで」。小雪さんはセーラームーンのようなピンク地のセーラー服で元気よく踊る。身体の弱い小雪さんのこと、こちらが心配になるほど激しい動きだ。でも、この元気良さも小雪さんの魅力のひとつ。

 3曲目は、1989年の大ヒット曲「守ってあげたい」。これは松任谷由実(ユーミン) の17枚目のシングル。小雪さんは、赤いネクタイをした定番の紺色セーラー服に着替えて登場。前曲から一転して、清楚なイメージを前面に出し、しっとりとベッドに入っていく。

 最後の4曲目は、1981年発売の薬師丸ひろ子最大のヒット曲「セーラー服と機関銃」。これはもともと赤川次郎原作の長編小説で、角川映画になり主演の薬師丸ひろ子を一躍スターに押し上げた。当時、私は大学生で、カラオケでは作曲者の来生たかおが歌う「夢の途中」が十八番だった。この曲も私の青春時代を彩ってくれた曲のひとつである。

 作品のラスト、一旦曲が終わったところで、小雪さんはベッドからステージの方に戻り、静かにステージの上に伏せる。おもむろに機関銃を取り出し、映画さながらに客席に向けてババババッとぶっ放すという印象的なエンディングになっている。(気づかなかったが機関銃はステージの上に布をかぶせて隠してあった。)

 

 今回の作品では、こうした懐メロが私の心を揺さぶった。

 ポラタイムで小雪さんに演目を聞いたら「さなぎベッド(?)」との回答。幼い少女が大人の階段をのぼる過程をさなぎがもぞもぞ動くイメージに例えたようだ。これら歌と同時代を生きた私に対して、若い小雪さんは歌が流行った時代にまだ生まれていないわけで、とらえる感覚が全く違うことは当たり前と言えば当たり前。

 

 私は小雪さんのステージをノスタルジーに浸りながら観ていたら、ふと、小雪さんには「懐かしさのもつ魅力」を随所に感じることに気付いた。

 個人的な話も含め、何点か感じることを述べてみる。

 まず今回の作品に限って言えば、懐メロとともに、セーラー服がベースとなっている点が大きい。セーラー服は我々男性の永遠の憧れだから、今回の作品が我々男性客に懐かしさを醸しているのも納得。ポラタイムでセーラー服の衣装を着ると売れ行きがいいというのは間違いない事実だもんね。

 次に、小雪さんは今のストリップ界では異色の存在と私は感じている。とても素人っぽくて、隣のお嬢さんというか、自分の妹みたいな印象が強い。ストリップは女性のヌードを楽しみたい男性のギラギラした欲望を叶える風俗の世界であり、そこで働いている女性たちは気持ちの強い方が多い。そうでなければ、ストリップという厳しい世界では生きていけない。その点、どうも小雪さんは似つかわしくない。だから小雪さんを見ていると、ストリップという異次元な世界にいて逆に現実に引き戻されそうになる。そんな懐かしさを小雪さんは持っている。一方、男性は妹のような素人っぽい女性に崇高な魅力を感じるもの。小雪さんには、若い頃に熱烈に憧れた女学生の君を彷彿させる。だからこそ、周りのファンは何が何でも彼女を守ってあげたくなる。

 更に、小雪さんのヌードの最大のチャームポイントは透き通るほどの色白な肌。これは母親の秋田美人の血をひいている。私も秋田出身なので、若かりし頃に憧れた秋田おばこ達を思い出す。小雪さんは彼女たちに通じる。もともと女性のヌードは母なる郷愁を宿すから、小雪さんに懐かしさを覚えるのは至極当然でもある。

 もうひとつ、個人的な話になるが、小雪さんは実は私が大学時代に好きだった女性に顔立ちがよく似ている。特にぱっちりした目元あたり。このことを小雪さんへの手紙で触れ、さらに昔の彼女の話を何度かした。そのたびに小雪さんは喜んで話にのってくれた。そのやりとりが私を懐かしさの極致に誘ってくれた。

 

私は以前エッセイの中で、人間の魅力を語るうえで「懐かしさ」というのがひとつのキーワードになるという話をした。男女を問わず、相手に対して、懐かしさを感じさせない人は魅力がないということ。これは初対面でも言え、「懐かしさ」を醸せる人間こそが魅力的な人なのである。

懐かしいという語を辞書で見れば、「過去の事柄が思いだされて心が引かれる」「昔に戻ったようで楽しい」という意味であるが、これは中世頃から用いられている。もともと、懐かしいは、慣れ親しむ意味の動詞「懐く(なつく)」が形容詞化された語で、本来「慣れ親しみたい」「身近に置いておきたい」といった感情表現で用いられ、「かわいらしい」「手放したくない」といった意味で用いられたものらしい。小雪さんは後者の意味にぴったしな存在である。

 

 小雪さんは昨年H21年6月中、新宿ニューアートでデビュー。小雪さんの登場が私にとってセンセーションだったのを今でも鮮明に憶えている。一目で夢中になった私は仙台から2週続けて土日に通ったほど。今回の新宿ニューアート公演で小雪さんが「太郎さんと出会った新宿ニューアートが私は大好き」とポラ・コメントに記してくれたのに私はぐっと来るものがあった。おそらく出会いのときに私は小雪さんに「懐かしさ」を感じていた。

 あれからまだ一年弱の間ではあるが、仙台ロックを始め多くの劇場で、たくさんの思い出を重ねてきた。それらの思い出がまた懐かしさを増長していく。

 

 青春というものには女性の存在が大きい。その女性はいつまでも清楚で可憐な存在。

 今のストリップ界で最もそれに近いのが小雪さん。小雪さんに自分の青春像を投影しているファンがきっとたくさんいるはず。

 そして、また小雪さんを応援することで新たな青春の1ページを書き加えている。

 小雪さんは我々ストリップ・ファンの懐かしい‘青春の影’なんだと感じている。

 

平成22年2月                            SNAにて

 

 

【参考】「セーラー服と機関銃」(薬師丸ひろ子のシングル曲)

 

女優としての決定的な出世作となった映画セーラー服と機関銃』の主題歌。主演として、同名タイトルの本作で歌手デビューを飾った。薬師丸の音楽作品としては、最大のヒット曲でもある。

一時の角川映画では定番となっていた“主演女優(角川三人娘)が映画の主題歌を歌う”というパターンは、本作からスタートしている。薬師丸にとっても本作の主題歌がレコードデビュー作である。

映画の主題歌はもともと作曲者の来生たかおが歌う「夢の途中」という曲で決まっていたのだが、映画の総監督を務める相米慎二が「薬師丸に歌わせる」と角川春樹に言いだしたため、角川が来生の所属するレコード会社であるキティレコード(現・ユニバーサルミュージック)の社長・多賀英典に打診、来生を下ろしたというエピソードがある。この件で作詞者で実姉の来生えつこが大激怒。あわやキティからCBSソニー(現・ソニー・ミュージックエンタテインメント)移籍寸前までいった。そういった経緯があったため、多賀が「両方ともヒットさせる」と宣言(読売新聞日曜版に掲載された記事より)、薬師丸の「セーラー服と機関銃」と来生の「夢の途中」の同時リリースとなった。最終的には薬師丸の「セーラー服と機関銃」とともにロングヒットを続け、来生たかおも有名アーティストの仲間入りを果たした。「夢の途中」はオリコン集計で約40万枚を売り上げた。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』