今回は「ストリップにおけるときめきとやすらぎ」という話をしてみます。
3月結の浜劇に杏野るりさんが出演していた。るりさんとはH16年正月のデビュー以来、6年超の長~いお付き合いになっている。当然気心は知れている。
いつものように手紙を渡す。その時の話題は、私のストリップ日記から、仕事の出張を兼ねて遠征した関西の劇場レポート。先週3月中のホットな話。関西観劇の目玉のひとつは、2月中に浅草デビューし2週目でDX東寺にのった白石美咲さん。
るりさんは、白石さんがデビューした浅草のときに一緒だったようだ。「東寺まで行かれたのですね! お疲れ様でした。白石美咲ちゃんは2月の浅草デビューの時にご一緒しましたよ♪」そして、「明日からのニューアート、美咲ちゃんと一緒なんですよ~♪ 太郎さん絶対来てねっっ みんなで待ってます♪」
長くお付き合いしていると、私が新人好きで劇場を回っていることをよく知っている。
さて、4月に入って、東京で2日間、仕事の用事があったついでに、SNAに寄った。
お目当ての白石美咲さんの美しさは、東寺で抱いたイメージをはるかに超えていた。やはり、広い東寺に比べて、劇場の狭さが距離感を縮めてくれた。170cmという見上げるほど長身のスタイルの良さに加え、美人なんだけど可愛いさを兼ね備えたルックスに惚れ惚れした。ポラタイムで「東寺でお会いしましたが、おぼえているかな?」と声をかけたら、「えぇ~!? なんとなく」と答えていたが、そのすぐ後、ポラのコメントに「お名前とレターで完璧に思い出しました」と返ってきた。私が東寺で、ステージの感想を書いて渡したのを思い出してくれた。そのお陰で、次のステージから、盆周りに座っている私に対して笑顔を送ってくれるようになった。
私は、美咲さんがステージから送ってくれるアイコンタクトに完全に参った。そして、美咲さんへの手紙で、彼女の美しさを絶賛した。ただ、正直言って、あまりの神々しい美しさに恐れおののいてもいた。私なんかがこんな綺麗な方と本当に仲良くなれるのだろうか。とても自信がない。若き頃の失恋の多さで身に沁み込んだ美人コンプレックスが頭をもたげてきた。
一生懸命に手紙を書くも、美咲さんは手紙に反応してくれない。なんか空回り感を覚える。そこで手紙の最後に「美咲さんは長い文章は苦手ですか?」とさりげなく添えた。美咲さんからのポラ・コメントに「レターは、もらえるととても嬉しいです。頂いたレターはすべて読んでます。」との返事があり、救われるものがあった。2日間で6ステージ拝見したが、観るたびに美咲さんの美しさに魅了され、その次の日も会社帰りに会いに来るよと約束した。
気に入った踊り子さんにどんどん夢中になっていく自分がいる。ストリップが恋愛ゲームなら、この過程がストリップの醍醐味かもしれない。
以前から、私はストリップの最大の楽しみは踊り子さんとの疑似恋愛にあると話している。絶世の美女と恋仲になれるとは鼻から思っていないので、あくまで疑似で十分。劇場内という限られた時空の中で、踊り子さんとのデートを楽しむ。デートには楽しい会話が必須だが、ストリップの場合、踊り子さんとの会話は無理なので、手紙を使う。
踊り子さんに夢中になるポイントとしては、一目惚れするような容姿かと思われるかもしれないが、私の場合そうではない。外見よりも、自分に対する反応が全て。あなたを意識していますよというステージからの笑顔やアイコンタクト、そして私の手紙に対するポラでのコメント。この二つがリズミカルに繰り返されて仲良くなるという感じかな。そこには‘恋愛のリズム’がある。
デートでは男性が女性に対して、楽しい話題や熱い想いを語りかける。会話は相手の反応が大切。時に相槌を打ったり、笑ったりしてくれ、また彼女からも話を切り出してもらわないと、会話は続かない。いくら彼女が笑顔で聞いてくれても、ずっと一方向だけだと男性も疲れてくる。ましてや反応がないと綺麗なマネキンに話しているみたいで虚しさを感じてくる。
私は踊り子さんに夢中になれば、どんどん筆が弾み、文章の量が増えていく。ところが、踊り子さんの反応がないと、空しさを覚え、興がだんだん醒めていくのが自分でも分かる。
私は美咲さんの美しさに感激し、まっすぐ恋に落ちたかった。ところが、美咲さんからの笑顔やアイコンタクトにメロメロになりかけても、手紙の反応がないために一旦醒めてしまう。私の会話は楽しくないのだろうかと心配になる。恋に落ちかけては引き戻される繰り返し・・・正直、彼女にのめり込むテンポを掴めないでいた。下品な例えで申し訳ないが、射精しそうでいけないもどかしさに近かった。
恋愛ゲームには‘恋のかけひき’があるのか。ストリップの場合、そんなものはないと私は思っている。
たしかに、ストリップはいくら商売とは言え、踊り子さんは男である客に対して女としての警戒心を抱く。だから、簡単には心を開いてくれない。やはり何度か通うことで、相手の気心を知り、始めて仲良くなってくれる。ストリップの場合、足繁く劇場に通うことがステップ1になる。
時に、一目で気に入って劇場に通い、何度手紙を渡しても何の反応もなく、私には関心がないのかと諦めかけた瞬間、突然のように長い返事を頂くこともある。諦めないで良かった!と思う瞬間である。そして、こういう方とは長くいい関係を継続できるもの。しかし、最初に反応がなければ大抵はファンになるのを諦める。なにせ、ストリップの場合はポラ代がかかるから長く引きずるわけにもいかず、また別の新人さんに可能性を求めて投資していく。特に1000円ポラの場合、割り切りが早い。楽しさをより効率的に与えてくれる方へ投資していくというのが客にとっての経済的合理性となる。
踊り子さんとの関係は、最後は相性の問題と思う。無口な人が好きな踊り子さんにべらべら話しかけても嫌がられるばかり。活字の嫌いな方にいくら手紙を出しても受け入れてくれない。まぁ客のルックスについては多少好き嫌いがあってもだんだん見慣れてくると思うが(笑)。
長くお付き合いしていても、会っているだけで心がウキウキする人もいれば、次第に関係が重くなるレースもある。これは一般の恋愛関係や人間関係と全く同じだろう。自然なままで、ありのままで、仲良くできる関係がベストだね。ちなみに、ストリップの場合、お付き合いにポラ代がかかるというのがシビアな点。ふところ具合が悪くなると関係は冷めざるを得ない。そこが商売たるところかな。
思うに、ストリップにおける踊り子とファンの関係は、一般の恋愛関係のようにどろどろしていない。
ベテランの踊り子さんはお客さんを拘束しない。ファン心理としては応援に行けないと申し訳なく思うものだが、ファンが心配するほど踊り子さんは気にしてないもので、応援に来なかったからと踊り子がファンを咎めたりはしない。拘束するとファンが逃げていくことも知っている。
客は身銭を切ってストリップを楽しみにやってくる。毎週のように新しい踊り子さんがデビューしてきて、それを楽しみにやってくるファンも多い。自分の応援のためだけに劇場に来てほしいと望んだら、客は精神的に負担になる。たいていの男は拘束されるのを嫌うので、拘束する踊り子さんを避けるようになる。
踊り子さんの方で、その点はしっかり割り切っている。踊り子さんは、今日は自分に会いに来たのか、あるいは別の方(特に新人さん)目当てで来たのか敏感に感じている。長くストリップ通いしている私の場合、仲良しの踊り子さんから、聞いてもいないのに「今日の新人さんは性格がいいわよ。太郎さん、気に入ると思うわよ」とか「新人さんを応援してあげてね」とか言われる。今日は君がお目当てなんだけどなぁ~と心でつぶやきながらも、半分図星なので、おもわず私は苦笑いしてしまう。「男は誰しも新しい女房がほしいもの。でも、新しい子に飽きたら、たまには古女房にも会いに来てね」とまで言ってくれるベテランさんもいる。ある意味、こうしたことがさらりと言える人間関係というのは楽である。人間関係にこだわらずにストリップを楽しめる。
ここで、話を杏野るりさんに戻そう。
白石美咲さんがお目当てで通いながらも、ファンへの道をまっすぐに突き進めずに悶々としている中、るりさんとのやりとりが印象に残った。
顔を出した最初の日、「わ~い♪ 待ってたよ~♪」と気さくに喜んでくれるるりさん。「お目当ての美咲さん、次に出てくるからね。すごく綺麗だから、楽しみにしててね」とポラ時に私に声をかけてくれる。
2日目も、「やっほ~! 待ってたよ。お仕事お疲れ様でした!」と出迎えてくれるるりさん。もちろん私が美咲さん目当てで二日続けて来ているのは承知の上。私がるりさんへの手紙の中で「美咲さんの美しさ、こわいぐらいです。仲良くできるかなぁ?」と手書きでコメント。
それに対して、次のポラ時に「太郎さんなら大丈夫! 美咲ちゃん、落とせるわよ」と笑って話してくる。なんか私も笑ってしまった。
3日目のるりさんからのポラに「今週はいっぱい会えて嬉しいな♪ 美咲ちゃんもいいけど、るりるりとも遊んでよ(笑)」とコメントあり。そして、「太郎さんとお話しするのはいつも楽しい。それだけは昔から変わりません♪」ともある。
こうしたやりとりがたまらなく嬉しかった。美咲さんお目当てで通ったことは事実であるが、一番楽しく印象に残ったのがるりさんとのやりとりだった。自然のまま、心が触れ合っている感じ。私はるりさんとは、とてもいい関係だと感じる。デビューからずっと親しくさせて頂いており、私の手紙を楽しそうに読んでくれ、いつも丁寧にお返事を書いてくれる、私にとって大切な大切な踊り子さんの一人。いつか彼女が引退することになったら私は必ず涙するだろうと、ふと脳裏を過ぎった。こういうお付き合いをさせて頂いている踊り子さんをたくさん持っているのが私のストリップにおける最高の財産である。
ははは、ずいぶん長い文章になったな。今週もいっぱいストリップを楽しんでいます♪
平成22年4月 SNAにて
【後日談】
杏野るりさんは15日間の出演だったので、12日目に再び会いに行った。
ポラの時、るりさんが「美咲ちゃん、落とせたかな?」と笑って私の顔を覗き込む。私も笑って「先週のこと、しっかり手紙に書いてきたよ。読んでくれれば分かるよ」と、この手紙を渡す。るりさんは「楽しみだわ」と嬉しそうに手紙を受け取る。私は「るりさんのことも書いてあるからね」と付け加えた。
しばらくして、るりさんからのポラ返却を受付に取りにいった。ポラ袋の中に、るりさんからの丁寧なお手紙が入っていた。私はそれを読んで涙ぐんでしまった。
少し抜粋させて頂く。
『お手紙本当に嬉しかったです・・! 嬉しすぎて楽屋でこっそり泣いていました。』で文章は始まっていた。
『やっぱり、6年やってると何度もくじけそうになる時があるんですよね。でも、その度に太郎さんの笑顔とお手紙に励まされています。私のステージを楽しみにしてくれている人、私という存在を大事に思ってくれている人がいるんだな~ってね。』
7年目に入ったるりさんにも色んな紆余曲折があったんだなぁと読んでいて感じた。そんな中で私の存在が少しでもるりさんの励みになれたこと、ファンとしてこれほど嬉しいことはない。
なんか、人生の機微をおぼえた。世の中にこれだけたくさんの人間がいる中で、私とるりさんは、たまたまストリップという縁があって出会えた。私がたまたまストリップにはまった時期に、たまたまるりさんが踊り子としてデビューしてきた。たくさん踊り子さんがいる中で、私はるりさんの素敵なステージと優しい人柄に魅かれファンになり、6年超の長い間、親しくお付き合いをさせて頂いている。手紙もたくさん交換させて頂いた。今回の手紙のやり取りもそうだが、これまでも、るりさんのちょっとした言葉、仕草にどれだけ慰められ、励まされたか分からない。そのひとつひとつに思い出がつまっている。改めて、るりさんの存在、出会えたこと、仲良くしていること、全てが輝いて感じられた。
るりさんも同じように感じてくれたのだと思う。『私も、太郎さんのことはとても大切に想っています。デビュー週からのお付き合いですからね。もう他人じゃないですよね(笑) いつも仲良くしてくれてありがとうございます。』『太郎さんにこんなに愛されて私は本当に幸せです』
私の方こそ、すごく幸せな気分になっている。
今回のエッセイのタイトルを「ストリップにおけるときめきとやすらぎ」とした。すてきな新人さんとの出会いのときめき、そして、長く仲良くさせて頂いてる踊り子さんとのやすらぎのひととき。こうした喜びをいま全身で感じている。
ストリップに‘ストリップ道’というのがあるなら、この「ときめととやすらぎ」こそが最も粋な遊び方であり、ストリップ道の奥義なんだと感じる。
あるベテランの踊り子さんから「太郎さんはストリップ界のプレイボーイですね」と言われた。これは最大の褒め言葉。なぜなら「恋多き男性はすてきです」と付け加えられていた。考えてみたら、若い頃から人一倍女性に対する憧れが強いのに、ずっと失恋ばかり。そんな私をプレイボーイに変身させてくれる(?)夢のような場がストリップなのである。
ストリップ道を究められるかどうか分からないが、今の私は間違いなくストリップ界で一番幸せなファンだと確信する。
